世界を変えるのは些細な変化で十分なのかもしれません

 何気なく通っていた道に見慣れないコーヒースタンドができていた。
 それに気づいた高校生から始まる、年齢も性別も職業も違う人々のコーヒースタンドに関わるお話。

 突然できたコーヒースタンドは店名も不明。店主も不明。システムも不思議だし、出てくるのはインスタントコーヒー。なんでこんなところに、こんなお店が?
 そんな疑問を抱いたら最後、どんどん物語に引き込まれていきます。

 4人の視点を読んでいくにつれ、少しずつ明かされていくコーヒースタンドができた理由や店主の事情。大きな事件があるわけでもなく、現実に起こりうる見逃してしまったかもしれないほど些細な変化が登場人物に訪れます。そのちょっとした変化で日常は色を変えるのだと気づかされてくれるようなお話です。

 一話一話は短く読みやすいですが、中身は濃厚。
 寒さが和らいで、春が間近に迫る季節にこそ読んでほしい一作です。

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