美しいアレクシアはどうしたわけか必要以上に自己評価の低い娘でした。見目麗しい乙女であり語学は堪能にして剣術体術の達人なのに、自分は死ぬほど不器量で取り柄が無いと思っています。
そんなアレクシアの魅力に一目で心を奪われたのが、一国の王子として生まれながら、政敵の目を逃れるために女性のふりをして、不幸で複雑な生い立ちに性格がやや歪んでしまった王子ジュリア(本当の名はユリウス)でした。
二人は恋に落ちますが、ユリウスを慕うが故に恋に躊躇うアレクシアのいじらしさと、愛情表現がど真ん中直球過ぎて相手をのけ反らせるユリウスの一途さが読者をヤキモキさせます。
果たして王国と二人の運命は……。
まるで歴史物語のようなジュリア(ユリウス)と仲間達の活躍が痛快にして爽快です!
* * *
書籍化された<ルクトニア領繚乱記 猫かぶり殿下は護衛の少女を溺愛中>は、この作品の一世代後の時代を描く作品です。なので、両方読むと感動が百倍に深まります。あのときのあの人の名台詞が次の時代へと受け継がれてゆく奇跡を是非堪能してください。
そう、読み出したら止まらないのです。
ゆっくり、じっくり読みたいのに、続きが気になって、あと一話、あと一話……と、一気に読んでしまう面白さです!
性格に難ありと言われている女装王子ジュリアですが、確かに俺様なところもありますが、「王子様としか踊らなんです」と言ったアレクシアのために、エドワード王子と踊れるようにお膳立てしたり……優しい。
でも、本当はアレクシアと男性として踊りたかったんですよね。
「ジュリアと踊った方が楽しかった」
と、アレクシアから聞いた時の反応がまた可愛い。俺様のところまで、可愛く思えてしまうのです。
乙女心がキュンとなること請け合いです!
あとは読んでからのお楽しみです。
久々にキュンキュンさせていただきました。ありがとうございます♪
お家返上につき就職先を探すアレクシア。
ひょんな出会いから先の賢王の遺児ジュリアの家庭教師となるが……。
可憐な姫君ジュリアは女装男子、だけど中身は領地や国のことを考えられる王子様。
この設定がとにかく女子の心を鷲掴みにするうえ、気張らないアレクシアの性格が読者を感情移入させてくれます。
女装を強いられるジュリアの複雑な心境、腹心ウィリアムの忠誠心、翻弄されながらもジュリアを守るアレクシアの気持ち。
キャラがそれぞれ立っている上、余すことなく本文にその心情描写を書き入れられる筆力、素晴らしいです!
政変に巻き込まれ、災害に打ちのめされるその宿命を、お互いの存在を糧に乗り越える様子は感動的です。
読み出したら一気読み確定のおススメ作品です!
なお、書籍化された「ルクトニア領千紫万紅輪舞曲」も購入し2周拝読しましたが、こちらも大変面白いですよ!
お見合いを19回断られ、痛っ! ……失礼しました、うち1回は自分から断ったアレクシア・フォン・ヴォルフヤークトは、致し方なく就職先を探すも、姉の紹介で面接におとずれた家庭教師の働き口はすでに5回断られている。実家はお取りつぶしの憂き目にあっているため、行く先のないアレクシア。
ところがひょんなことから、暴漢に襲われた人形のように美しいお嬢様を助けたことにより、そちらのお屋敷で家庭教師として雇ってもらえることになる。……ことになる。……ことになる。……ことになるのだが。
そのお屋敷のお嬢様、ジュリア・オブ・ルクトニア。先王の遺児。彼女は一見超絶美少女なのだが、よく見ると男。しかも、わがままで身勝手な性格の、おれ様男子なのである。
彼は対外的には女であると偽って、現王の目から逃れて生きていたのだ。
そんなジュリアに家庭教師として雇われたアレクシア。当然本来の役目は全然ちがう。宮廷内部の陰謀に巻き込まれ、ワルツしか踊れないのに舞踏会につれ出され、その結果ワルツも大して踊れないことが発覚したりとさんざんなアレクシアだが、徐々にジュリアとの距離は縮まってゆき……。
とにかく、読んでいて、ああこれ、女子にはたまらんだろうなぁという展開が目白押し。はちゃめちゃ王子様のジュリアと、サムライ気質のアレクシア。二人のやりとりが、とくに楽しい。そして、女性読者悶絶の展開を作り出すため、えっ、そんなバカなという話の流れは、やがて二人の運命を切り裂き……、だが、そこがまた女子悶絶の展開でもあり……。
なるほど、女性読者の心をつかむには、こういう話を書けばいいのかというテキストとしても秀逸な本作。ただし、男性読者が読んでも充分に面白い。
男性とは基本的に浮気性なものだが、それでもやはり、自分にとっての「アレクシアみたいな」女性を見つけたいと願っている。
本作は、第17回角川ビーンズ小説大賞において奨励賞を獲得した名作である。
とくに、話の流れとキャラクターの噛み合わせが素晴らしい。読んだ時間を決して無駄にはさせない作品であると保証する。
というようなレビューを今書いたんですが、これ、続編があるみたいなんですね。で、ちょっとあらすじを読みに行ったら、「ぎゃー、なにこれ、超面白そうなんですけど!」
つづく
16歳の女子だというせいで良家の家庭教師になり損ない続けているアレクシア・フォン・ヴォルフヤークトは、5回目の就職に失敗した先で先王の遺児であるジュリア・オブ・ルクトニアを救うことに。
果たして彼女の家庭教師となったアレクシアだが、ジュリアはなんと、姫を騙る王子様だった!
強い、でかい、あきらめがいい、三拍子そろったアレクシアさんのキャラクターがとにかく秀逸ですね!
セリフじゃなくて多彩な地の文で綴られる彼女の有様は実にわかりやすく、そして軽妙です。
構成ももちろんなんですけど、この文章力は見事ですねぇ。その文章のおかげさまでするーっと読める、意外なほど濃い悲喜劇は極上のひと言ですよ。
さらに初っぱなから俺様全開なジュリアさん、すばらしくおかしいです。
アレクシアさんとの衝突がおかしくて、少しずつ縮まっていく距離が愛しくて……キャラの個性の輪郭をここまで太く引ける造形力は本当に希有なものです。
読み手の方にも書き手の方にもおすすめいたします!
(秋こそガッツリ!長編4選!/文=髙橋 剛)
最初から最後までドキドキときめきの連続でした。カッコいい男子も取りそろえられて?いますし。私の基準ではわりに長いお話ですが、途中だらけることも読んで飽きることもなく、ずっと楽しめました。
私が特に感銘を受けたのは、二人の印象的な出会い(それもそのはず彼は女装中ですから)をふと彼女が後で思い出す場面です。ここを読んで一番泣きましたね、切なさ度マックスでした。
ヒロインは武術に長けているしその辺の男性よりも強くて、背も高いです。品格がないとは私は全然思いませんでしたけど。充分品の良いお方です。私はこんな芯のしっかりした女性キャラはモロ好みですね。
脇役のお気に入りはヒロインのお姉さまです。流石人生と恋の先輩、色々いいことをおっしゃっていました。
素晴らしい作品、ありがとうございました。
実は続編となる『ルクトニア領千紫万紫輪舞曲』を先に読み、それからこちらに……という通常とは逆のパターンで拝読させていただきました。
しかし!
順番など関係なかった!!
ドキドキとキュンキュンが止まらない!!
ふとしたきっかけで家庭教師という名目で雇われることとなったアレクシア、その主であり、訳あって女装しているジュリア、この二人の掛け合いが本当に楽しくて可愛くて、時に切なくて…………もう心臓が休まる暇がない!!
二人だけでなく、ジュリアお付の騎士・ウィリアムという強キャラが加わると、トリオコント状態!!
しかしそんな平和な時は続くことはなく、二人は恋心を抱き合いつつも、時代の流れに翻弄されていきます。
世界観がしっかり作られているからこそリアルで生々しくて、それ故、苦悩するアレクシアに激しい共感を覚えました。
笑って怒って、泣いて喜んで、ヒロインを全力で応援したくなる、素敵な恋愛物語です♡
自分には何も取り柄がないと思い込んでいる少女が美しい女装の王子様と出会うラブストーリーです。
ヒロインと王子様の掛け合いのリズムが軽快で、とんとん進んでいきました。
基本的にはラブコメですが、切ないすれ違い、切ない生い立ち、切ない別れと、ところどころに感情を揺さぶる設定や展開が配備されています。
いえ、切ないばっかりでもないんです! ときめきもたくさん詰まっています。
夢とロマンに溢れたラブストーリーです。
とにかく女装王子ジュリアことユリウスが魅力的です。
性格に難ありとのキャッチフレーズですが、年頃の男の子なんだなと思うとなんだかいじらしくなってしまいます。
母性本能をくすぐられる!
とても美しく可憐な容姿ですけど、けして好きで女装しているわけではない。
その出生の経緯から男であることを隠さざるを得ない。
本当は外でのびのびやんちゃして暮らしたかったんだろうな、と思うと悔しくて歯がゆくてたまりません。
途中で男の姿に戻る展開も来ますが、それも彼自身の意思ではなく、本当に何もかもままならない。
だから彼が自分から時代の要請に応えて立つことを選択した時は感動で震えました。
それもこれも、すべて愛のためなんですけどね!
罪な女、アレクシア。
惚れた女のために戦うユリウスはかっこいいぞ。
ヒロインのアレクシアも魅力的です。
背が高く、「この国の」美的感覚にはそぐわない容姿。ワルツも、本当に踊れている!? と不安がいっぱいですけど、強くてたくましい戦うヒロインです。
危なっかしくてはらはらしますが、大丈夫。
ユリウスが彼女に惹かれるのも分かる。
二人がお互いをとても想い合っているのが分かる……。
アレクシアはこれからもたくさん愛されて大事にされるんでしょうね、早くその愛を受け入れることに慣れてほしいです。
紆余曲折はあっても最後は大団円ハッピーエンドです。
ユリウスなら絶対アレクシアを幸せにしてくれるって私は分かってたけどね!
ほっとした気持ちで読み終わりました。
実は私の推しはエドワードです。
男らしく暑苦しいのが好きでして……!
ユリウスとウィリアムの兄弟のような親友同士でもあるような主従も最高でした。
番外編の川でのエピソード、ご褒美です。
素敵な作品をありがとうございました!