第3話 普通の第1部「伝説の10人勇者」2

大人が読む? 毎回、奇跡を書けというのか? エロはダメ。普通に書いて進めよう。


「よくぞ来た。勇者候補生の諸君。」

「おはようございます。王様。」


冒険の準備をして、勇者候補生の10人が、ポンジャ城のポンジャ王に謁見している。1人くらいはあくびをしている勇者候補生もいるはずだ。初登場のポンジャ大臣である。


「王様!? 大変です!?」

「どうした? 大臣?」

「1人が遅刻の連絡がありました!?」

「んん・・・、まあ仕方がない。勇者候補生だからな。」

「もう1人が自宅に引きこもっています!?」

「なな・・・。ホームシックは勇者候補生にはよくあることだからな。」

「あと1人が行方不明になりました!?」

「もう勝手にしてくれ!?」


これで主人公ハチの他に勇者候補生は、イチ、ニ、サンとあと3人の設定ができた。「大人が読みたい!」と考えると、チートラノベと違って、面白いことを考えずに、普通に書いていればいいので楽である。


「・・・。」

「いろいろなヤツがいるな。」

「私たちは私たちでがんばりましょう。」

「わ、わ、私はニについていきます。」

「僕は普通に朝起きて、お城にやって来たよ。」


大丈夫か!? 勇者候補生たちよ!? ということは、先に出た4人の他に、王様に謁見している勇者候補生が、後3人いるということになる。もちろん名前はヨン、ゴ、ロクである。


「・・・。」


ヨン、ゴ、ロクの性格をどうしよう? あえて触れる必要はないか? 中途半端に触れてしまうと、取り返しが効かなくなる。うん、やめておこう。


「勇者候補生には、ポンジャ姫を救い出すために、魔王モヤイの城を目指してもらう。」

「ははあ。」

「魔王モヤイの城は・・・目の前だ!」

「なに!?」

「しかし、あの川は渡れないだろう!?」


正確に言うと、ポンジャ城と魔王モヤイの城の間に、大きな川が流れていて、川の流れが激しく直接渡ることができない。


「ということで、勇者候補生の諸君には、川を進むか、遠回りして進むかを各自で判断して進んでほしい。」

「ははあ。」

「では・・・解散。」


偉い人の話が長いのは、大人も子供も、みんなが嫌い。ということで、王様の長い話はカットしてしまおう。


「おまえたち。」

「なんですか? ポンジャ大臣。」

「引きこもりの勇者候補生の様子を見てきてくれないか?」

「ええ!? なんで俺たちが!?」

「大臣命令だ!」

「わ、わ、わかりました。」


こうしてポンジャ大臣から、僕たちは引きこもりの勇者候補生の様子を見に行くことになった。これは「家から引き釣り出して、冒険の旅に行かせろ!」「ポンジャ王様のために死ね!」というポンジャ大臣からの無言の圧力であった。


「それでは引きこもり君の家にでも行きましょう。」

「仕方がないな。」

「い、い、行こう。」

「僕は普通に様子を見に行くよ。」


出鼻をくじかれた。今日は、ポンジャ城や城下町キョウトウの周りで弱い敵を倒しまくって、レベル上げをする予定だが、余計な? ゲリラクエストが追加されてしまった。


「貴様たちにはお似合いだな!」

「ヨン!?」

「俺様が川を越えて、魔王の城に1番にたどり着いてやる! おまえたちには引きこもりの相手がお似合いだ!」

「なんだと!? てめえ、やるか!?」

「イチ、やめてください。」

「わ!? わ!? わ!?」

「普通に相手にするのはやめておこう。」

「さらばだ! 雑魚ども! ワッハッハ!」


後付けみたいだが、縁起の悪い数字ということで? 悪役をヨンにした。ライバル・・・にはならないな。性格が悪そうだし、こんなのが人気が出たら、日本も終わりだ。


「ゴ、いるか?」


僕たちは、引きこもりの勇者候補生のゴの家に来た。勇者候補生にもいろんな性格の人間がいるが、王様は姫を想う素質だけで、10人の勇者候補生に絞った。勇者候補生不足なので、魔王モヤイを倒すために、1人でも冒険をしてもらわなければいけない現状があった。


「出てきませんね。」

「居留守というヤツか?」

「借金でもしてるんですかね?」

「出てこないなら、普通に放っておこうよ。」

「わ、わ、私に任せてください!」


引きこもってる人間のタイプは、親がお金持ちで仕事をしなくていいタイプ、世の中に絶望した無気力タイプ、誰かに甘えてるタイプ、ロールプレイング異世界ファンタジーだが生活保護を受けていて、働かなくてもお金が入るから絶対に働かないで、遊びほうけているタイプ、障害・病気・その他。とにかく、家から出ないのだろう。


「か、か、火事だ! 火事だぞ!」

「え!?」


サンは、兄の二の後ろに隠れる控え目な設定というよりも、ただ言葉が詰まる、カミカミのキャラクターで、実は明るく積極的なキャラクターになってきてしまった。短い期間だが、性格が成長したということにしておこう。


「火事だと!?」

「あ。」

「火事はどこだ!? 火事は!?」

「出てきた。」

「え!?」

「サン、すごいな。」

「そ、そ、それほどでも。」

「ゴ、一緒に魔王モヤイを倒しに行くぞ。」

「は、計られた!?」

「普通にお邪魔するよ。」


ゴは諦めた。諦めたというよりも自宅に4人に踏み込まれ、自宅こそ破壊されなかったが、自堕落な生活をダラダラ送っていたらしいが、口を磨き、髪形を整え、布団をたたみ、冒険の準備を整えてさせられた。僕たちは散らかったゴミの片づけやゴキブリ退治に奔走した。


「いくぞ! おまえたち!」

「おまえが言うな。おまえが。」

「すいません。」

「俺たちが部屋をきれいにしてやった恩を忘れるなよ。」

「はい。」


ゴは堕落人ではあったが、少し調子に乗るけど、ツッコミをうけると、素直に謝るナイスガイだった。


「じゃあ、準備も整ったし、みんなで周辺の弱い敵を倒して、レベル上げをしに行こう!」

「おお!」


ニの号令で街の外に出て、モンスターと戦いレベルアップをすることになった。ニを仕切りの嫌なヤツ設定にしようと計画していたのに、出しゃばらない、好感度の高い集団のまとめ役になってきた。これも人格のレベルアップとしておこう。


「遅かったな! 貴様たち!」

「ヨンだ・・・。」

「うざい・・・。」

「む、む、無視・・・。」

「誰ですか? あのいじめてほしいと立候補しているバカは?」

「あれは普通に相手にしなくていいから。」


ヨン。ピザにかけるタバスコのような存在だ。ピザにかけなければ、どうということはない。触らぬ神に祟りなし。


「貴様たちが遊んでいる間に、この辺りの敵は俺様が倒してやったぞ! 貴様たち! 弱い敵を倒して、安全にレベルをあげれると思うなよ! ワッハッハ!」

「なんて、迷惑なヤツだ。」

「つ、つ、通報しますか?」


ロールプレイングの異世界ファンタジーは、どこに通報するのだろう? 警察? 王様? きっと野放しか、殺し屋にでも頼むしかできないだろう。


「安心しろ! 俺様のレベルは1日で10になった! 俺様が川を渡って、魔王モヤイを倒してやる! 姫と結婚して、国王になるのだ! ワッハッハ!」

「こいつ、国の乗っ取りまで考えているのか!?」

「こ、こ、殺してしまいましょう!?」


そうか! 魔王モヤイを倒し、姫を救い出すということは、次期国王に内定ということになるのか。ロールプレイングゲームをする時に、そこまで考えたことはなかったな。


「俺様が川を渡るところを見せてやる! さらばだ! 雑魚ども!」

「ヨンの態度はムカつくな。」

「まあまあ、目の前から消えてくれるんですから、放っときましょう。」

「ま、ま、魔王にやられてしまえばいいんだ!」

「なんか空気悪いし、面倒臭くなってきた。家に帰って引きこもっていいか?」

「人間が2人いれば、争いが起こるのが普通だよ。」


普通を盾にして、大人が共感するようなフレーズを入れることができる主人公、ハチに勇者の素質を感じる。


「とう!」


威張り腐っていたヨンが魔王モヤイの城に最短ルートで行くために、普通であれば誰も飛び込むことのない激流の川に飛び込んだ。


「ギャア!?」

「おい、流されたぞ・・・。」

「川の流れが速過ぎて、もう見えない・・・。」

「ご、ご、ご臨終です。」

「なぜだろう? 重たかった空気が軽くなった! まるで地球の重力から解放されたみたいだ。」

「物語が始まったばかりで、いきなり魔王と戦う設定には普通ならないよね。」


その通り。いきなり魔王と戦ったら、生死を問わず、物語が終わってしまう。誰もヨンを「助けよう」とは言わない。でも誰も何も言わなくても、清々しさを共感してしまう。なぜだ? 本当はみんな、嫌なヤツと感じているからだろう。さらば、ヨン様。


「それにしても、周りにモンスターがいないな?」

「ヨンが1日でレベル10にしたっていうから、ほとんどの弱いモンスターを退治してしまったんでしょう。」

「し、し、死んでも迷惑なヤツだ。」

「見ろ! あれ・・・スライムじゃないか?」

「普通のスライムじゃない!? 新種か!?」


赤や青など、色とりどりのスライムが現れた。スライムは、青。若しくは赤。稀にメタルが普通である。青いスライムがヨンに狩りまくられているのでは、アイデアを出さなければいけない。迷惑な人間はいなくなっても、迷惑である。ヨンの迷惑行為は偉大である。


「敵は複数いるから、まずは1人1匹ずつ倒していきましょう。」

「おお!」


パーティーは5人。武器の装備は、最強の剣が3人。普通の剣が1人。錆びた剣が1人。普通に考えれば楽勝に見えた。


「なんだ!?」

「最強の剣なのに!?」

「切れない!?」


最強の剣は「魔王を1撃で倒せる」だけで、スライムを倒すことはできなかった。きっと魔王モヤイと戦う時には、誰も装備していないだろう。最強の剣を持っているイチ、ニ、ゴは素手での戦いを余儀なくされる。


「ま、ま、まさか錆びた剣で攻撃力が上から2番目になるとは思いませんでした。」


サンの兄よりも1っ歩下がったキャラの時に剣を選んだので、錆びた剣を選んでいたが、錆びていても剣なのだった。


「ここはハチとサンに任せよう。」

「がんばってくださいね。」

「頼みます。」

「ま、ま、任せてください!」

「普通にがんばります。」


そう、スライムぐらいなら倒せる。それぞれのカラーが青、赤、黄、緑、紫、水色、オレンジのスライムであっても、普通であれば倒せる。


「なんだ!?」


あれ!? なんだかスライムたちの様子が変だ。スライムたちが一つに集まり出した。巨大な七色のカラーをしたスライムが現れた。


「レインボースライムだと!?」

「伝説のスライムです!?」

「か、か、かわいい。」

「こんなスライムは、チートでしょ?」

「僕は普通に冒険してますよ。」


この物語は、大人が読みたい昔みたいな、普通のロールプレイングな異世界ファンタジーを目指している。きっと大人が読んでも、七色スライムはいいね! と思ってもらえると思う。レインボースライム、自身は新種と思っているが、既存であったら、ごめんなさい。


「こんな敵が最初から出てきたら、みんなが育つ前に全滅だ!?」

「なにか手はないのか!?」

「た、た、助けて! お母さん!?」

「やっぱり引きこもっていればよかった。だって、家の中は平和だもん。」

「危機の時、絶対に勝てない相手の時、普通ならどうする!? ・・・逃げよう!!!」


ハチは普通らしく答えにたどり着いた。勝てない相手に出会った時は、逃げることは恥ずかしいことではない。勇気のいることだ。勇者とは、勇気のある者ということだろう。


「ダメだ!? スライムに囲まれていて、逃げることができない!?」

「もうダメだ!?」


絶体絶命のピンチ!!! 逃げることを考えたまでは良かったが、絶対に逃げられるとは決まっていない。全員が諦めかけた時だった。


「稲妻!?」


突然、雷鳴雷光が現れたかと思うと、1撃でレインボースライムを退治した。ハチたちの目の前に1人の勇者らしき者が現れる。


「大丈夫か? ひよっこども。」

「か、か、カッコイイ!」

「ありがとうございます。」

「助かったぜ、あんたは?」

「俺はジュウ。出発式に遅刻してしまった。」

「あんたが遅刻の1人か。」

「それにしても、さっきのサンダーはすごかったですね!」

「おっと、俺はひよっこと仲良くする気はない。助けたのはたまたまだ。」

「え!?」

「勇者候補生は、全員がひよっこだと誰が決めた?」

「なに!?」


勇者候補生の縛りは「成人男子」だけである。大人の男が読むとすれば、エロか強い系? 大人の女が読むのは、恋愛、BL系? あとは新しいアイデア系、普通系かな。とりあえず大人の購買層が買うラノベの主流の異世界ファンタジーを選んでよかった。


「本物の勇者もいるんだぜ!」


勇者候補生に本物の勇者がいてもおかしくはない。「異世界転生、禁止」は同じものがゴロゴロあるからだろう。今、思いついたのが「異世界伝承」これなら、現実世界で死んだ高校生が異世界転生するというのを回避できる。あと編集にウケの良い「時かけ」も追加できるな。こいつらを「伝説の10勇者」にしてしまえばいいのだ。


「本物の勇者!?」

「そう、俺もおまえたちと一緒で、一人旅を選び、姫を妻にすることを選択した。勇者候補生になる権利はあるだろう。」

「剣は何を選んだんですか?」

「最強の剣だ。魔王にたどり着けなければ価値はない。王様が勇者の素質を見るために仕組んだ罠だ。」

「わ、わ、罠だったのか!?」

「普通にやられましたね。」

「俺は自分の剣があるから、配布の剣などどうでもいい。俺の剣は、ポンジャ王国に伝わる、伝説のジュウの剣だ。」


エクスカリバー? ポンジャの剣? どれもパッとしない。ということで、持ち主の名前を剣の名前とした。これなら後で何とでもなるし、将来は「ハチの剣」にすることも可能だろう。


「伝説の剣!?」


ライバル? ジュウは勇者候補生で最強だろう。気がつけば、俺のイチ、私のニ、わ、わ、私のサン。俺様のヨン。俺のゴ。僕のハチ、俺のジュウ。登場していない勇者候補生は、あと3人。出発式に出席した2人と行方不明の1人である。


「では、さらばだ! ひよっこたちよ!」

「去り方もカッコイイわ。」

「私たちとは次元が違いますね。」

「は、は、ハードボイルドだ。」

「弟子にしてもらおう。」

「普通に終わりです。」


これだけ書いても「大人が読みたい!」は分からないな。伏線だらけでミステリーにするのか? 個人的に大人だが、10人全員を人気作の普通なら「知りたい」。でも無名作なので、個人的に管理したい。結局「先が知りたい!」「犯人は誰なのか知りたい!」だよね。例えば、川で流されたヨンが生きてるとか? とりあえず5000字超えているので終わろう。さっさと10万字書いてしまおう。


つづく。

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