ささやか、だけれど、この人とだけ。

題名が気になって読みはじめたの。色々考えてしまうテーマが入ってる。

遠く離れた田舎。あまり帰ることに乗り気になれない場所。
ほんの少しの帰省の折に、出会った彼女。

すきだったわけじゃなく、惹かれたわけじゃなく
でも、自分に近いものを感じて、一緒に住み始める。

そう。人生には、出逢った瞬間から恋とわかるものばかりではなくて
こんな風に、とある縁があったから繋がる場合もある。

でも、それを大切に思うことがなければいつしか離れていくわけだから
自分にとって辛いことを話せる相手なのかどうかはすごく重要で
二人が一緒にいたのはそれを見極めるためだったのかな。なんてね。

この作品の何がいいって、特に第2話。
言い表せない不安や漠然とした感じが出ているところがすき。
大学進学を機に家を出た彼にとって、部屋だけが高校生のままで止まっている。
感傷に浸りながら今の自分を見つめる。そして未来の行く先、今は途中の自分。
こういう場面をさらっと書けるのっていいなって思ったよ。

ついもっともっと心情をと願ってしまうのも、魅力的な故、仕方ないでしょう。

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