思い出を星の湖に浮かべて。
- ★★★ Excellent!!!
世界観の壮大さは作者さまによる概要にお任せするとして、私が語りたいのはこの物語の成り立ちである。
本作には多くの魅力的なキャラクターが存在し、彼らにはそれぞれの人生がある。つまりは歴史である。
本作の面白いのは、かつて隆盛を誇った世界そのものが「一なる女神」という理不尽な存在によって捻じ曲げられ(言い方)、言ってしまえば衰退期、斜陽の時代に主人公たちは生きているということだ。
だがそれゆえにたくましく生きる彼らに、どこか自分たちを重ねてしまうのかもしれない。
またこの物語は、ヒロイン・フィオナの回想録という形式をとっており彼女の伴侶もまた、その登場を最初から主張している。
しかし依然、彼は姿を現さない。
いまはただ黒いウロコがふたりの運命をつなぐのみだ。
我々は幸いである。
彼らの出会いを見守ることができるのだから。