学芸員のお仕事は、魂の宿った芸術品と対話することであった

一時期なにかと話題になった美術館の学芸員が主人公です。学芸員とは、デリケートな美術品を正しく保管して、後世に伝えていくお仕事になります。

ですが本作の学芸員は普通とは違って不思議な力が使えます。美術品の言葉を聞き取れるのです。

年季の入った美術品たちですから、性格やこだわりにも一癖あり、主人公は振り回されっぱなしになります。ですが学芸員側の仲間たちも一癖二癖とある頼りがいのある人々なので、ある意味では学芸員と美術品の綱引きなのかもしれませんね。

話の進め方ですが、短編連作方式となっていまして、それぞれの美術品にはモデルがあります。ゴッホのひまわりや、ムンクの叫びですね。あれらがアレンジされて、人の言葉を操りながら主人公を困らせます。時々美術館から脱走して、学芸員と鬼ごっこを楽しむわけです。想像していたより大変ですねぇ、学芸員のお仕事って。

どうですかみなさん、この物語を読んで学芸員のお仕事に興味を持ってみるというのは。もしかしたら美術館に足を運びたくなるかもしれませんよ。現実世界の美術品も動き出すんじゃないかってね。

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