第4話 普通の第1部「伝説の10人勇者」3

「異世界転生、禁止」なので「異世界伝承」にしよう。能力を引き継ぐと「異世界転生は禁止だぞ!」とクレームがつくので、能力の引継ぎは無しにして、10万字の中で、「1」から「2」、「2」から「3」と物語の世界観を引き継いでいこう。未来の世界、過去の世界に「時かけ」をすればいいのだ。物語の真実を知ることになる。


「魔物だ! みんな戦うぞ!」

「おお!」


スライム、コウモリ、お化け、魔法使いが現れた。ハチたちは魔物の群れと戦う。そう、大人は疲れているから、現実逃避というか、昔遊んで懐かしという普通の作品になるはずだった。


「イチの攻撃。スライムに100のダメージ。スライムを倒した。」

「ニの攻撃。コウモリに80のダメージ。コウモリを倒した。」

「サンの攻撃。お化けに90のダメージ。お化けを倒した。」

「魔法使いはファイア魔法を唱えた。ゴに10のダメージ。」

「ゴはヒールの魔法を唱えた。ゴの傷が治った。」

「ハチの攻撃。魔法使いに70のダメージ。魔法使いを倒した。」

「魔物の群れを倒した。お金4ゴールド、経験値4を得た。」


こんな感じの普通の作品になるはずだった。これでも違和感を感じるだろう。時が飛んでいる。いつの間にかハチたちは強くたくましく成長している。もうお金と経験値に価値が無くなっている。


「魔王を倒しに行こう!」

「おお!」


物語はクライマックスに向かう。作品の方針が決まったので、この「1」だけに構っている訳にはいかない。この頃には勇者候補生は、何人が生き残っているのだろう。川で流されたヨン。まだ出てきていない、ロク、ナナ、ク。未来から「時かけ」を行うと考えた時、手駒があるのはいいことだ。薄くストーリーを進めてしまおう。


「奇跡の木材を使って、奇跡の橋ができたぞ!」

「これで魔王の城に渡ることができますね。」


ポンジャ城の目の前に魔王モヤイの城はあったが、激流の川が行く手を阻んでいた。確か、遠回りを選ぶこともできたはずだが・・・なぜ、ハチたちは川下からの遠回りを選ばなかったのだろう? 結局、川を渡らなくてはいけなくなり、激しい川の流れにもビクともしない「奇跡の木材」を取りに行き、「奇跡の橋」を川にかけることに成功した。


「それでは王様、魔王を倒しに行ってきます!」

「頼んだぞ勇者候補生たちよ、魔王を倒せたら、真の勇者になることができるだろう!」

「ポンジャ姫も取り戻してきます!」

「がんばれ! 勇者候補生たちよ!」


王様に見送られながら、ハチたちは奇跡の橋を渡っていく。これから魔王との最後の戦いが始まろうとしていた。メンバーは、イチ、ニ、サン、ゴ、ハチである。他の勇者候補生の消息は、謎である。


「ここが夢にまで見た魔王の城か。」

「長かったですね。」

「さ、さ、最後までカミカミは治らなかったです。」

「いつの間にか回復専門になっちまった。」

「ここまで普通に長い道のりだった。」

「感慨にふけるのもいいが、魔物さんのお出ましだ。」


ガイコツたちだ! 魔王の城に着いた勇者候補生をガイコツの大群が押し寄せる。しかし、今の勇者候補生たちはガイコツぐらいは1撃で倒せるレベルになっていた。


「みんな、いくぞ!」

「おお!」


ハチたちはガイコツを次々と倒していく。すると最後に鎧を着たガイコツ剣士が現れた。


「魔王様の元には行かせないぞ!」

「魔王の前の中ボスみたいなもんだな。」

「どんな相手でも、私たちなら倒せます!」

「ま、ま、魔王を倒すんだ!」

「そういえば魔王も城に引きこもっているな。」

「こいつを倒さないと魔王の元には、普通にたどり着けないんだ。」


ガイコツ剣士を5人で連携して平らげる。今の5人なら、ガイコツ剣士くらいは余裕で倒せるのだ。しかし・・・。


「と、とうさんぞ。魔王・・・さまのも・とには・・・いかせんぞ。」

「なんでこいつは起き上がってくるんだ!?」

「アンデットということでしょうか?」

「つ、つ、疲れてきた。」

「魔法エネルギーを使いたくないが、仕方がない。俺が浄化してやる! 生死を彷徨うアンデットを天に滅せよ! エクソシズム!!!」

「ギャア!? 魔王様!? 姫様!?」

「最初から普通に浄化していれば良かったね。」


勇者候補生が僧侶や神父に転職していてもいいよね。それか勇者候補生なら浄化魔法くらい使えても問題はない・・・だろう。現代において、勇者1人旅に無理があったか? 誰だ? 「伝説の10勇者」なんて、アホな設定にしたのは? 次からは他の職業も堂々と起用しよう。


「聞き間違いかな?」

「どうしたの?」

「ガイコツが最後に姫様って言ったような。」

「気のせいだよ。」

「先を急ごう!」

「おお!」


未来や過去も考えて作成を考えると、意味深いセリフが増えてくるな。面倒臭いから書き直しはしないけど、話の辻褄を合わせるために、何度も読み返しが必要になりそうで怖いな。


「ここは通さないぞ!」


鎧の騎士の集団が現れた。鎧の中に人の姿はない。魔王が魔力で操っているのかもしれない。


「みんな、いくぞ!」

「おお!」


カキン! カキン! と勇者候補生と鎧の騎士は剣と剣を交える。勝負は互角にも見えたが勇者候補生たちは、いたずらに体力を消耗してしまう。


「相手は亡霊、このままでは俺たちの体力が尽きてしまう!?」

「どうします? 埒が明かない!?」

「あ、あ、あれをやるしかない!」

「みんなの力を1つにして、一気にケリをつけようぜ!」

「闇に身を染めた騎士の鎧よ! 天に滅せよ! ペンタゴン・スター・エクソシズム!!!」


勇者候補生たちは五芒星の陣形にポジションを変える。そして5人で浄化魔法エクソシズムを唱える。浄化の聖なる光は五芒星を描き、鎧の騎士を次々と浄化していく。この時点で勇者が浄化魔法エクソシズムを使えるのが普通になっている。


「ギャア!? 魔王様!? 姫様!? どうかお許しを!?」

「やった! 普通に鎧の騎士を浄化できたぞ!」

「俺たちは強い!」

「私たちのレベル上げがようやく実を結びましたね。」

「こ、こ、この調子で魔王を倒そう!」

「俺たちなら魔王も倒せるはずだ!」

「行こう! 魔王の元へ!」


ハチたちは魔王の間にたどり着いた。心身ともに疲れ切っていたが、薬草と聖水で体力と魔法力も回復して、ほぼ前回に近い状態だった。レベルもMAXだっただろう。この時点で負けるという要素は1つもなかった。ハチたちの顔には自信がみなぎっていた。


「な、なに!? あんたは!?」

「私たちは何のために戦ってきたんだ!?」

「え、え、え!?」

「家に帰って引きこもりたい!?」

「こういう時は、普通に考えるとどうすればいいんだ!?」


果たして、ハチたちが魔王の間で見たものとは!? 今回は「時かけ」を起用するとして伏線だらけだけど、「先を知りたいだけ」という読み手の心理からすると、普通の作品を書く時も、こんな感じで伏線だらけにするしかないのか?



ここはポンジャ城。


「おお! 魔王モヤイの城から火の手が上がったぞ!」

「王様! バルコニーに人の姿が!」

「あれは我が娘! ポンジャ姫!」


魔王の城のバルコニーに勇者候補生のハチと魔王にさらわれたポンジャ姫が現れた。ハチの持っている剣は、どことなくジュウの持っていた剣に似ていた。ハチは剣を空高く高々に上げて、勝利宣言をする。


「僕の名前はハチ! 魔王モヤイは僕が普通に倒したぞ!」


「おお! 魔王を倒したのだな!」

「やりましたね! 王様!」


「王様! ポンジャ姫はご無事です!」

「お父様!」


「おお! 姫! 我がかわいい娘よ!」


「王様! 僕は姫を妻として、これから新しい冒険に旅立ちます! 決して探さないでください!」

「さようなら、お父様!」


「姫よ! 幸せになるんだぞ!」

「よかったですね、王様。」


これが勇者候補生ハチとポンジャ姫の最後の雄姿だった。魔王モヤイの城のバルコニーにハチは剣を突き刺して、魔王の城の中に消えていった。剣を突き刺す時のハチの表情は苦痛に満ちていた。しかし、川の対岸にいる王様たちには、ハチの表情までは分からなかった。


こうして世界に平和が訪れた。


魔王モヤイを倒した、勇者ハチの物語は伝説となり、代々、人々に受け継がれていく。ハチが魔王を倒した証として、魔王の城のバルコニーには、今も伝説の「ハチの剣」が刺さっていた。平和の象徴として。


第1部「伝説の10人勇者」完



まだこの話が3700字で1話5000字に到達していないので、ここまでの物語を普通に整理してみよう。普通に構想であり、無名素人は、このままで10万字を書きあげ満足。プロは構想を書いて、一から書き直すんだろうな~。それは面倒臭いので、普通にしない無名素人。


第1話。いつも軽い構想用である。見事に0コンと今の日本のメディアミックス批判である。普通の大人は「その通り」と言うだろう。頭のおかしい大人は「炎上目的だ! 掴みの売名行為だ! 偉そうだ!」と思うだろう。


第2話。3か所も訂正があった。無名素人は再読みチェックなんかしないからな。この時点で「異世界伝承」と「時かけ」には触れていない。ということで、流れのままスムーズに話は進んでいる。


キャラ構想なんかしないから、ぼやけているというか、なんも考えずに書いているんだろうな。最低限、名前と性格ぐらいは決めてから、物語を書いた方が良いのかもしれない。外観は小説なので書いても、戦闘と同じくらい、実質、ほぼ無駄である。


第3話。ここで「異世界伝承」と「時かけ」を思いついてしまっている。作品が崩れた? 読みにくくなった? やっと中身ができた? 賛否両論だな。現時点で頭の中の描けているエンディングまでたどり着ける読み手はいないだろう。無理か?


現代の大人は疲れているので普通の作品がが読みたいという「大人が読みたい!」から、「伝承と時かけで、自分がどれだけの物語を書けるか?」というサスペンス&ミステリーにすり替わっているような。


ただ、キャラクター紹介は読み手のため、10万字まで書き続けるために、整理として書いてみよう。


登場人物


10人の勇者候補生


ハチ。僕。普通を愛する、大人向け成人男子の主役。魔王モヤイを倒し「伝説の勇者」になる。助けたポンジャ姫と新たな冒険の旅に出かけた。


イチ。俺。勇者らしい勇気ある性格。魔王モヤイの城から消息は不明。

ニ。私。控え目、好感度の良いパーティーのまとめ役。魔王モヤイの城から消息は不明。

サン。私。カミカミの舌足らずな楽しい性格。魔王モヤイの城から消息は不明。

ヨン。俺様。貴様。雑魚。自己中心的で、うざいタイプ。川に流されて、消息は不明。

ゴ。俺。自堕落な引きこもりな性格。魔王モヤイの城から消息は不明。

ロク。未登場。

ナナ。未登場。

ク。未登場。

ジュウ。俺。ひよっこ。ハードボイルドな性格。勇者候補生の中に勇者が混じっていた。レインボースライム以来、消息は不明。


ポンジャ王。3択が大好きな性格。

ポンジャ姫。魔王モヤイにさらわれてしまった。

ポンジャ大臣。厳しい性格。


第4話。ここから「異世界伝承」と「時かけ」の性で、話が飛んでいる? 謎が出始める。いきなり第4話の冒頭から、ハチたちが強くなっている。モンスターを1撃で倒せるレベルになっている。


①ハチたちは、どうやって強くなったのか? また強くなるのにどれだけの時間を費やしたのか?

「時かけ」で時間軸を気にするのであれば、時間の管理も大切である。

②川で流されたヨンの消息。話の流れから、魔王モヤイの城を遠回りして、目指したはずだ。しかし、何らかの理由で断念している。そこにヨンは絡んでくるのか?

③遠回りを諦めて、激流の川を渡ることを決めた勇者候補生たち。「伝説の木材」の情報源は? どうやって手に入れたのか?

④王様の3択。自分の娘である姫を助け出すのに、勇者候補生の数をわざわざ減らす必要があったのだろうか?

⑤ガイコツ剣士と鎧の騎士の遺言。魔王というのはいいが、なぜ姫の名を呼ぶ? 「2」で真実にたどり着かないとなると「3」までいくんだろうな。

⑥ハチたちが、魔王の間で見たものは? または出会った人物は? 魔王? それとも・・・? ハチたちは、戸惑いと絶望と物語の真実を普通に知ってしまう。

⑦なぜハチがジュウの伝説の剣を持っていたのだろうか? 貴重な剣であれば、他人には渡さないはずだ。いったい何が? なぜ魔王の城のバルコニーに伝説の剣を突き刺したのだろうか?

⑧「魔王モヤイを1撃で倒す! 最強の剣!」に、もう出番はないのか?

⑨引きこもりと遅刻者は判明したが、行方不明の1人の勇者候補生が謎のままである。きっとカギを握る人物だろう。


こんな感じかな? 謎を考えていると楽しくなってきて、文字数が進むな。先に書いた「第2部 序章」を次話に冒頭に持って行っても、字数的にも大丈夫だろう。


投稿すると5000字を越えていたのでOK。第1部を3話1万5000字で書きあがった。んん~わざわざ伝説の物語を書いたといった感じだろうか? 第1部をこれ以上考えるのはやめよう。次、次、いってみよう~♪


つづく。

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