永遠のように長く愛し、恋してる男性の、奥さんへの語りかけ。こういう話だとわかって、それ以上に語りかけから伝わる彼自身の視点の優しさに、涙なしには見られません。読後はちょっと、いろいろな思いが合わさって、「あ〜……」ってなっちゃいました。
ぼく目線で語られるストーリーは、全編で優しく包まれるような温かい雰囲気があります。ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、「おじいちゃん」や「おばあちゃん」ではなく、「ぼく」と「かすみさん」。あの頃のまま、今でもずっと恋をしているのだと思います。温かくて、切ない素敵な恋の物語です。
きっともうすぐ、また会えるでも、まだしばらく会えない方が幸せなのかもどっちがいいのか、よくわからない一度に両方は選べないけど、どっちでもきっと幸せ
全編に愛が溢れていました。いろいろな愛の形がありますが、この愛は切ないながらも、大河のようにゆったりと、堂々と、そして色褪せることのない、力強い愛でした。一番大切なものを手に入れるということ。それを失うということ。それでも、前に進むということ。この物語から、前進するエネルギーを貰いました。ありがとう!オススメです!
先立たれた妻へ認めた恋文。実は、書いた夫も『二十歳』の頃に書いて、そっとどこかに眠らせておいたのではないかと思うような優しい感じの文面に、癒しと魅力を感じました。こういう恋文。自分も書いてみたい☆
はるか昔を回顧する男性の心情が溢れ出るようでした不器用でも、一生懸命生きた一人の男性にとって唯一の妻である一人の女性は、いつまで経っても二十歳のままなのでしょうね。全文を読み終えて、出征する時の夫の姿をいつまでも覚えている老婦人の手紙を思い出しました。戦後長生きした彼女は、自分が夫のもとに行った時に分かってもらえるかと、何歳になってもの女ごころを書いておられました。この物語の男性にとって、これが一番素敵な恋だったんでしょうね。
命は巡るもの。 そこに思いを乗せて、次代へと運ばれていくもの。 それを運命と呼ぶか。 たとえ、愛すべき存在が、霞のように消えてしまったとしても。 優しい作品、いや、違うな。 柔らかい、だろうか。 指先に触れる薄桃色の花弁のような。 淡く柔らかな読み心地だった。
切なさよりも優しさを感じる短編で、何故か主人公役に田村◯和を思い浮かべてしまいました。色褪せない想い出は良いですよね!禁じられた恋の話を引っ張る事もなく、素敵な愛のメモリーがただそこに存在するのみ。出会えて良かったです。
桜はすぐに盛りを過ぎて散ってしまうけれど、散らない桜がここにあります。永遠に咲いている桜。散らない恋ごころ。涙なしには読めない「恋文」を堪能してください。こんな「恋文」を書いてみたい。こんな「恋文」をもらってみたい。あなたはどう想われますか?
終始おじいさんの独白という形式で語られる、かすみさんという愛しい伴侶への想い。不器用なまでに真っ直ぐな慈しみが、とても胸に響きます。こんな風に想って、こんな風に想われて、凄く幸せな時間もあったと思うけど……読後、私はやっぱり切なかった。おじいさんが愛するかすみさんと、娘の菜々ちゃんとの時間。その中で幾度涙したのかな、と思うと、私も涙が出てしまいました。幸せだった?と訊いたなら、おじいさんはどんな顔をするのかな。心打たれる家族愛の物語。是非読んでみてください。
愛が深ければ深いほど失った時の悲しみは大きい。失う事を恐れて愛するのをためらいますか?いいえ、やっぱり人は愛さずにいられない生き物なのです。たとえいなくなっても、愛は育つのだと……。そう信じられるような、そんな心温まる作品です。是非読んでみて下さい。
桜の花びらを背景に、主人公のぼくが過去へといざなってくれます。とてもやさしくて、あたたかい作品です。読み終わったあとに、ちょっぴりさみしさを感じてしまうほど、繊細な作品です。