金魚と共に永遠に生き続ける少女のお話

大机の裏にびっしりと書かれた日記。
古い時代のものと思われるそれを書いた人物は一体誰なのか。
なぜ、わざわざ机の裏に書いたのか。
そんな疑問からこの物語は始まります。

現代を生きる六花と大正時代を生きる果穂子。
時代を行き来しながら、少しずつ紐解かれていく日記の秘密。

日常に溶け込むようにして存在する秘密を紐解く感覚は、六花だけでなく読み手もドキドキさせます。
日記の秘密もそうですが、秘密を調べるうちに知り合う人々。それによって本の世界にのめり込んでいた内気な六花が、少しずつ視野を広めていく様も心が温まりました。
同時に果穂子の願いは、間違いなく現代へと繋がり、未来にもつながる。そう確信させてくれる展開に、安心感と切なさと、そして美しさを感じました。

大正時代、図書館、洋館、金魚。
要素だけでもトキメキを覚えるものがたくさんあります。
惹かれた方、ぜひとも読んでみてください。

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