概要
トラウマ的なものは、それ自体が語られにくいという性質を持つ。
「アサクラジュリさん、次のお部屋へどうぞ」受付の女性の無機質な声が響いた。
そして、それが私の名だと気づいた。樹里という、いかにも西洋かぶれで、行動的な人物を連想させるような名前には未だに慣れない。もしかすると、一生、慣れることはないのかもしれない。墓石に<朝倉樹里>と刻まれて、その下の土の中で眠っている白骨の私ですら違和感を覚えているのかもしれない、と思った。
とにもかくにも次の部屋へ進むことになっている。なら進もう。
私は観葉植物の脇を抜けて、次への扉に手をかけた。スチールのドアノブをひねると、なんのことはなく扉は開いた。大丈夫、ここまでは問題ない。これまでにも何度もやってきたことのはずだ。今更失敗することもない。誰だって出来ることだ。
(※この物語は、法律・法令に反する行為を推奨するものではありません)
そして、それが私の名だと気づいた。樹里という、いかにも西洋かぶれで、行動的な人物を連想させるような名前には未だに慣れない。もしかすると、一生、慣れることはないのかもしれない。墓石に<朝倉樹里>と刻まれて、その下の土の中で眠っている白骨の私ですら違和感を覚えているのかもしれない、と思った。
とにもかくにも次の部屋へ進むことになっている。なら進もう。
私は観葉植物の脇を抜けて、次への扉に手をかけた。スチールのドアノブをひねると、なんのことはなく扉は開いた。大丈夫、ここまでは問題ない。これまでにも何度もやってきたことのはずだ。今更失敗することもない。誰だって出来ることだ。
(※この物語は、法律・法令に反する行為を推奨するものではありません)
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?