ストーカーからの手紙

生島いつつ

最初の手紙

拝啓、


 初めまして。いつもお姿拝見させて頂いております。


 初めてお見掛けしたのは桜が散り始めた頃でした。私の目の前に現れたあなたはとてもお綺麗で、そしてとても儚く、私の心は瞬く間に奪われてしまいました。あなたの装いは清楚で可憐なワンピース。広つばのハットがよくお似合いで、魅力に満ちたあなたはどこか悲しい目をされていました。薄く塗ったルージュはあなたの魅力をより引き立て、その肌に触れてみたいと思ったものです。


 次にお会いしたのはあなたのご自宅。二〇一〇年代も後期に差し掛かったこの時代に、森の中にひっそりと建つ洋館はあなたの印象にとても似つかわしく、そこにお一人で暮らすあなたへの庇護欲をも駆り立てます。私がいつも傍におります。寂しくなったらいつでもその綺麗なお声をお掛け下さい。


敬具

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