思い出を星の湖に浮かべて。

世界観の壮大さは作者さまによる概要にお任せするとして、私が語りたいのはこの物語の成り立ちである。

本作には多くの魅力的なキャラクターが存在し、彼らにはそれぞれの人生がある。つまりは歴史である。

本作の面白いのは、かつて隆盛を誇った世界そのものが「一なる女神」という理不尽な存在によって捻じ曲げられ(言い方)、言ってしまえば衰退期、斜陽の時代に主人公たちは生きているということだ。

だがそれゆえにたくましく生きる彼らに、どこか自分たちを重ねてしまうのかもしれない。

またこの物語は、ヒロイン・フィオナの回想録という形式をとっており彼女の伴侶もまた、その登場を最初から主張している。

しかし依然、彼は姿を現さない。
いまはただ黒いウロコがふたりの運命をつなぐのみだ。

我々は幸いである。

彼らの出会いを見守ることができるのだから。

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