十通目

拝啓、


 二階のあなたの寝室のベッドは広く、鏡面の広いドレッサーは重厚で気品に溢れ、お美しいあなたをありのままに映し出しております。ネグジェリ姿のあなたはとても艶やかで思わず見惚れてしまいます。その曲線美はもはや芸術と言う他なく、その表面を撫でてみたく思います。


 ブラッシングをされた髪は滑らかで、渓流のようにも思います。ドレッサーに常備された化粧品や乳液はどれも高級品で、お上品なあなたにとても似つかわしく、あなたの美を高めてくれます。ドレッサーの前に座り、鏡にその身を写すあなたはお化粧を落としても尚、可憐でお美しい。


 今宵はどんな夢を見られるのでしょうか。ベランダから吹き込むそよ風を浴びれば、夏の夜の寝苦しさも幾分和らぎ、休息の時を迎えられるでしょう。それではおやすみなさい。


敬具

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る