好きは、辛い

 こちらは「誰かに校閲・しっかりとした(略」用の辛口レビュとなります。

 本作は母となった大原が恋を思い出し葛藤するお話ですが、非常に上手く描けておりました。
 読者の誘導も素晴らしく、バシっと決められない大原さんにイラつきます(褒め言葉)。

 さて、問題点を挙げるならばまず、描写が少なく序盤の展開が判らなくなるところです。
 いまどこにいるのか、なにをしているのか。あれからどれくらい時間が経ったのか。長い説明はいりません。状況が判る説明がもう少し欲しいです。

 次に同質のカタルシスが長すぎます。
 読者の感情を揺さぶるのは良いですが、同じ方向に揺さぶり続ける時間が長い。
 浮気の話を進めるにしても、揺さぶり方は様々あると思います。葉山のこと、葉山妻のこと、子どものこと、元旦那のこと、元旦那彼女のこと。いろんな揺れ方があるのに、現状だと葉山のことでしか主人公は大きく揺さぶられていない。
 特に子どもへの愛ではもっと揺さぶらないと、子どもがいる意味が全くありません。ただのそういう設定になってしまっている。

 そのほか、文章力に関しては特に指摘はございません。指摘すれば十分直せるレベルだと思われますし。
 ただもっと上の筆力を目指すのであれば、(文体はかなり違いますが)江國香織さんの作品の分析をオススメいたします。

 以上辛口になってしまいましたが、非常に良いものをお持ちです。
 今後とも、がんばってください!