ハーレムでもないし、無双でもない。それでもちゃんとファンタジー。

この作品に派手さはありません。
主人公のラスト君はひよっこ職人なので、あらゆる場面でちょくちょく失敗を重ねます。
彼はなんでもできるチート系主人公ではないですし、バトルで無双するわけでも、美少女でいっぱいの一大ハーレムを築くわけでもありません。

それでも読んでいてハラハラドキドキするのは、とにかく描写のひとつひとつが非常に丁寧だからでしょう。
丁寧な世界観と、そこに生きる人々の心情描写。そこには確かなリアリティがあり、気がつけば読者は主人公と同じ目線に立っています。

終始描かれるのは、『ものを作る事』の難しさと楽しさ。
生きる道に迷った少年が、魔女との暮らしを通して新しい生き方を見つけるまでの49話。
毎晩寝る前に少しずつ読み進めたい、児童文学を思わせるファンタジー小説です。

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