過去と未来が交錯する壮大なSF冒険譚

物語は輝男という一人の天才科学者が、優秀だけれど危険な発明をする人々が幽閉されている研究所から脱獄を計画するところから始まります。

彼は誰よりも優しく、周りに傷つけられてもやり返そうとはしない、平和的な人間です。
だからこそ、彼はいつも人を幸せにするための発明をするのですが、その発明を悪用する人間が時おり現れて彼を苦しめてきました。

現代社会に居られなくなった彼が仲間たちと目指すのは、子供の頃から夢だったアトランティスという理想郷です。

果たしてアトランティスはどこにあるのか。

この物語は科学者たちの脱獄という冒険と並行して、アトランティスの手がかりとなるとある少年の手記と、さらに輝男の半生が描写され、一つの壮大なストーリーとなっています。

伏線がいくつも張り巡らされ、パズルのように組み合わさって、過去と未来の出来事が語られる度に少しずつ物語の秘密が明かされていきます。

情報の与えかた、手がかりの出し方がとても上手いと感じました。

またどの主要キャラクターにも人間味があり、暖かさを感じるのも楽しみのひとつです。

貴重な読書体験ができました。

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