第5話 普通に第2部「ホーリー&ダーク!!!」1
第2部 序章
物語の世界ポンジャは、かつて魔王モヤイの闇の力で暗黒の世界が広がっていた。しかし魔王モヤイは伝説の勇者ハチによって倒され、魔物たちも闇の世界に帰って行った。それからポンジャは平和に包まれていた。
100年の歳月が流れた。ポンジャの国王はポンジャ王の孫、ポンジャ3世が治めていた。突然、世界中に5体のモヤイ像が現れた。世界に再び不穏な闇の気配が漂い始めた。闇の気配の正体は、魔王モヤイ2世。魔王モヤイの子供である。
モヤイ2世は、父である魔王モヤイの敵討ちのために、闇の世界からポンジャ王国にやって来た。復讐に燃えるモヤイ2世は、配下の魔物たちに人間を襲わせ、次々と人間が平和に暮らす街や村を破壊していった。
人々が魔物の出現に絶望する中、ある予言の巫女が言った。「勇者ハチの末裔が魔王モヤイ2世を倒すであろう」と神の声を伝えた。そしてハチの末裔が現れ、普通勇者の第2部が始まる。
ここはとある家。朝日が昇っているが、成人男子が自分のベットで眠っている。
「ぴよ、ぴよ。」
ペットのひよこの鳴き声に、成人男子がまだ眠たそうに目覚める。
「んん~、ピヨピヨうるさい。んん~、普通にもう一眠り。」
成人男子は2度寝を試みる。
「起きろ! ハチハチ!」
年老いたおばあちゃんが成人男子の布団を巻き上げ、ベットから叩き落す。
「痛いな!? ばあちゃん何するんだよ!?」
「もう朝だよ! さっさと起きな!」
「い~だ!」
「おまえは子供か? もう立派な成人男子なんだから、しっかりおし。」
「好きで成人男子になったんじゃない。」
「はあ~、それでもおじいさんの孫なのかね?」
「またその話・・・。」
ハチハチは子供の頃から、おばあちゃんのジュウイチに、亡くなったおじいちゃんの話を聞かされていた。物心ついた頃には、ハチハチの両親は死んでいた。
「おまえは世界を魔王から救った伝説の勇者の血を引いているんだよ!」
「そして、おばあちゃんを選ばずに普通に助け出したお姫様とどこかに駆け落ちした、浮気者のおじいちゃんの血を引いているって話だろ?」
「こら~! 私のロマンチックな思い出を汚すんじゃないよ!?」
「美化しすぎだって。」
そう、読んでくれている人にはわかるだろう。おじいちゃんとは、ハチのことだ。
「おじいさんは、カッコ良かったのよ!」
「へいへい。」
「それに比べて、あんたは情けない。完全な平和ボケね。」
なんと!? 第1部の成人男子主人公のハチは、勇者候補生になる前に、学生の頃から付き合っていたジュウイチとの間に、ジュウイチのお腹の中に赤ちゃんを授かっていたのだった。こうして、ハチの血筋は未来につながっていた。
場面が朝食を食べる場面に変わる。
「ばあちゃんのご飯はおいしいな。な、ピヨピヨ?」
「ピヨ~♪」
今までに犬、猫、パンダは描いたことがあるので、ひよこぐらいは楽勝である。人間はパン・サラダ・卵を食べ、ひよこはちぎったパンでも食べている。飲み物は牛乳か?
「ハチハチ、今日から、王様のポンジャ3世の命令で、成人男女は世界中に現れたモヤイ像を壊しに行くんだろ? おまえなんかで大丈夫かね?」
「大丈夫。戦うのは兵士で、僕たちは後方支援で補給物資を運ぶだけだから。」
「ピヨ!」
「私は他の人達に迷惑をかけないか心配だよ。」
世界を闇で包んだ原因と思われる、出現した5体のモヤイ像を王様は破壊しようとしていた。そこにハチハチたち、一般の成人男女も応援に駆り出されるのだった。
「おはようございます! おばあちゃん、私がいるから大丈夫よ!」
「おはよう、ナナナナ。ナナナナがいてくれるなら安心だね。」
「はい。おばあちゃん。」
「おまえどこから?」
「玄関が開いていたわ。それに将来は私の家になるんだからいいじゃない? おはよう、ピヨピヨ。」
「ピヨ~♪」
ハチハチのご近所さんで幼馴染。さらにハチハチの婚約者。ナナナナ・・・ナが4つで、ナヨンでもいいな。
「ナナナナの亡くなったおじいちゃんも、おじいさんと同じ勇者候補生だったのよ。これも何かの縁ね。」
「でも、うちのおじいちゃんは怖くて勇者候補生を途中で投げ出してますから、ハチハチのおじいちゃんほど、すごくはないですよ。」
ついに明かされる第1部の勇者候補生ナナの経歴。ナナは勇者候補生を投げ出して、平和な人生を手に入れていた。ナナの孫がナナナナだった。
「そうだ! 戦場に行く前にお墓参りしてらっしゃい! ご先祖様に守ってもらいましょう!」
「普通に面倒臭い。」
「はい、分かりました。」
「ピヨ。」
こうしてハチハチとナナナナとハチハチの頭に乗ったピヨピヨはお墓参りに行った。ハチ家のハチハチのおじいちゃん、お父さん、お母さんの墓。ナナ家のおじいちゃんとおばあちゃんの墓が並んでいる。ハチハチはお墓に手を合わせる。
(じいちゃんが伝説の勇者? 本当かな? でも、ばあちゃんは、僕の両親が死んだのは、その性だと? だから誰にも言ってはダメだと。なんなんだ!? 伝説の勇者だ、勇者候補生っていうのは? 100年前のことなんて、わからないよ。)
(ハチハチのことは、私が命をかけて守ります。)
(ピヨ、ピヨ、ピヨ。)
一応、ひよこもお祈りをさせといた。
「ハチハチは何をお祈りしたの?」
「ナヨンが普通に怪我をしませんようにって。(ウソ。)」
「ハチハチ、優しい。」
「ピヨ~♪」
こうして幸せな間にお墓参りを終えた。出発の前におばあちゃんがハチハチに何かを渡そうとする。
「ハチハチ、これを持っておいき。」
「懐中時計?」
ハチハチは懐中時計を開けた。ピロロロロン~♪ っとメロディーが聞こえてくる。中には若い頃のおじいちゃんとおばあちゃんの寄り添っている写真があった。
「ゲ!? 普通に気持ち悪い!?」
「黙れ! これはおまえが伝説の勇者の孫という証だよ! 絶対に手放すんじゃないよ! 肌身離さずに持っておくんだよ!」
「わ、わかったよ。ばあちゃん!? 殴らないで!?」
「おばあちゃん、行ってきますね。」
「行ってきます・・・。」
「ピヨ!」
こうしてハチハチとナナナナ、ハチハチの頭から離れなかったピヨピヨを連れて旅だった。おばあちゃんから姿が見えない所で、ハチハチは懐中時計をナナナナの首にかける。
「これはナヨンが身に着けていてくれ。」
「ええ!? 嫌よ、自分で付けてなさいよ!?」
「これは僕がナヨンを好きだという証だよ。(ウソ。)」
「わかった。付けとく。ありがとう~♪」
(ナヨンが単純で良かった。)
「ピヨ・・・。」
ひよこは見た。ナナナナの視界でクスッと悪い笑顔を浮かべるハチハチを。現状、ハチハチに大人が共感しそうな自堕落なキャラクターとして描かれているが、「伝説の勇者」の血を引く勇者の末裔の片鱗はどこにもなかった。
つづく。
ここで区切りがいいのだが、まだ3000字。1話5000字越えと考えると、まだ続けないといけない。
続ける。
ハチハチとナナナナとピヨピヨは、住んでいる城下町キョウトウから、ジャポン城の城門にやって来た。
「わ~!? すごい人!?」
「なんだ!? この普通じゃない人混みは!?」
「ピヨ!?」
ひよこも驚くぐらいの人混みだった。王命により、魔王モヤイのモヤイ像を破壊するために、兵士から一般成人男女までの大勢の人々が集められていた。総勢5000人くらいか?
「ポンジャ王国の勇敢なる兵士、そして応援に駆けつけてくれた成人男女の諸君。私が国王のポンジャ3世である。」
モヤイ像討伐の団結式の王様の演説が始まった。
「魔王モヤイ忘れ形見、モヤイ2世が現れた。ヤツは暗黒のモヤイ像を各地に出現させ、我々が平和に暮らすポンジャを光の届かない世界にしようとしている。魔王モヤイの行いを断じて許す訳にはいかない!」
3択好きの亡き国王ポンジャ王よりも、若き王ポンジャ3世は王様らしかった。まさに王様の威厳と品格を備え、若さからくる夢や希望の感覚を持っている。大人も子供も国民が憧れる国王であった。
「我々は5体のモヤイ像に対して、兵を5つの部隊に編成し、一気にモヤイ像を壊し、世界から闇の暗雲を取り除き、ポンジャに平和を取り戻そう!」
「おお!」
全ては子供たちの未来と笑顔のために! ん? んん? この作品は、こんなに真剣な作品だっただろうか? 王様を普通にすると、おもしろいエンターテイメント性がなくなって、物語としてのエンターテイメントが生まれた? ピヨ?
「王様、カッコイイ!」
「ハチハチもかっこいいわよ。」
「ピヨ。」
王様の演説も終わり、ハチハチたちは自分たちの担当するチョウユウラクの暗黒のモヤイ像を破壊しに向かう部隊の集合場所に集まった。兵士は平等に1部隊、兵士300人、一般成人男女700人に分けられた。
「私はチョウユウラクのモヤイ像を破壊する部隊の隊長エイ。魔物との戦闘は兵士が行うので、成人男女の諸君は、武器や食料の補給を頼む。」
ハチハチは正義感の強そうな隊長のグループに入った。安堵する普通の人間のハチハチ。しかし運動神経が抜群のナナナナは少し納得いかなかった。
「よかった、戦闘はしなくていいんだ。」
「そうね。でも戦えないのは残念だわ!」
「ナヨン、怖い・・・。」
「ピヨ・・・。」
ナナナナの言動に引き気味の成人男子とひよこ。その時、1人の男がハチハチたちに声をかけてきた。
「戦うことになりますよ。」
「え?」
「なんだ? おまえは?」
「ピヨ?」
「ぼ、いや、俺はハ、いや、コウ。コウという名前なんだ。」
「おい、ナナナナ、こいつちょっとおかしいぜ? あんまり関わらない方がいいんじゃないか?」
「ハチハチは黙っていて。コウ、どうして私たちは戦うことになるの?」
「え!? ふつ、いや、な、なんとなくだ。じゃあ、またな。」
「おかしなヤツだな?」
「ピヨ?」
コウは、そのまま去って行った。ハチハチと同じチョウユウラクの暗黒のモヤイ像を破壊する部隊にはいるようだが、一般成人男女だけでも700人いるので、人混みの中でコウを見つけるのは困難であった。
「もうすぐでチョウユウラクの暗黒モヤイ像にたどり着くぞ。」
「おお!」
エイの率いる部隊は、暗黒のモヤイ像の側までやって来た。ここまで何事もなく順調に進軍してきた。部隊には気を緩めている者も多かった。
「ナナナナ、疲れたよ。」
「もう、ハチハチったら。もう少しでモヤイ像に着くんだからしっかりしてよ。」
「ピヨ!」
「おまえは俺の頭に乗っているだけだろう!?」
「ピヨピヨ~♪」
ハチハチたちは楽しそうに進軍をしていた。しかし、暗黒のモヤイ像が近づくにつれ、闇の瘴気が人間の体を犯し始めた。
「う!? 苦しい!?」
「なんだ!? 急に体が動かなくなった!?」
次々と兵士と一般成人男女は地面に苦しそうに倒れていった。しかし、ハチハチとナナナナ、ピヨピヨは平気だった。
「みんな、どうしたの!?」
「モヤイの呪いだ!? これは呪いに違いない!? 僕は普通に帰るぞ!?」
「ピヨ!?」
「これはモヤイ像が放つ、闇の瘴気だ。」
「コウ!?」
その時、ハチハチたちの目の前に、コウが現れた。コウは人々が倒れた理由を何か知っているみたいだった。
「闇の瘴気!? 」
「普通に説明している時間はない。急いでモヤイ像まで行くんだ!」
「わかった! モヤイの像を壊せば、みんなが助かるのね!」
「仕方がない。僕も普通に行くよ。」
「ピヨ!」
「・・・。」
コウは何か言いたそうな表情を見せたが、言葉を胸に抑えて、暗黒のモヤイ像に駆けていく。後を追うようにハチたちも走り出す。
「た、隊長が・・・モヤイ像に暗黒の騎士が・・・。」
モヤイ像を目指す途中、前衛にいた兵士がヨレヨレになりながら逃げてきた。兵士が言うにはモヤイ像の周りに暗黒の騎士がいるというのだ。
「きっと、モヤイの手下で、像を守っているんだわ!」
「隊長さんの応援を普通にするぞ!」
「ピヨ!」
「みんな! モヤイ像に急ごう!」
「おお!」
ハチハチたちはモヤイ像にたどり着いた。しかし、様子が変だ。兵士の言っていたように暗黒の騎士の姿はあった。しかし、エイ隊長の姿はなく、代わりにムカデの化け物の姿があった。
「ムカデ!? なんだ!? あの化け物は!?」
「隊長さんはもう!?」
「ピヨ!?」
「間に合った! まず、みんなでムカデの化け物を倒そう!」
「おお!」
暗黒の騎士とムカデの化け物を見たコウは「間に合った!」と言った。そして、ハチハチたちにムカデの化け物と戦うように促した。
「ホーリー&ダーク!」
コウの剣による必殺の1撃がムカデの化け物を切り裂く。ムカデの化け物を倒すと闇の瘴気が収まってきた。
「すごい!?」
「見ろ!? 闇の瘴気が消えていくぞ!?」
「ピヨ!?」
ハチハチたちは戦闘慣れしていない平和な時代の一般成人なので、大した戦力にはならなかった。ムカデの化け物を倒したコウは、暗黒の騎士に駆け寄る。
「教えてくれ! どうすれば世界を救えるのか!」
コウは暗黒の騎士に世界を救う方法を聞いたのだった。
「・・・。」
暗黒の騎士は何もしゃべらない。
「コウ!?」
「コウ!?」
「ピヨ!?」
ハチハチたちはコウの突然の奇行に驚き戸惑った。
「教えてくれ! 暗黒の騎士よ! 僕には、普通に知識が足らないんだ!」
謎だらけにして、字数制限で次回に続く。
つづく。
書きながら、登場人物を整理。
ハチハチ。僕。普通。成人男子の主人公。
ピヨピヨ。ペットのひよこである。
ジュウイチ。ハチハチのおばあちゃん。
ハチ。第1部の成人男子の主人公。ハチハチのおじいちゃん。
ナナナナ。私。勇者候補生ナナの孫。
魔王モヤイ2世。魔王モヤイの子供らしい。
ポンジャ3世。ポンジャ国の王様。
エイ。チョウユウラクの暗黒モヤイ像の破壊部隊の隊長。
コウ。謎の一般成人男子。
暗黒の騎士。魔王モヤイの手先?
書きながら、謎を整理。
①ひよこ? なぜに、ひよこ? ある意味でシリーズ最大の謎である。小鳥ではなく、ひよこになぜなったのか、説明不能。
②ハチハチの両親がいない謎。
③そう考えると、第1部のポンジャ王の妃、ポンジャ姫のお母さんが登場しなかったな。それも謎。
④ハチハチの両親は、なぜ死んだのか? ②の追記かな?
⑤ハチハチの両親が死んだのは、伝説の勇者の性? 危ないから誰にも言ってはいけない!? なにが危険なのか? 誰かに命を狙われるのか? ②と④の追記?
⑥愛の懐中時計。きっと、どこかで何かに使えるだろう?
第2部の始まりなので、伏線よりも設定のカミングアウトが多いな。初期設定だから仕方がない。まあ、そうしなければ物語なんか書けないだろう。
⑦なぜ闇の瘴気にあたっても、ハチハチ、ナナナナ、ピヨピヨ、コウは平気なのか?
⑧なぜムカデの化け物を倒したら、闇の瘴気が収まったのか?
⑨なぜコウは暗黒の騎士に世界を救う方法を聞いたのか? コウの足らない知識とはいったい!?
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。