魍魎の婚約

作者 野沢 響

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★★★ Excellent!!!

外の世界から隔離された紅蓮は、ずっと蔵の中。
そこにやってきたのは、魍魎の清流。魍魎と言えばおどろおどろしいイメージがありますが、清流は好青年。紅蓮のために頑張る姿は魍魎のイメージを払拭しました。
そして紅蓮の知らない世界を語る清流。紅蓮の喜ぶ顔が見たい清流。
この二人が穏やかに過ごす時間は極わずかで、儚い時間をより大切に、愛おしくなっていく様子が温かい文章で優しく描かれています。

あまりにも優しく、純粋に惹かれ合う清流と紅蓮。ハッピーエンドを願わずにはいられないのに、周りがそれを許してくれません。
様々に絡みあう恋模様も気になり、不穏な動きをする者にもハラハラしたり。
趣がある和風ファンタジーを楽しんでみませんか?


★★★ Excellent!!!

不幸な事情から蔵に閉じ込められている女性。一歩も外に出ることも叶わず、ただ食事と着替えを運んで来る世話役が日に数度来るだけ。しかし、そんな彼女にも楽しみにしていることがあった。それは夜になるとやって来る魍魎の少年との逢瀬で……

この二人の逢瀬。ひたすら可愛くて可愛くて可愛くて……最高です。
やり取りのひとつひとつが互いを大切に思いあっていて、純粋に惹かれ合う彼らの姿にほっこりして心が浄化しますよ。

そんな繊細さと健気さと初々しさが満ちている二人の周りには、何やら不穏な気配も漂い始めていて、物語の行く末にハラハラしています。

舞台は江戸時代、火事の多い場所のようで、それ故に神とも妖とも言える魍魎たちの伝承もあり、他にも妖狐、烏天狗たちが近くの山には住んでいるのです。

妖艶な白妖狐に人見知りの妖狐、人間と変わらない恋バナに花を咲かせる魍魎仲間たち、人間側も多彩で、個性豊かなキャラクターたちが生き生きとしています。

自然の恵みや食のおいしさなど、それらが流暢な筆致で美しく描かれており、展開も安定して面白く、それぞれの思惑が入り乱れながらも読みやすくて、どんどん先が気になって最新話まで一気読みしました。

人間と魍魎、二人の恋の行方はどこへ向かうのか。
和風純愛ファンタジーに目が離せません。

★★★ Excellent!!!

魍魎である清流と人間の紅蓮が蔵でひと時の逢瀬を重ねていくのですが、清流と紅蓮の心の清さに心惹かれました。
人間の計り知れぬ魑魅魍魎の類と言えば、悪しき者は妖怪・善なる者を神様と言うのではないかと思います。
この物語に登場する清流は魍魎ではありますが清く純真で読み進めるごとに心を奪われていくような感覚を覚えます。

日々の喧騒を忘れ情緒豊かな言の葉に心癒されることと思います。
是非ともお読み頂きたいお勧めの作品です。