どこまでも広がる、竜と人間の住まう奥深い世界。
そこに息づく、血の通った登場人物たち……。
海外児童文学系のファンタジー好きな人には、たまらないお話。
ボリュームのある分量ながら、魅力的な世界とキャラクター、次第に明らかになっていく秘密に、いつしか目が離せなくなる。
個性豊かなキャラクターたちが、鮮やかに物語を盛り上げ牽引していきます。
読み進めていけば、きっとあなたの推し竜が見つかるはず。
因みに私の推しは、フィオと花婿と小閃光のロイドです。(多い)
ほら、竜族にはこういう二つ名がついてたりするんだよ!
絶対好きな人いるでしょ!?
竜族の暮らしてる場所も「星辰の湖」とか「玲瓏の岩窟」とか、なにそれカッコ良すぎない???
滾りすぎない!?!?!?
……と、ホント、ファンタジー好きには端々の設定までもがたまらないのですよ。
とにかく世界観といいキャラクターといい関係性といい、世界の謎やひしめく歪な問題といい、あらゆる見所たくさんの魅力ある作品です。
読み出せば、その向こうに広がる清涼な風の吹きしく世界に心惹かれてやまないはず。
正直。この物語は好きすぎて、どうレビューを書き連ねて良いのか悩むばかりです。
ただ率直な感想を述べるなら。
こうして最新話まで読み進め。彼らと共に、彼らと世界の行き着く先を見届けることができるのが、とんでもなく嬉しく思うのです。
そこのあなたも、まだ間に合います。
そしてあなたも、いずれ神話となるこのお話を継ぐ語り部となるのです……
結ばれる人とは運命の赤い糸で繋がっている。
そんなロマンチックなお話がありますが、この作品では、生まれた時に握りしめている竜のウロコが赤い糸の役割を果たしています。この設定一つだけでも、この作品を追いかける魅力があります。
だって生まれた時から運命の伴侶が決まってるんですよ?
誰だって見てみたいと思うのではないかなぁ?
四竜族とそれらを統べる世界竜。
世界竜の再臨を望む四竜族。
この作品でも竜の力は強大です。
その竜族が主人公をサポートしてくれる。
バビル二世の誕生を待ち続けた三つのしもべ……とは性格が違うけれど、世界竜を長年待ち望んでいた四竜族という設定と重ねることもでき、個人的な思い出を刺激して面白く感じました。
他にも面白い設定がいくつかありますが、それは読者に見つけて楽しんでいただきたい。
ロマンチックな王道ファンタジーをお望みの読者に最適な作品。
更新が楽しみです。
キャッチコピーなどを見ると、竜が登場するファンタジーらしい。
冒頭を読むと、主人公の回想形式らしい。
となると、割とありがちで小さくまとまった話かな、と一瞬思ってしまうのですが。
第一部以降を読み始めると、入れ子だから小さいなんてことはなく、むしろ無限の広がりで読者を導いてくれます。
あちこちにちりばめられた独自の用語、不明な言い回しなども、読者のストレスとなることなく、むしろ読者を引っ張る謎として世界の広がりを魅力的に彩ってくれています。
出てくるキャラクターも多彩で、特に主人公は、最初はほんの小さな子ども時代からのスタートですが、それゆえにこれからの成長の予知が大きく、その過程を読者は一緒に追体験できるということ。
世界を、我が手の中にするため、旅立とう。
世界観の壮大さは作者さまによる概要にお任せするとして、私が語りたいのはこの物語の成り立ちである。
本作には多くの魅力的なキャラクターが存在し、彼らにはそれぞれの人生がある。つまりは歴史である。
本作の面白いのは、かつて隆盛を誇った世界そのものが「一なる女神」という理不尽な存在によって捻じ曲げられ(言い方)、言ってしまえば衰退期、斜陽の時代に主人公たちは生きているということだ。
だがそれゆえにたくましく生きる彼らに、どこか自分たちを重ねてしまうのかもしれない。
またこの物語は、ヒロイン・フィオナの回想録という形式をとっており彼女の伴侶もまた、その登場を最初から主張している。
しかし依然、彼は姿を現さない。
いまはただ黒いウロコがふたりの運命をつなぐのみだ。
我々は幸いである。
彼らの出会いを見守ることができるのだから。