二通目

拝啓、


 ご自宅から町まで歩いて下りるあなたの佇まいはとても煌びやかで、より一層心を奪われました。よく晴れたこの日、森の木漏れ日がスポットライトのようにあなたに降り注ぎ、薄くファンデーションを塗ったあなたをそれはもう美しく映し出しておりました。風に靡く黒く長い綺麗なその髪は、広つばのハットの下で優雅に揺れていたことが印象的です。


 帰宅したあなたは食材や日用品の買い物袋を手にしており、細身のお体で荷物を手に自宅までの坂を登ってきたことが心配されました。しかし漏れる吐息は、その音が耳に心地よくも感じました。


 キッチンから漏れるお料理の香りは食欲をそそり、包丁がまな板を叩く音は小気味よくリズミカルで、家庭的なあなたを感じました。恥ずかしながら私の腹の虫が自己主張をした次第です。一度ご馳走に上がりたいものです。


敬具

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