舞台良し、内容良し、うるさいけど喋る鳥が好き。上質なファンタジー小説

大人たちが罪を犯し、大人たちが隠蔽し、大人たちが……。
そんな村にたどり着いた薬師の深と、山彦鳥と呼ばれる喋る鳥の緑。
天邪鬼に取りつかれた問題児の与依を理解しようと進んで動く姿や、与依のどうにもならない胸のうちなど、とても深く心に響きました。
そして、次々と明かされていく村の真実に、胸が苦しくなります。
どうして大人ってこんなにも汚くて、狡くて、事なかれ主義でいられるのか。
腹立たしいものを感じましたが、殺して終わりじゃない結末がすごく良かったです。

子供の世界と大人の世界、この二層がうまく融合していて、大人でも子供でも楽しめる質の高いファンタジー小説です。
もっと評価されても良い作品だと思います。

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