タイトルの「食客商売」を見たとき感じたのは、主人公があれこれ食べる話かな?と。
が、第一話サブタイトルを見て、ざっと総毛立った。
「あんた、この食客をどう思う?」!
これ「必殺!仕業人」のサブタイトルをもじっているじゃあーりませんか。しかもさらによく見ると、キャッチコピーは「怠け人走る!」。助け人じゃなくてっ!
と、そう考えると、「食客商売」は「剣客商売」と引っかかっていると、やっとここまできて気づくわけだが(笑)。
一文字ちがうたげで、印象がずいぶんちがーう。
ここまでやられて、読まないわけにはいかねえ。
内容は、和洋折衷の架空世界的ファンタジー。晴らせぬ恨みを晴らす、闇の請負人たちの物語。
ただし、決して悪い奴をやっつけるだけに終始した話ではない。ちょっと悲しい話があったり、狂気を孕んだ話があったり。
と同時に、「必殺!」ファンには、おもわずニヤニヤさせられる演出が随所に。
その辺にある物が武器になったり、紐で吊るしたり、坊主が素手で殺したり。中には、なんでそんなもんでわざわざ殺すの?っていう場面もありますが、そうなんです。実は、「必殺!」シリーズは拘りの塊なのです。
そんな、ハードでシリアスな世界観の中で、女食客ニトのほんわかぶり&ぐうたらぶりが、一服の清涼剤として利いています。
彼女が、お菓子を狙うさまは、まさに獲物を狙うデブ猫のよう。
なんかこの辺り、食客という言葉が拡大解釈されていて、可笑しい。
うん、主人公がつぎからつぎへと美味しい物を食べる話という第一印象、そんなに間違っていなかったぞ。
ま、もっとも、それはニトの表の顔であり、本作は彼女の裏の顔の物語なのですが。
タイトルにある「食客」とは、有力者に才能を買われ客人として遇される人間のことでして、主に春秋戦国時代の中国においてこのような風習があったのだとか。衣食住を提供される食客の大半は、その見返りとして、己の才能を活かして主に忠義を尽くすことになります。
しかし、この物語に登場する女食客ニトは、体格はご立派だが動きの鈍い怠け者で、昼寝ばかりする食いしん坊。とある商家で長年養われているものの、特筆すべき才能も見当たらず、現在店を切り盛りする女将さんとその娘レミルにはすっかり呆れられている。
そんな彼女たちの暮らす街で、とある日、刃傷沙汰が起こる――。
初めは、「食客」という語感からアジアンテイストなファンタジー世界を連想し、本作の主人公はあの有名な某ファンタジー作品に登場する短槍使いの女用心棒を「鈍く」した感じかなあ、などと勝手にイメージしていたのですが、読み進めるにつれ、物語世界は想像のはるか上を行く展開に!
プロローグと6つのエピソードで構成される「第1話」で強烈なバトルシーンを華麗に決めたこの食客、用心棒にしてはめちゃくちゃアヤシイしめちゃくちゃコワイ。あまりの豹変ぶりに、見てはならぬものを見てしまったような戦慄を覚えます。
やがて、商家で働く面々やその周辺の人たちの中にも、胡散臭そうなのがぞろぞろ登場。極めつけは女将の旦那で、婿養子であり街の小役人である彼の名はドモン。モンドじゃなくてドモンです。「こ、これはもしや…!」と閃いた方、すぐに本編を読んでその予感が当たっているか確かめるべし!
短編連作スタイルのこの作品、各話それぞれに、凝った設定のハードボイルドなストーリーが詰まっています。ウリのアクションシーンはそのままに、「人の闇」のドラマが、ある時はおぞましい迫力で、またある時には切ないトーンで描かれ、バリエーションに富んでいる点も魅力です。
何も知らずにニトたちと暮らしている女将や娘のレミルは、「闇」に対する「光」のような存在と言えるでしょう。二人が絡むほんわかしたシーンが、ハードな物語にほっとする瞬間を与えています。食客ニトや「請負人」と呼ばれる者たちもこの二人と一緒にいる時は「表の顔」を装っているわけですが、そんな時間を楽しんでいるようにすら見える彼らは、「光」である二人のことを心から慈しんでいるのだなあ、とその渋い優しさにますますほれ込みます。
語りすぎない地の文の朴訥とした雰囲気も、物語にさらなる渋みを与えています。必殺レベルでカッコイイです(「第6話-終」まで読了時点での感想です)。
何もしていない。
その一文から、不思議に惹かれました。
彼女は何者なのか。
ニトの存在に惹かれながら、
レミルなど、人物の軽快な様子に、
二人の会話に
拝読していて楽しいです*
レミルの感じる壁・・*
どこか切なくもあります。
展開してゆく事件。
どうなってゆくのかと、
ドキドキします・・*
忍び足をする様子に、
思わず息を飲みます。
そして、一瞬の出来事。
はっとした、瞬間に
切り替わる事態に、
鳥肌が立ちました。
存在していながら、姿の見えない描写が、
素晴らしく。
見えないことで、感じる恐ろしさに、
感動します。
そして、迎えた朝。
悪口を言われた時の、ニトの表情に
惹かれます*
信実を知っている者だけが知る想い・・*
レミルの存在と共に、
魅力的です。
レミルの出会った出来事で、
感じた想い。
まったくその通りだと思いました。
信じていた想い。
とても共感します。
姿が見えぬ中、進んでゆく場面が、
かっこ良く*
迫力と、恐怖*
その姿に、痺れます*
とにかくニトがかっこいいです*
正面切って見せない、本当の姿。
優しさだけでない、厳しさを持ちながら、
心地良い、正義を感じます。
シャスタの想いにも心動かされます。
登場してくる人物
起こって行く事件は深く、
時に恐ろしく*
垣間見る、レミルとニトの姿が
微笑ましいです。