おとぎ話に出てくるようなかわいい動物キャラが主人公となって、ライトノベル的な世界観を冒険する、いいとこ取り作品。
動物ということで、できることが限られる中で懸命に解決策を模索していく様子に、思わずエールを送らずにはいられなくなります。
文体や台詞も児童文学よりに調整されていて、作者の狙いがはっきりしているところも好感が持てます。
プロットもよく練られています。読者は主人公たちの苦難の連続をハラハラドキドキしながら一緒に冒険しつつ、底流としてテーマとなっている食物連鎖と、それに抗う生き物たちのひきこもごもを感じ取ることでしょう。
最後は感動と共に、ちょっと神秘に触れたような気持ちになりました。
すばらしい作品です!
ほかの方が書いていましたが、童話的な要素も加味された現代ファンタジーとなっています。
注目すべきは、やはり主人公が「サル」であるということでしょう。
さて、そのサルの主人公ウキ助ですが、ちょっと気弱そうなアルパカ君と出会います。そして二人(二匹?)は冒険の旅に出るのですが、この冒険の最中、多くの出会いがあります。
タヌキのタヌ吉。ボスのアルパカ。大きなクマさん。グレーターデーモン。魔女のおばば――etc。
そしてそして、まさかの魔界までも登場する展開に驚きつつ、物語はあっという間にクライマックスへ。さあ、ラスボスであるニーズベッグを倒すことができるのだろうか――!?
皆さまも、個性豊かな動物たちが躍動する世界へ入園してみませんか(⌒∇⌒)
動物たちがある目的のために旅をするとなると、桃太郎やブレーメンの音楽隊なんかが有名ですよね。
それを現代+アルパカという強烈な縛りの中でやっている本作品。
なかなかに書き手としては腕を問われる条件です。
しかしそこは作者さん、スピンオフ元のギャグ作品で培った腕をふんだんにふるって、見事に書きこなしているかなかなかの快作です。
なんといっても本作の最大の特徴は、作中で出てくる動物たちの思考や物・捉え方でしょう。
サルといえば人間から物を奪うもの。しかしながら、我々人間には理解できませんが、そこには彼らなりの考え方があるのです。
アルパカというとなんともファンシーなイメージがありますが、書かれている彼らのやり取りは、ともするとファンシーというよりリアルより。多角的なものの見方というのを考えさせられます。
こういう、少し変わった視点で物事を語れるというのは、なかなかやろうと思ってできるものではありません。
素晴らしい。
スピンオフ元の「我輩は暮田伝衛門(グレーターデーモン)である」でも、同時進行&別視点で話が展開しているあたりも、実に心憎い演出です。
ファンシーと思って侮るなかれ。
おすすめです。
迷子のアルパカ「ペリペリ」を仲間のもとへ送り届けるべくサルの「ウキ助」が山をおりて大冒険をするというライトノベル×童話な雰囲気の作品です。動物から見る人間たちの姿が上手く描写されており、動物から見るほかの動物たちの姿も生き生きと描かれています。動物たちの会話が楽しいです。そして、ピンチの場面では手に汗握ります。ほのぼのするキャラの、どきどきわくわくな物語、最後まで目が離せない展開でした。みんなで協力して強敵に立ち向かう姿は格好良かったです。そして、ラスボス的存在の意外な正体。野生に生きるものの掟というものについて考えさせられました。