好きは、辛い
- ★★ Very Good!!
こちらは「誰かに校閲・しっかりとした(略」用の辛口レビュとなります。
本作は母となった大原が恋を思い出し葛藤するお話ですが、非常に上手く描けておりました。
読者の誘導も素晴らしく、バシっと決められない大原さんにイラつきます(褒め言葉)。
さて、問題点を挙げるならばまず、描写が少なく序盤の展開が判らなくなるところです。
いまどこにいるのか、なにをしているのか。あれからどれくらい時間が経ったのか。長い説明はいりません。状況が判る説明がもう少し欲しいです。
次に同質のカタルシスが長すぎます。
読者の感情を揺さぶるのは良いですが、同じ方向に揺さぶり続ける時間が長い。
浮気の話を進めるにしても、揺さぶり方は様々あると思います。葉山のこと、葉山妻のこと、子どものこと、元旦那のこと、元旦那彼女のこと。いろんな揺れ方があるのに、現状だと葉山のことでしか主人公は大きく揺さぶられていない。
特に子どもへの愛ではもっと揺さぶらないと、子どもがいる意味が全くありません。ただのそういう設定になってしまっている。
そのほか、文章力に関しては特に指摘はございません。指摘すれば十分直せるレベルだと思われますし。
ただもっと上の筆力を目指すのであれば、(文体はかなり違いますが)江國香織さんの作品の分析をオススメいたします。
以上辛口になってしまいましたが、非常に良いものをお持ちです。
今後とも、がんばってください!