これは一種の先祖返り

昨今流行の異世界転生が人々の共感を集める要素のひとつに
「現実世界ではおミソだけど環境が変われば大活躍できハズなんだ」という願望の
代価行為という面があるとはよく言われる話だが、その流行の変遷を辿っていくと
途中に必殺シリーズの顔役・中村主水の存在が見えてくる。

初出演の必殺仕置人では主人公のうちの一人でしかなかった彼だが
「家庭ではいびられ職場ではうだつが上がらないが裏では凄腕の暗殺者」というキャラクターが
世のサラリーマンたちの共感と羨望を集め主役格の中でも頭一つ抜けた人気を博し
以降彼をメインとした主水シリーズが作られるようになったという。

となれば、その主水シリーズのエッセンスを多分に含んだ今作は一種の先祖返りとも言えるのではなかろうか。
そのあたりの興味深さも含め面白く読ませてもらった。

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