九通目

拝啓、


 リビングにある趣ある重厚なソファー。そう、あなたがいつも腰掛けてお寛ぎになるソファーです。あなたの温もりとあなたの重みを感じ、高級素材とウレタンを越してあなたに振れることは至福の時であります。昼間はここでローズティーを飲み、夜はワインを嗜んでいますね。均整の取れたあなたの腰はとても滑らかな曲線を描き、私を虜にします。


 今日の昼下がりはとても天気が良く、開け放たれた窓から吹き込む風は心地よく、あなたはここに身を倒しシエスタに耽っておりました。それを私が全て受け止めて差し上げましたよ。気持ちよさそうに眠るあなたをずっと見守り続けました。


 今読まれている本は西洋文学ですね。眠られた時、栞を挟んでおらず指が抜けそうになっておりましたので、私が栞を挟んで差し上げました。続きもご安心下さい。


敬具

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