物語として再構築された『魏志倭人傳』

北狄専門で東夷は興味薄でしたが、
この度初めて『三國志』魏志倭人傳に
朱を入れて読むこととなりました。

それというのも、本作の確固とした世界は
必ずや裏打ちする史料によっているはず、
と興味を惹かれたことによります。

無論、知識として難升米、都市牛利、梯儁、
張政の存在を知ってはいましたが、脳裏に
彼らを描けるほどには読み込んでいません。

そんな曖昧な存在だった彼らを生き生きと
描き出す本作の描写は、よほどに史料を
読み込むか、訓練された想像力か、その
いずれかによらねば難しいと思います。

冗長さを排した文章は抑制が効いて簡潔、
表現からは冗長と無駄が省かれ、しかし、
読む者が脳裏に倭人傳の世界を描くのに
十分な情報を与えてくれます。

かなり推敲されていると見ました。

さらに気になるのは人名や地名のルビ、
漢音ならズィウェンのはずの子文のルビが
「シェイムン」、難斗米が「なとめ」、
張政が楽浪の人なので、漢人は韓音とし、
日本人は万葉読みになっている???
でも、それなら子は「ジャ」になりますか。

うーむ、語学は苦手なので分かりません。

張政の倭国訪問を楽しみにしています。