少しずつ、少しずつ読んでいました。
トイレ…
嫌なイメージしかなかったのですが、トイレをなんだが大切に思えるようになってきたのは、この小説のお陰です。
トイレが楽しい。
トイレが愛しい。
トイレがすごい。
どこまでいってもトイレ賛辞に付きますが、最後の星空トイレで、ふとあるアニメを思い出しました。男の子向けの、宇宙で戦い続ける筋肉のアレ。
宇宙船が確か…でしたよね。あれがびゅーんと飛んで、次々と敵を倒して仲間が増えていくんですよね。プロレスなのに。
トイレには元気とパワーが込められているのでしょう。
私の専門で言えば、トイレに鏡を置くと、福の神がお立ち寄りになる。
トイレでしょ?
ええ、トイレです。でも、この作者が最後に締めました通り、いろいろなトイレがあります。
まるで、人。人の数だけトイレはある。
作者に聞きたいです。トイレとは何?
答えは、このトイレ小説に。皆さんもトイレが可愛く思えたりするかも知れません。価値観を揺さぶられる作品でした。
うん、トイレを大切にすれば、きっといいことあるんじゃない?
どんなときでも、人はもよおさずにはいられない。
恋人と過ごしているときも、一人寂しい夜も、人生の門出や晴れの舞台でも。
トイレは世界中にあり、誰もがトイレを使う。トイレは用を足す場所であるだけでなく、一人になれる空間であり、普段は会話を交わさない人とすれ違ったり、二人きりになったりすることがある場所でもある。
そんなトイレだからこそ生まれる悲喜こもごものドラマを、大(5分程度で読める)小(1分程度で読める)織り交ぜた一話完結の形で、全52話に及ぶ小説にしているのがこの作品です。
ひたすらトイレにまつわる話でありながら、時に笑わせ、泣かせ、青春時代を思い起こさせ、話が異世界に飛んだり、蘊蓄を聴かせたり……。変化に富んでいて、飽きることがありません。また、尾籠(びろう)な話も出てくるのに、下品な作品になっていないのは、作者さんの教養とユーモアセンスの賜物だと思います。
かと思うと、突然下ネタ全開の歌を作詞して、それがまた大爆笑なのですが。
この小説を1日1話ずつの日めくりカレンダーのようにして、トイレに貼っておきたい。
でも、そんなことしたら、トイレから出られなくなるかな。
……と思うくらい面白い小説です。
たとえば、あなたがトイレに閉じ込められたりや電車で急にもよおしたりなどの単なるあるあるネタだけではありません。
夜中にトイレに行きたいと思って夢を何度もみるのがありました。
てっきり、トイレ失敗談かと思いきや、ラストに衝撃が走りました。
これには、やられました。
その他のオススメは、彼女と彼氏のほのぼのとした愛情を描いた「優しい気持ち」、美味しいお蕎麦対決に挑む別々の店の男女の触れ合いをやわらかく包んだ「トイレのそばで」です。
それから、これは外せないと思うのですが、トイレのSF、「IOT」にはその設定をシリアスにやればやるほどコメディタッチになるので面白い上、人類とトイレとの共存の為には必要なことです。
読みやすく書かれておりますので、トイレに一話、一日一話など、お楽しみいただけると思います。
トイレの数だけ物語がある。
と、先人が言ったかどうかはわかりませんが、まさしくこの物語はそれです。人間は生きている限り食べて排泄します。食事をいただくシーンは様々な物語で、それこそ星の数ほど描かれてきております。では、その食事を終えて排泄する場面をこと細かく描写する物語は、いくつくらいあるのでしょう。と申しますより、まず一般的にお目にかかることはないかと思われます。一部コアなマニア向けのお話を除いて。
やってくれちゃったのです、今作は。あらかじめ申し上げますが、排泄シーンをきっちりとこれでもかと描いてあるわけではありません、念のために。
トイレを主題とした短編集になります。お見事! と思わず膝を叩いて(あっ、このときに決して下腹部に力を入れ過ぎないように、経験者としてご忠告申し上げます)しまう秀作揃いです。
現代ドラマにSF、恋愛物にファンタジーとあらゆるジャンルに散りばめて、トイレを語ってくれています。笑いあり、涙あり、それこそ排泄物のように色々なカタチになって読ませてくれます。
しかも、まだ完結しておりません。もう出ないだろうと思わせておいて、実はまだ出しきっていないのです。
一話あたりが用たし時ようにと短く配慮されているのも、嬉しい限りです。
間違ってもお食事中での読書はされぬように。
冒頭にも書きましたが、まだまだ出ます、お腹の調子が悪い時のように。
ぜひ早めにご覧になってください。そして、トイレに向かう時には、必ず感謝を持って排泄なさってください。
なんかもうタイトル通りの作品です(笑)
しかし、トイレひとつでここまで多様なドラマが楽しめるとは!
すごいですよ。
ザ・トイレって感じの日常系から手に汗握るサスペンス、胸キュン恋物語もまさかのSFも、心温まる人情も哀愁漂うちょっと大人な人間ドラマも。人生の悲喜こもごもが、すべてトイレという小さな空間に詰まっている。あ、詰まっちゃダメですね。トイレだけに。いや、小説としては全然ダメじゃないですね。
素晴らしいです。
トイレ、それすなわち人生。
みなさん、この作品を読みましょう。そして今一度、トイレについて考え直してみましょう。
そこに見えてくるのはトイレの白い壁と……何でしょう?
「トイレで読む、トイレのためのトイレ小説」?なんじゃそりゃ?トイレの歴史とか起源とか、面白話とかそういうのを語るのか?でもそんなんだと長続きは……47話で9万字近くあるな……そんなに語ることあるのか?
↓読後
これは負けたわ……!トイレを絡めたSF、現代ドラマ、豆知識や「分かるわぁ」と頷けるあるある的な展開。トイレからここまで話を広げることが出来るなんて、小説っていうものの無限の可能性を感じさせるわ……!
これだけではありません。読んでいくたびに感じられる作者の圧倒的力量、短いながらもドラマが詰まった展開は必見です。個人的お気に入りは「もしもトイレが無かったら」と「松茸の露」ですね。特に「もしもトイレが無かったら」。本当にトイレが無かったら、この主人公と同じように思いますよ……カクヨム界隈だけでなく、広い小説界を見渡しても、ここまでトイレに絡んだ小説は無いのではないでしょうか。まさにノベル界のオンリーワンであると言えるでしょう。
もう大好き! 大ファン❣️ ってトイレじゃなくて御作品と作者さまのことですからね。
きっとね、読み手の皆さんにハッピーを届けようとしてくれているんだと思います。
もちろんハッピーも受け取っていますが、その尽きない発想と構成には感嘆のため息です。
それもこれも「トイレ愛」ゆえ。
コレなしの人生なんてあり得ない。
毎日会わずにはいられない。
というか、会いたい。
同じくこの作品と暮らせばきっとたくさんのハッピーがやってくる。
まさに「万人向け」のハッピー短編集。雑誌の編集者さん、いらっしゃらないかしら。
ほっこりにっこりハッピーをぜひあなたにも。
それから読む場所はあそこでなくともいいそうです。作者さまに確認済み(^_−)−☆
……というのは大げさかもしれませんが、とにかくバラエティに富んだ物語が目一杯詰め込まれています。
いろんなジャンルの短編が、『トイレ』というキーワードをもとに、目いっぱい詰め込まれています。
しかもですね、その短編のクオリティがとにかく高いんです。
短くまとめられた物語なのに、どれも印象深く、意外なオチが待ち受けていたり、泣かされそうになったり、不思議なSF風だったり、とあの手この手で心を揺さぶってくるのです。
これは食事時さえ外せば、夜にバーボンでも揺らしながら楽しむことのできる、珠玉の短編集です。
短編の名手『O・ヘンリー』の次の担い手『O・ベンキ―』の称号を与えたい気持ちです。
ぜひ楽しんでください!
トイレの狭さ、用を足した後のホッとリラックスする感覚、誰からも見られていないという安心感。
とても日常的なのに特別な空間でもあるトイレを題材にした、トイレの中で読める程度の分量のSS臭……いえ、SS集です(笑)
各話のジャンルも設定も雰囲気も実にバラエティ豊か。
ハラハラするサスペンス調があったと思えば、未来の世界を垣間見るようなSF、甘酸っぱい恋の話や背筋が寒くなるようなホラー、微笑ましかったり思わず笑いが漏れる現代ドラマものなどなどてんこ盛りですが、全てに共通するのがトイレがどこかで必ず絡んでいるということです。
こんな素敵な話のどこでトイレが絡んでくるんだろうとか、このトイレで一体どんな物語が生まれるんだろうとか、読み進め方もバランスよく様々な形で楽しめるようになっています。
作者様はトイレで読むことを推奨してますが、これはトイレだけでは止まらない!(笑)
ついつい色んな場所での隙間時間に読みたくなってしまう、お得で楽しい作品です♪