「必殺!」シリーズと聞いて、スルーはできませんでした……
- ★★★ Excellent!!!
タイトルの「食客商売」を見たとき感じたのは、主人公があれこれ食べる話かな?と。
が、第一話サブタイトルを見て、ざっと総毛立った。
「あんた、この食客をどう思う?」!
これ「必殺!仕業人」のサブタイトルをもじっているじゃあーりませんか。しかもさらによく見ると、キャッチコピーは「怠け人走る!」。助け人じゃなくてっ!
と、そう考えると、「食客商売」は「剣客商売」と引っかかっていると、やっとここまできて気づくわけだが(笑)。
一文字ちがうたげで、印象がずいぶんちがーう。
ここまでやられて、読まないわけにはいかねえ。
内容は、和洋折衷の架空世界的ファンタジー。晴らせぬ恨みを晴らす、闇の請負人たちの物語。
ただし、決して悪い奴をやっつけるだけに終始した話ではない。ちょっと悲しい話があったり、狂気を孕んだ話があったり。
と同時に、「必殺!」ファンには、おもわずニヤニヤさせられる演出が随所に。
その辺にある物が武器になったり、紐で吊るしたり、坊主が素手で殺したり。中には、なんでそんなもんでわざわざ殺すの?っていう場面もありますが、そうなんです。実は、「必殺!」シリーズは拘りの塊なのです。
そんな、ハードでシリアスな世界観の中で、女食客ニトのほんわかぶり&ぐうたらぶりが、一服の清涼剤として利いています。
彼女が、お菓子を狙うさまは、まさに獲物を狙うデブ猫のよう。
なんかこの辺り、食客という言葉が拡大解釈されていて、可笑しい。
うん、主人公がつぎからつぎへと美味しい物を食べる話という第一印象、そんなに間違っていなかったぞ。
ま、もっとも、それはニトの表の顔であり、本作は彼女の裏の顔の物語なのですが。