「必殺!」シリーズと聞いて、スルーはできませんでした……




 タイトルの「食客商売」を見たとき感じたのは、主人公があれこれ食べる話かな?と。

 が、第一話サブタイトルを見て、ざっと総毛立った。

「あんた、この食客をどう思う?」!

 これ「必殺!仕業人」のサブタイトルをもじっているじゃあーりませんか。しかもさらによく見ると、キャッチコピーは「怠け人走る!」。助け人じゃなくてっ!

 と、そう考えると、「食客商売」は「剣客商売」と引っかかっていると、やっとここまできて気づくわけだが(笑)。
 一文字ちがうたげで、印象がずいぶんちがーう。


 ここまでやられて、読まないわけにはいかねえ。

 内容は、和洋折衷の架空世界的ファンタジー。晴らせぬ恨みを晴らす、闇の請負人たちの物語。


 ただし、決して悪い奴をやっつけるだけに終始した話ではない。ちょっと悲しい話があったり、狂気を孕んだ話があったり。

 と同時に、「必殺!」ファンには、おもわずニヤニヤさせられる演出が随所に。
 その辺にある物が武器になったり、紐で吊るしたり、坊主が素手で殺したり。中には、なんでそんなもんでわざわざ殺すの?っていう場面もありますが、そうなんです。実は、「必殺!」シリーズは拘りの塊なのです。

 そんな、ハードでシリアスな世界観の中で、女食客ニトのほんわかぶり&ぐうたらぶりが、一服の清涼剤として利いています。

 彼女が、お菓子を狙うさまは、まさに獲物を狙うデブ猫のよう。
 なんかこの辺り、食客という言葉が拡大解釈されていて、可笑しい。
 うん、主人公がつぎからつぎへと美味しい物を食べる話という第一印象、そんなに間違っていなかったぞ。

 ま、もっとも、それはニトの表の顔であり、本作は彼女の裏の顔の物語なのですが。


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