人それぞれに過去があり、今があり、そして未来がある

現代社会そのものにメスを入れて腹を開いたかのような話ですね。
多様化していく社会においてヒトの価値観はヒトの数だけあり、「正しさ」の定義も同様にヒトの数だけあり、とても曖昧模糊としています。
そんな中で、少しだけ年長者として自己の持つ人としての「正しさ」を揺るがず貫き通せる主人公には、人として好感を持てます。
そんな主人公だったからこそ、なんでもないようなフリをして心の傷を隠し続けてきたヒロインの聞こえない心の悲鳴にも耳を傾け、本音をすくい上げることができたんだなと感じました。本当の等価交換なら、どちらかが傷を負い続けることなんてないでしょうからね。ヒロインはなかなか深い業の持ち主ですが、この作品の女性陣は全員なにかしら裏を抱えているので、今後明らかになるのが楽しみです。
「行ってらっしゃい」と「おかえり」を行ってくれる人のいる幸せって思っている以上に大きんですよね。ヒロインは主人公に与えられてばかりだと良く作中で言っていますが、主人公もヒロインのいる幸せをしっかり感じていて、共依存というべき関係は二人の絆をとても強固なものとしています。
二人の過ごした時間が、二人の紡いだ言葉が、二人の夢見た未来が意味のあるものになってくれることを切に願いながら、読み進める手は最新話までノンストップでした。
最後に、筆下手な自分の文章をここまで読んでくれた方に感謝をば、ありがとうございました。

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