炭坑崩壊、極限状態での人の姿

 舞台は体内にナノマシンがあることによって疲労や心的不安を和らげ、また身体的補助もなされるという近未来。その中で石炭カーボンというエネルギーを得るために働く私を主人公にした物語です。
 しかし事故によって炭坑が大崩落してしまい大勢の人が炭坑に取り残されることとなります。ナノマシンを動かす電力も食料も、無尽蔵にあるわけではありません。残り僅かの食料と電力、それから予想される数日後の大混乱。主人公はそれから逃れるために、ひとまず更に下へと赴き、物資を補給することを思いつきます。そこで西口という女性に出会い、共に地上を目指すことになります。
 SFと骨太人間ドラマを掛け合わせたようなストーリーで、彼らが無事に地上へ戻ることができるのか、読んでいてはらはらしました。物語の中では西口がどうしてそこまでに冷静でいられるのか、そして主人公よりも豊富な知識を持つ理由は、主人公のわたしがナノマシンが作動させながらも最後に二人で協力して脱出しようとしたシーンで取り乱すほどの不安定になったのか、が明かされていなかったのでとても気になりました。
 
 

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