エピローグ


ニブル侵略戦争

 ニブル国の領土拡張主義から来る侵略戦争は、アルフ国王が病で床に伏せったのを機に、ニブル国からの突然の宣戦布告で始まった。


 ニブル軍は首都を狙うと考えていたアルフ国の予想を裏切り、燃料生産都市であるアフルサンドリアへ進軍する。

 当初、アフルサンドリアはすぐに陥落されると予想されていたが、その道中のルークヘブンで義勇軍が結成されると、ニブル軍の侵攻を食い止めた。


 激しい戦火の中、ニブル空軍は新型戦闘機ベルセブブを投入。

 義勇軍は空域を制圧され、ニブル地上軍がルークヘブンに侵攻しようとしたその日、ワイルドスワン率いる4機連隊『フォースバード』が現れると、瞬く間に空域を取り返して、ニブル地上軍を後退させるのに成功した。

 その後、奇跡的に回復したアルフ国王は周辺諸国に応援を要請。ニブル軍を領土から撤退させると、逆にニブル国へ進軍する。

 2年後、ニブル国はアルフ国に降伏して、戦争は終結した。


 後世の歴史家は、この戦争が僅か2年で終結したのは奇跡だと、ルークヘブン義勇軍を讃えていた。



◇◆◇◆◇◆◇◆


アーク

 エデンの森から帰った後、ニブル侵略戦争でルークヘブン義勇軍に参加。

 義勇軍に入ると、フォースバードと呼ばれる4機連隊の『スワン』として活躍し、エースパイロットになる。

 フォースバードの活躍によりニブルの侵略は失敗し、アルフを勝利に導く。

 終戦と同時にマリーベルと結婚。

 結婚後はルークヘブンの黒の森で狩りを続け、マリーベルの店の仕入れ担当になる。

 マリーベルが娘に店を譲った後は、2人で故郷のヴァナ村へ移住してウィスキー生産者として人生を過ごした。




フルート

 アークと共にニブル侵略戦争のルークヘブン義勇軍に参加する。

 何故かルークヘブン義勇軍のマスコットガールにされて、本人は困惑。

 終戦してから5年後、ワイルドスワンと共に行方をくらます。




マリーベル

 アークがエデンの森に居る時に男子を生んだ。

 ニブル侵略戦争の終戦後にアークと結婚して娘を生む。

 結婚後も『ルークバル』の店を続けて、娘が成人すると店を譲り、アークと一緒にヴァナ村へ移住した。




フランシスカ

 ニブル侵略戦争でルークヘブン義勇軍の整備士として参加。

 戦争中にロイドと結婚して、三つ子の女子を生む。

 結婚後は家族でコンティリーブに移住して、整備士の仕事を続けた。




ロイド

 ニブル侵略戦争でフォースバードの『ホーク』として活躍する。

 戦争中に一度死亡するが、アークがケツにエリクサーを突っ込んで蘇生。

 蘇生後、すぐにフランシスカと結婚。

 終戦後はコンティリーブへ移住し、空獣狩りのパイロットとして有名になる。




ダイロット

 ニブル侵略戦争でフォースバードの『レイブン』として活躍する。

 終戦後はコンティリーブに戻り、空獣狩りを続けて55歳で引退。

 スヴァルトアルフに移住して、パイロット教習所の校長になる。




ナージャ

 ニブル侵略戦争でフォースバードの『スパロウ』として活躍する。

 終戦後は父親のダイロットと共にコンティリーブで空獣狩りを続けた。

 28歳でレッドと結婚してパイロットを引退。二男を生む。




ルイーダ

 ニブル侵略戦争ではルークヘブン義勇軍の整備士長として活躍する。

 彼女の部下たちも活躍し、ルークヘブン空軍を陰で支えた立役者となった。

 ダイロットと仲睦まじく、整備士を引退すると普通の主婦に戻った。




レッド

 15歳でパイロット資格の免許を取得すると、ルークヘブンで空獣狩りになる。

 その後、コンティリーブへ行き、腕の良いパイロットへと成長した。

 彼はフルートと結婚したかったが、その本人が行方不明だったため、ナージャに押し切られて結婚する。




オッド

 アークが持ち帰ったエリクサーをアルフ国王に献上する。

 国王はエリクサーで病気を治すと、他国の協力を得てニブルに勝利するきっかけとなった。

 その功績から戦争中に爵位を得る。

 貴族になってもウルド商会の代表責任者を続けて、60歳で糖尿病になると息子に後を譲った。




ドーン

 ニブル侵略戦争ではルークヘブン義勇軍の大将として活躍する。

 終戦後は実家に帰って、近所の後家と結婚し農家になった。




ドーズ

 ニブル侵略戦争ではルークヘブン義勇軍の中隊長として活躍する。

 終戦後は、ドーガと共にビック、スモールの運送屋の護衛を務めた。

 風俗嬢と結婚。



ドーガ

 ニブル侵略戦争ではルークヘブン義勇軍の中隊長として活躍する。

 終戦後は、ドーズと共にビック、スモールの運送屋の護衛を務めた。

 独身。




ビック&スモール

 ニブル侵略戦争ではルークヘブン義勇軍の補給部隊として活躍する。

 ルークヘブン義勇軍が戦争を続けられたのは彼等の活躍が大きい。

 終戦後は、ドーズ、ドーガと共に運送屋を続けた。

 W独身。



マイキー

 4年後に病死するが、アークが死体のケツにエリクサーを突っ込んで生き返る。

 蘇生後は痛風も治って無駄に元気。

 コンティリーブのドッグで趣味でもある戦闘機の設計をしながら、のんびりと孫娘の面倒を見る。




ナディア・キナ

 出版した『Sky is the limit.』がベストセラーになる。

 その2年後に出版した続編『EDEN』もベストセラーになるが、同時に一部の歴史学者から驚きの声が上がった。

 18歳でスヴァルトアルフの貴族と結婚。執筆活動を続けながら一男二女をもうけた。




ベッキー

 ウルド商会のダヴェリール国の代表まで昇格する。

 27歳でお見合い結婚して、一児の母になった。




ギーブ

 ヴァナ村で整備士の仕事を続ける。

 健康オタクのおかげか、老人になっても元気で居続けた。




チャーリー

 ニブル侵略戦争ではルークヘブン義勇軍の小隊長として活躍する。

 終戦後は、ウルド商会の社員になって、ヴァナ村のウィスキーをルークヘブンへ届ける仕事を続けた。

 終戦から8年後にウルド商会の職員と結婚する。

 その後、ヴァナ村に移住してアークと共にウィスキー生産者なった。




ミッキー

 ヴァナ村で管制塔の職員をしていたが、たまたま来たラジオ番組で軽いトークをしたら有名になり、上京してコメディアンとなる。

 名前は出さなかったが、アークを弄ったネタが受けて億万長者に。

 金を稼いだ後はヴァナ村に帰って、アークが移住するとチャーリーと共に酒飲み仲間になった。

 6回の離婚歴アリ。




ロジーナ

 ウルド商会のルークヘブン代表まで昇格する。

 29歳で一般男性と結婚すると、子供を作って本当に母になった。




ミリー

 ニブル侵略戦争ではルークヘブン義勇軍の経理担当として活躍する。

 終戦後は実家に帰って、見合い結婚をして三男二女をもうける。




シェイン・キナ

 ニブル侵略戦争ではスヴァルトアルフの友軍として参戦。

 その後、スヴァルトアルフ軍の少将まで昇格する。

 娘のナディアが呆れるほど、妻のヴァニラ・キナとは睦ましい。




トパーズ

 コンティリーブ空獣ギルドのマスターを続けていたが、左右に居た受付嬢の2人と一緒に4年後に退社。

 その後、コンティリーブの村長となる。受付嬢の2人は退社後も彼女を支え続けた。




アレックス

 コンティリーブで空獣狩りを続ける。

 5年後に引退してパイロット教官になった。




ジョセフ

 コンティリーブの航空機誘導員を続ける。

 風俗無料案内所のあだ名が定着して、女性パイロットから白い目で見られる。



ラビット

 コンティリーブの管制塔職員を続けていたが、ラジオDJに転職する。

 放送内容があまりにも卑猥で、深夜のエロ大王というニックネームが付けられる。




ストーカーS

 懲役3年の実刑を受ける。




◇◆◇◆◇◆◇◆


 終戦から18年後……。



「あなたがジャン?」


 裏路地を歩いていたジャンが振り返ると、人間の年齢だと20歳ぐらいに見えるエルフの女性が彼を見ていた。

 エルフはジャンが今まで見たことのないぐらい美しく、輝く金色の髪は腰のあたりまで伸ばして気品がある。だが、黒いレザーのズボンに黒い革ジャンを羽織っている彼女は、お淑やかとは無縁の格好だった。


 どこかで見た事のあるエルフの女性に、ジャンが首を傾げる。


「確かに俺だけど?」

「もぐりの輸送屋で、違法な荷物でも金さえ払えば何でも運ぶ凄腕のパイロットらしいわね」

「仕事か? そんなに褒めても今は金がねえんだ。まけねえよ」


 彼の言い返しに、エルフが肩を竦めた。


「顔はマリーさんに似てるけど、性格はアークに似ているのかしら?」


 それを聞いたジャンが顔を顰めた。


「アンタ、親父の知り合いか? 悪いけどクソ親父の苦情はガキの頃から言われ続けていてね。受け付けない事にしてるんだ」

「それは悪かったわ。私も似たような経験があるから、心境は理解する。それよりも仕事を頼みたいんだけど、良いかしら?」


 仕事と聞いてジャンの表情が真面目になった。


「それは構わないけど、危ない仕事か?」

「……そうね。危ない仕事だし、人に言えない仕事だけど、どうかしら?」

「金と仕事内容によるな」

「報酬は1000万ギニー。内容は古い戦闘機を私と一緒に運んで欲しいだけ」


 金額を聞いてジャンが心の中でほくそ笑む。


「……詳しく聞こうか」

「そう? じゃあ付いて来て。一杯飲みながら話しましょ」


 そう言うとエルフの女性が先に歩き出した。


「それで、その戦闘機はどんなヤツなんだ?」


 先を行くエルフにジャンが話し掛けると、彼女は頭だけを振り向いて笑みを浮かべる。


「ワイルドスワンよ」


 戦闘機の名前を聞いて、ジャンは彼女の正体を思い出し、呆然と立ち尽くした。


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スカイ イズ ザ リミット ー無限の空を白鳥は飛ぶー 水野 藍雷 @kanbutsuya

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