『性』と『身分』に翻弄される二人の、『幸せ』への物語。

 ポップなあらすじに反して、結構シリアス面が強い物語です。
 生まれながらの性を否定され育てられた、どこか危ういジュリア(本名ユリウス)。「若い女」ということで、まず最初に「結婚」を考えるも断られ、就職のアテもなく、微妙に行き詰ってしまったアレクシアは、不器用だけれどやさしく危ういユリウスに惹かれながらも、身分差で苦しみます。
 立場も性格も正反対だけれど、文化的な性や身分に振り回される二人。ゆえに、読んでいる最中には、ユリウスとアレクシアが結ばれてほしいと切実に思います。読んでいて本当に愛おしくなります。




 ――と、カッコつけるのはこのへんにして。
 もう、「きゃー!!」って叫びたいぐらいに、甘酸っぱいです! ページをめくるたびに「きゃー!!」です! 特に第四章が最高に「きゃー!!」です!! (「きゃー!!」しか言ってない!)
 シリアスといいつつも、登場人物のコメディ感が物語を明るい方向へ導きます。特に、二人の最大の理解者して保育士・ウィリアムはこの物語で一番働いたと思われます。彼の番外編もすばらしいですよ!
 最後は、ほうっとした息とともに、「幸せになれてよかった!」と思えるでしょう。きっと続編を読みたくなるはずです!

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