(うその)レビュー書いてます

ゴリラとオタクと幼女趣味を相手取った主人公の四角関係を、素晴らしく綺麗に書き上げた現代のハーレクイン小説。

シルベスタースタローンが『ランボー』で表現したかった、男の強さをゴリラの汗と匂いで現し、ウラジーミル・ナボコフの『ロリータ』で描かれた偏執的な愛情を幼女(アニメ)趣味の理由はどうあれ一般的ではない嗜好で被せ、ハゲの『もしドラ』でハゲが頑張って書いた御都合主義的な若者の願望をオタクの自己陶酔的な趣味の世界で包み込み、それぞれを独立させず一つのうねりに落とし込んで見事に調和させている。

余談ではあるが作者(陽野ひまわり氏)が、世界のハルッキー(斑神はるき)の愛弟子で、次代を担う一翼として育てられたのは公然の事実。いや秘密。
(乗るWEYの森でヒロインとして登場した直孤は、この作者がモデルであったのでは?とも言われている)

その見出された才能は、この作品で見事に花開き、潜在的な実力をまざまざと我々観衆へ見せつけてくれた。

さて数々の著名人から山の様なレビューを贈られている、この作品、『異世界転移研究所総務部企画課広報スタッフの私ですが、異世界には転移せずに現実世界で日記を書きます。』ではあるが、その素晴らしい内容ばかりがニュースで取上げられ、装丁の美しさについての記事がなかったので、私はそのことについてコメントしようと思う。

A5版サイズのハードカバーで発売されている本作品だが、既存の装丁とは少し趣きが違う。装丁を担当した人間国宝装丁師の坂東寅八郎氏(蘇生回数4)によると、屋久島杉から切り出した一枚物の表紙板及び裏表紙板の原材を13日間、マイアミに生息する絶滅危惧種ユウレイランの香で燻し、その上からこれも絶滅危惧種であるマーライオンの背皮を鞣した最高級なめし皮「大海の宝玉」を丹念に張り付け、四隅には補強として66日間聖水に浸された24金の留め金細工を施すなど、一つ一つ中二全開の手作業で作り込まれている。

それだけでも充分な美しさを醸すのだが、クリスちゃん&ラッセン氏による直筆表紙絵をトドメに加えて完成へと至る。

尚ラッセン氏は陽野ひまわり氏の大ファンを公言しており、自ら表紙絵着手に名乗りを上げた。(実際には世界中から4500人程の有名画家が名乗りをあげたが、オベリスクの巨神兵を所持していたラッセン氏がデュエルで勝ってこの幸運を手に入れた。日本人では蛭子収能氏、工口(こうぐち)マンガ先生氏も名乗りをあげていた)

このような布陣で制作された、いわば現代アート的な作品ではあるが、全編3万文字前後である事を考慮し、発売元からは定価1500円(税別)という低価格で販売されている。

坂東寅八郎氏とクリスちゃん&ラッセン氏に支払う技術及び制作手数料は1億ドルを超えるが、発売元が「この作品なら勝てる。回収は余裕」と、強気の発言を繰り返しているのを見るに、充分な勝算があるのだろう。

尚、このような丁寧すぎる制作工程を経て市場に出回る為、1か月に2冊が販売限度数(芸術作品なので製造数がそのまま販売限度数となる)であり、需要と供給のバランスが取れておらず、幻の名本として海外オークションにおいて高値で取引されている。

金に飽かして初版本を競り落とした某マイク〼ソフト会長は、本編のページ、一枚一枚をオイスターソースに浸して食するという、言わば反社会的な動画を公開し、またもや世界中の批判を集めてしまいサイトを炎上させた。後日、同社正式発表による釈明文の内容によると『会長は【いいね!】が欲しかったらしい』と、現代人特有の尤もな理由を挙げ、何とか炎上の鎮静化に成功した。

最後になったがこのハードカバーには当然、帯も付いている。
西陣織で編まれた帯に転写されたコメントを飾るのは、以前裸芸人として一世を風靡した「なすB氏」だ。氏曰く「この作品を読んだら、懸賞に当たる確率が増えた」らしい。お前、まだ懸賞生活を続けてたのかと、戦後30年間フィリピンの島で戦い続けていた日本兵を彷彿とさせるとして、こちらもブームが再燃している。

これからも私は、同作者の作品を追いかけていこうと思う。



(談:乃〇坂48の握手会の度に爆発物を仕掛ける黒幕)

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