ああ、フィールドを舞う十一人の女神たちよ


 天才的サッカー・プレイヤー月見健吾は試合中の怪我により、表舞台から姿を消してしまう。そんな彼を拾ったのは女子サッカー・チーム「イシュタルFC」。月見を監督として迎え入れたのだ。

 だが、そのイシュタルFC。貧乏なうえに、選手も未熟な女子ばかり。だが健吾は彼女たちのなかに光るものを見つけ……。


 実は改稿前のものも一度読んでいるのですが、改稿版も頭から読みました。読みだしたら、もう止まらないです。改稿前よりも、無駄なシーンが減って、キャラクターの個性が強化され、はるかにパワーアップしています。

 女子サッカーなので、ヒロインは十一人。交代要員もいれると、もっといます。
 が、彼女ら、ひとりひとりに強い個性があり、ドラマが用意され、ごっちゃになるということがまったくありません。

 まったくダメダメなチームなのに、ヒロインたちの才能と努力が、まるでジグソーパズルのピースがはまる様に、ひとつの絵として形を成し、徐々に徐々に強くなっていくさまが圧巻です。


 個性が強く、最初はぶつかり合う彼女たち。
 が、それらをまとめ、それぞれの良いところを生かし、欠点を補い、個性を組み合わせて最強のチームへ成長させていく監督の苦労。

 やがて始まる緊迫の試合。息もつけないプレーの数々。爽快にシュートか決まったときの興奮ときたら、もう!


 サッカー分からない人が読んでも、この興奮は伝わると思います。

 まるでスタジアムの歓声が聞こえてくるような熱い作品。


 いまも、彼女たちの声がぼくの耳には残っています。



「イシュタルー!」

「「「オールゴーファイっ!」」」

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