第9話 西日本平定!
信長は、SFらしく四国を平定した。天下統一するためには、まだ九州・四国・北陸・東北・関東が残っている。そして、謀叛人、明智光秀。光秀を倒すまでは、真の天下人にはなれないのだ。
ここは宇宙安芸。毛利元就の吉田郡山城。
「これは、なんですか? 明智殿?」
「元就さまのように賢い方であれば、これが何かお分かりのはず?」
光秀は、質問に質問を返した。光秀が元就に差し出したのは、隕石。宇宙鎧侍のエネルギー源である、隕石である。隕石は、緑色のような、透明なような、空や風を連想させる輝きを放っていた。
「これはかくまっていただいた、お礼です。」
「それでは遠慮なくもらっておくぞ。」
「それでは、私は九州の島津に会いに行ってきます。」
「分かった。信長が攻めてきたら、この毛利元就が倒してやろう!」
「それでは失礼します。」
光秀は、宇宙土佐の長宗我部元親の元を去り、宇宙安芸の毛利元就の所にやって来ていた。新たな幻獣隕石を毛利元就に渡し、光秀は、九州へと向かった。
ここは宇宙安芸。羽柴秀吉の陣中。
「困った! まさか毛利軍がこんなにも強いとは!?」
秀吉は、毛利軍の毛利輝元、小早川隆景、吉川元春といった有能な武将のトリプルアタックにあい、宇宙安芸の攻略に手間取っていたのだ。
「こうなっては、信長さまに援軍を要請するしかないですな。」
「我々だけでは、宇宙鎧侍の性能で勝っていても、軍の総合力で毛利軍に劣っています。」
「このまま毛利と戦っていても、いつまでたっても戦は終わりません。」
「半兵衛と官兵衛と直家が言うのであれば・・・仕方ない。信長さまに援軍を頼もう。」
この頃、秀吉の家臣には、竹中半兵衛と黒田官兵衛と宇喜多直家の3人がいた。どちらも天才軍師と言われる、秀吉に勝るとも劣らない頭脳の持ち主であった。しかし、秀吉を含めた天才集団でも落とせない。それが毛利元就である。天才の中の天才なのである。
ここは宇宙安芸。毛利元就の宇宙鎧侍工場。
「これは、すごい!?」
毛利元就は、明智光秀からもらった、緑透明な隕石を自分の宇宙鎧侍の動力源に取り換えていた。早速、試運転をしてみた。
「まるで、風のようだ!?」
光秀からもらった幻獣隕石。それは、シルフの隕石だった。毛利元就の宇宙鎧侍は、普段でも早いのだが、まるで風のように宇宙鎧侍が消えたかのように見えるぐらい、スピードが早いのだ。
「これなら、秀吉の織田軍など、あっという間に壊滅させてみせる! ワッハハハ!」
毛利元就は、宇宙鎧侍に乗って、息子の毛利輝元たちの戦っている戦場を目指して飛び立った。その動きは、疾風のように空を駆け抜けていく。
ここは宇宙土佐。信長の安土城。
「それでは、四国は蜂屋の領土とする。」
「はは! ありがたき幸せでございます。」
信長は、長宗我部元親を倒して平定した四国を、家臣の蜂屋頼隆に任せた。
「丹羽には、サラマンダー隕石を与える。」
「はは! ありがたき幸せでございます。」
長宗我部元親の使用していた、宇宙鎧侍の動力源のサラマンダー隕石を、信長は丹羽長秀に与えた。
「殿! 一大事でございます!」
論功行賞をしている時に、兵士が慌てて、駆け足でやって来る。
「どうした?」
「宇宙安芸を攻めている、羽柴秀吉さまから、援軍要請です!」
「なに!? サルが援軍を求めているだと!?」
秀吉は、毛利輝元、小早川隆景、吉川元春だけでも手を焼いているのに、そこに毛利元就も参戦しようとしていた。秀吉、最大のピンチである。
「いくぞ! 長秀!」
「御意!」
「よし! 宇宙安芸に向けて、宇宙お城戦艦、安土城、発進!」
宇宙お城戦艦、安土城は、ロケットエンジンを点火させ、毛利元就のいる宇宙安芸を目指す。果たして信長は、サルのピンチに間に合うことができるのか?
ここは宇宙安芸。秀吉の陣中。
「それでは軍議を行う。」
「おお。」
サルは、毛利軍の脅威を排除するために、竹中半兵衛、黒田官兵衛、宇喜多直家と羽柴秀吉ことサル自身も入れて、4人で対処策も考える。
「敵に優秀な武将が3人もいるのがきついですな。」
「毛利輝元、小早川隆景、吉川元春・・・どれも強いからな。」
「この3人を分断できればいいのだが?」
「分断か、その手があったか。」
「こちらは4人。相手は3人。1対1で戦って、どこかに私が加勢して2対1を作ろう。そうやって1人ずつ、確実に倒していくんだ。」
「良い案ですな。」
「勝てそうな気がしてきました!」
「いくぞ!」
「おお!」
卑怯といえば卑怯な作戦なのかもしれないが、負けてしまっては仕方がない。勝てば官軍なのは、いつの世も同じである。
本能寺の変で信長が暗殺されなかったので、サルが豊臣秀吉になって、天下人になるという史実は崩れている。サル、残念!
ここは宇宙安芸。合戦場。
「懲りずに、また、やって来たか! 秀吉め!」
「返り討ちにしてくれるわ!」
「我が殿の方が、知力は上なのだ! 毛利、驚異のテクノロジーを見せてやる。」
これが毛利の3本の宇宙鎧侍。毛利輝元専用の宇宙鎧侍レベル5。小早川隆景専用の宇宙鎧侍レベル5、吉川元春の宇宙鎧侍レベル5。宇宙土佐の長宗我部元親の宇宙鎧侍レベルが4だったことを考えれば、毛利家の開発技術力の高さが伺える。
「こっちだって、天下の織田軍だ!」
「やっとうちと同じレベルの宇宙鎧侍を作ったからって、調子に乗るな!」
「我々の3方向からの攻撃を防げるもんなら、不正で見ろ!」
竹中半兵衛たちは作戦通り、毛利の3武将をバラバラにして、秀吉が参戦して、1体ずつ倒していくつもりだ。卑怯な作戦ではあるが、数の上で有利になって戦おうというのだ。
「よし! みんな! それぞれ作戦通りに散れ!」
「おお!」
竹中半兵衛の号令で、右に黒田官兵衛、左に宇喜多直家が移動する。ここまでは作戦通りだ。
「しまった!?」
「3方向から攻撃されて、どうすればいいんだ!?」
「困ったぞ!?」
毛利の3武将は、秀吉の作戦に翻弄されて、指揮系統がパニックした。秀吉の作戦は成功した。
「いいぞ! 毛利軍は混乱しているぞ!」
そして、毛利の3武将が3方向からの織田軍の攻撃に対応するために、分散しなければならい。分散するはずと考えていた。
「・・・(ФωФ)フフフ・・・。」
「安い挑発だな。」
「浅はかだな、秀吉。」
「なに!?」
「こんな作戦に引っかかる我々ではないぞ!」
「分散してくれて、ありがとう!」
「我々は3人で、竹中半兵衛と戦えるわけだ!」
「しまった!?」
秀吉の作戦は、毛利軍に読まれていた。毛利の3武将の迅速な攻撃が始まる。毛利輝元、小早川隆景、吉川元春の3体の宇宙鎧侍が、一気に竹中半兵衛の宇宙鎧侍に襲い掛かる。
「くらえ! 必殺! スリーアロー・アタック!」
「ぎゃあ!? 無念!?」
「半兵衛!?」
ドカーン! 竹中半兵衛の宇宙鎧侍は爆発した。毛利軍の三位一体の攻撃が炸裂した。秀吉の作戦は失敗して、大切な家臣を失ってしまった。
「おまえたち、本陣は捨てる気か!? 官兵衛と直家が攻めているんだぞ!?」
そう、毛利の作戦は、織田軍が分散したら、分散しないで、1人を倒してしまおう! というものだった。秀吉の言うように、本陣は空っぽであり、黒田官兵衛と宇喜多直家ほどの天才部隊が攻め込んで、落とせない訳がなかった。
「(ФωФ)フフフ・・・。」
「甘い! 甘いぞ! 秀吉!」
「我々が何の備えもないと思うか?」
「なに!?」
毛利軍は、空っぽの本陣にも備えがあるというのだ。毛利の本陣には、何があるというのだ!? 秀吉は、分からないので、目に見えない恐怖に身を震わせた。
「ぎゃあ!?」
「ぐわあ!?」
ドカーン! 一瞬で黒田官兵衛と宇喜多直家の宇宙鎧侍が爆発した。2機とも風に包まれて、台風のように風が宇宙鎧侍を切り刻み、激しい風圧で宇宙鎧侍がねじ曲がって行ったのだ。ま、まさか・・・!?
「織田の宇宙鎧侍など、こんなものか? 秀吉もすぐに倒してくれるわ!」
毛利元就だ。毛利の本陣には、毛利元就がいた。明智光秀からもらった、シルフの隕石を元就の宇宙鎧侍のエネルギーにして、シルフの風の力を使うことができるようになっていたのだ。毛利元就の宇宙鎧侍のレベルは6になる。
「毛利元就!?」
秀吉は驚いた。まさか合戦上に、中国地方の覇者、大名の毛利元就、自ら出陣してくるとは思っていなかった。そう、秀吉の作戦を先読みしたのも、毛利元就である。おかげで秀吉は、優秀な武将を3人も失ってしまった。
「さあ! 秀吉に総攻撃をかけるぞ!」
「おお!」
「むむむ!?」
毛利元就の号令で、秀吉の本陣に対して、毛利軍の総攻撃が始まる。さすがの秀吉も、ここまでか!? っと、覚悟をした。
「くらえ! 必殺! スリーアロー・アタック!」
「うわあ!?」
毛利輝元、小早川隆景、吉川元春の三位一体の攻撃が、秀吉を襲う。秀吉は、華麗なな身のこなしで、なんとか攻撃をかわし防戦する。
「しまった!?」
しかし、秀吉は着地に失敗して宇宙鎧侍のバランスを崩してしまう。
「チャンス! もう一度、スリーアロー・アタックをしかけるぞ!」
「おお!」
相手の隙を、毛利の3武将が見逃す訳はなかった。すぐに必殺のスリーアロー・アタックの態勢に入る。秀吉、絶体絶命のピンチ!?
「一の矢!」
毛利輝元の攻撃で、秀吉の宇宙鎧侍の頭部を吹き飛ばす。
「二の矢!」
小早川隆景の攻撃で、秀吉の宇宙鎧侍の片腕を切り落とす。
「三の矢!」
吉川元春の攻撃が、秀吉の宇宙鎧侍のコクピットを狙って、突きを繰り出す。
「もうダメだ!?」
秀吉は、死を覚悟した。短い人生、ありがとう。ついに秀吉は観念した。
「サラマンダー!」
どこからか炎が現れて、秀吉と吉川元春の間に、炎の壁を作る。
「なんだ!?」
「炎だと!?」
「上だ!」
上空には、宇宙お城戦艦、安土城がやって来ていた。お城のデッキには、宇宙鎧侍がいる。1体は、赤金色をしている。もう1体は、赤赤色だった。
「信長さまだ! 信長さまが来てくれたんだ!」
秀吉は、信長の登場に歓喜した。援軍要請をしたのが聞き入れられ、信長、自らが援軍としてやって来たのだ。信長の宇宙鎧侍は、フェニックス隕石を動力源として、南蛮人にもらった星形の懐中時計で夜空の星々も操ることができる。もう1体は、サラマンダー隕石を内臓した丹羽長秀の宇宙鎧侍である。
「なんという惨状だ。」
信長は、ボロボロの秀吉の宇宙鎧侍と、戦場に散った宇宙鎧侍の残骸を見て、心を痛める。そして、毛利輝元、小早川隆景、吉川元春の宇宙鎧侍を見る。最後に毛利元就の宇宙鎧侍を見つめる。
「あれが毛利元就か。」
「信長、やっと来たか。」
毛利元就と信長は、目と目が合う。目には見えないが、激しい火花が散る。お互い戦う相手を決めた。
「長秀、あの3人は任せていいか?」
「御意!」
「俺は、あいつをやる!」
信長は、丹羽長秀に毛利輝元、小早川隆景、吉川元春の相手を任せるというのだ。秀吉、竹中半兵衛、黒田官兵衛、宇喜多直家の4人がかりでも倒せなかった毛利の3武将を丹羽長秀一人に任せるのだ。
「いくぞ! 毛利元就! 邪魔する者は、俺が全て斬り捨てる!」
「こい! 信長! 私が相手をしてやる!」
信長は、毛利元就に向けて突進する。これから信長と毛利元就との激しい戦いが始まろうとしていた。
「行かせるか!」
「俺たちが相手だ!」
「信長を討ち取れ!」
信長の進路を毛利の3武将が遮ろうとしていた。ボボボボボ! しかし、毛利の3武将を炎が襲い、信長は毛利の本陣にいる毛利元就の元へ向かう。
「おまえたちの相手は、この丹羽長秀だ! 信長さまの邪魔はさせんぞ!」
「丹羽長秀だと!?」
「織田四天王の1角か!?」
「相手にとって不足無し!」
毛利の3武将の宇宙鎧侍と、丹羽長秀のサラマンダー隕石内臓宇宙鎧侍との戦いが始まった。
「それがおまえの宇宙鎧侍か?」
「そうだ、明智光秀からもらったシルフの隕石を動力源にし、風を操ることができる。おまえの宇宙鎧侍は、なんの幻獣隕石だ?」
「俺のは、フェニックスの隕石だ。火を司ることができる。」
「そうか、信長。おまえは天下統一を諦める気はないのか?」
「ない。だから、降伏しろ! 元就!」
「それは、同じ戦国大名同士、譲り合うことはできないか・・・。」
「そうだな。戦って勝負を着けるしかないな。」
「信長、恨みっこはなしだ!」
両雄、対峙する。ついに信長と毛利元就の戦いが始まろうとしていた。先に風の特性のようにスピードで勝っている毛利元就が仕掛ける。
「先手必勝! 風よ! 嵐のように、信長を消し去れ!」
「なに!?」
いきなり、つむじ風が現れ信長の宇宙鎧侍を包み込む。信長の視界は形の無い風のはずなのに、暴風で目の前が見えなくなった。
「風よ! そのまま引き裂いてしまえ!」
「うわあ!?」
ギギギギギ! 信長の宇宙鎧侍を強風が、かまいたちのように切り裂き、渦を巻いたり逆風になったり、交互し合う風にバキーン! っと、信長の宇宙鎧侍がバラバラになってしまった。
「ハッハハハハ! 信長を倒したぞ!」
毛利元就の高笑いが響いた。その光景、その笑い声は、毛利の3武将だけでなく、丹羽長秀にも聞こえていた。
「やった! 信長を倒したぞ!」
「毛利の勝利だ!」
「あとは丹羽長秀だけだ!」
「信長さま!?」
さすがの丹羽長秀も落胆する。目の前で信長が毛利元就にやられてしまったのだ。そこを毛利の3武将が見逃す訳はなかった。
「丹羽長秀に、スリーアロー・アタックだ!」
「おお!」
毛利の3武将が三位一体のトリプル攻撃を仕掛けてくる。丹羽長秀は、スリーアロー・アタックを見るのが初めてなので、どんな攻撃だと身構える。
「くらえ! スリーアロー・アタック!」
「守れ! サラマンダー!」
突撃してくる毛利の3武将を、丹羽長秀はサラマンダーの炎を周囲に放ち、敵を近づけないようにする。
「くそう! これでは近づくことができない!?」
「種子島を討ちまくるんだ!」
「おお! 連続攻撃だ!」
バンバンバン! 火縄銃を三位一体で打ちまくる。丹羽長秀は、防戦一方だ。
「どうする? 攻撃に転じれば、相手の攻撃を受けてしまう!? いったい、どうすればいいんだ!?」
丹羽長秀は、どうすることもできなくて困ってしまう。その時、キラーン! っと空から金色にキラキラ輝く星々が降ってくる。
「うわあ!? なんだ!?」
「隕石か!?」
「星だと!?」
毛利の3武将は、ドカーン! っと、突然の星が地面に当たった衝撃で体制が崩れる。攻撃の手が止まったのだ。
「長秀、何をもたもたしている?」
「信長さま!?」
丹羽長秀は、驚いた。死んだと思った信長の声がするのだ。
「信長だと!?」
毛利元就も驚いた。目の前に信長の宇宙鎧侍の残骸はある。それなのに信長の声がするのだ。
「毛利元就。俺を倒したつもりだろうが、俺の隕石はフェニックスだ。例え破壊されボロボロになっても、俺の闘志が燃えている限り、俺は不死鳥の如く、何度でも蘇るのだ!」
「なに!?」
信長が倒された場所に、火の玉が現れる。その火は徐々に大きくなり、大きな火の結晶として、ボボボボボ! っと、燃え盛る。その火の中から信長の宇宙鎧侍が現れる。
「邪魔する者は、俺が全て斬り捨てる!」
信長が復活したのだ。これが信長の火の鳥再生システムだ。死の淵から蘇れば蘇るほど、以前よりも強くなっているように感じる。
「信長さま!?」
「長秀、そいつらは任せていいんだな?」
「御意!」
信長が蘇ったことで、丹羽長秀の迷いが消えた。守りから攻撃に切り替えるのだ。
「いくぞ! 毛利の3武将! サラマンダー! 3連発!」
「負けるか! スリーアロー・アタック!」
丹羽長秀の最高潮に高まった戦闘意識が、サラマンダーを3匹も呼び出した。一方、毛利の3武将も必殺のスリーアロー・アタックで迎え撃つ。
「ぎゃあ!?」
「そんなバカな!?」
「スリーアロー・アタックが敗れた!?」
「毛利3武将、討ち取ったり!」
バーン! と爆発が3回起こった。毛利輝元、小早川隆景、吉川元春の宇宙鎧侍がサラマンダーに食われたのだ。炎に包まれ、そのまま爆発したのだ。丹羽長秀が勝ったのだ。
「輝元、隆景、元春がやられたというのか!?」
「元就、自分の心配をするんだな! 今度は、こちらの番だ! 俺の必殺技をお見舞いしてやる!」
「こい! 信長!」
グイン! 信長の宇宙鎧侍に搭載している、空け者システムが信長の感情の高鳴りに合わせ起動する。宇宙鎧侍の全身が赤金色のオーラを発する。刀の刃も赤金色に輝いている。
「必殺! フェニックス・スター信長斬る!」
「風よ! 私を守れ!」
元就の周りを風がバリアのように包み込む。それを気にせずに信長は特攻する。信長の刀は、風を切り裂いていく。
「俺は、天下を統一するんだ!」
「あっぱれだ、信長・・・。」
風で、刀で信長の一撃を防ごうとする毛利元就。しかし、信長の刀は、風を、刀を切り裂き、元就の宇宙鎧侍を真っ二つにする。
「元就、敵でなければ、良い友になれただろう。」
バーン! っと、毛利元就の宇宙鎧侍が爆発をした。ついに信長は、毛利元就を倒したのだった。
「信長さま、ご無事でなによりです。」
「長秀、お主もな。」
信長たちは、合戦場を見回す。たくさんの有能な武将が命を落とした。こんな戦いがなくなり、平和な世を築かなければいけないと、改めて思う信長であった。
「惜しい人材を亡くした。」
「そうですね。」
「全くです。」
信長、丹羽長秀が話していると、死んだはずのサルが現れた。
「サル!?」
「秀吉、生きていたのか!?」
「勝手に殺さないでください! スリーアロー・アタックの第3の矢の攻撃は受けていませんからね。」
「そうか! 生きててよかった!」
「これも援軍に来てくれた信長さまのおかげです!」
「何はともあれ、これで中国地方を平定しましたね。」
「四国に続いて、中国地方平定おめでとうございます!」
秀吉も生きていた。中国地方も平定できた。信長にとって、こんなにうれしいことはないのである。
「勝どきをあげるぞ!」
「おお!」
「エイエイオー! エイエイオー!」
織田軍は、毛利軍に勝った勝利の余韻に浸っていた。その時、不穏な幻影が空に映し出される。
「勝利、おめでとう。信長。」
明智光秀だ。
「光秀!?」
明智光秀の幻影が空に映し出されているのだ。それを見た信長たちは驚いた。まるでお化け、幻影、妖を見ているかのようだった。
「今、私は九州の島津の元にいる。追ってこい! 信長! 私を倒したいのであればな! ハッハハハハ!」
そう言うと、光秀の幻影は消えていった。現在、明智光秀は九州の島津の元にいるというのだ。
「クソ! 光秀め! 必ず倒してやる!」
「九州の島津か!?」
「信長さま、次の目的地は、宇宙薩摩ですね。」
「よし! 九州を平定しに行くぞ!」
「おお!」
信長は、光秀を追いかけて九州に遠征することを決意した。こうして、信長の天下統一は、着実に進んでいくのだった。
ここは宇宙薩摩。島津貴久の内城。
「これが水を扱うことができる隕石ですか?」
「そうです。ウンディーネ隕石です。」
「ありがたく、頂戴いたしますぞ。」
宇宙薩摩の島津貴久の元を、明智光秀が訪ねていた。
「しかし、もう織田信長の勢力は強大で、四国を平定したと聞きます。今更、私が戦って勝てるとは思えません。」
「なにを弱気な!? 島津殿ともあろう方が?」
「ということで、明智殿。そなたを捕まえて、信長に尻尾を振ろうと思います。」
「謀ったな!? 島津!?」
「いでよ! 島津四兄弟!」
光秀は、島津をけしかけて、信長と戦わせるつもりであったが、逆に島津の罠にかかってしまった。現れた、島津義久、義弘、歳久、家久の島津四兄弟に囲まれる。
「まさか、私がこのような目にあうとわな。ハッハハハハ!」
「なにがおかしい!?」
「私は、天下一の謀叛者。これしきの謀ではビクともしないわ!」
ガガガガガ! その時、島津の内城を破壊する音と共に、明智光秀の緑黒い宇宙鎧侍が現れる。
「こうなったら、島津は私が滅ぼしてやる!」
光秀は、宇宙鎧侍に飛び乗る。操縦席に乗り込む。
「我々も宇宙鎧侍で応戦するのだ!」
「おお!」
島津家も5機の宇宙鎧侍に乗り込み、明智光秀と対峙する。光秀は、島津家の宇宙鎧侍を見下している。島津の宇宙鎧侍のレベルは、どれも4ぐらい。それに対して、光秀の宇宙鎧侍は何らかの幻獣隕石を装備していると考えれば、レベル6以上ということになる。
「開発技術力が低いな、せいぜいレベル4といったところか・・・。そんなもので私に勝てる訳が無いだろう!」
光秀の宇宙鎧侍が突撃する。その表情は、1対5と不利にもかかわらず、余裕すら感じるくらい楽し気である。
「死ね! 光秀!」
「遅い!」
「消えた!?」
島津の4男、家久が光秀に斬りかかる。光秀は、消えるフェイントで家久の攻撃をかわす。次の瞬間、ドカーン! 家久の宇宙鎧侍が大爆発を起こした。1撃で家久の宇宙鎧侍を光秀は倒したのである。
「家久!?」
「なんだ!? なにが起こったんだ!?」
島津軍は戸惑った。弟を殺されたこともあるが、見えないのだ。明智光秀の宇宙鎧侍の動きが速過ぎて、全く見えないのだ。
「2機目!」
「うわあ!?」
ドカーン! 3男の歳久の宇宙鎧侍が大爆発を起こした。光秀の宇宙鎧侍はスピードだけではない。パワーも兼ね備えているというのだ。
「歳久!?」
「くそ! 光秀め! 俺たちが相手だ!」
長男、義久と次男、義弘が二人がかりで、光秀に挑む。
「フ、2人がかりか、卑怯者どもめ!」
それでも、光秀は余裕そうだった。
「でやあ!」
「とりゃあ!」
義久と義弘が斬りかかる。ベキ! っと、逆に刀が折れてしまった。
「なんだと!?」
「どういうことだ!?」
「私の幻獣隕石は、ノーム。大地を司るのだ。刀如きで切れる訳が無いだろう!」
光秀は、相手の攻撃をノームを出して防いでいるだった。そして、光秀は磨き抜かれた剣技で反撃に出る。
「うわあ!?」
「ばかな!?」
一瞬だった。ドカーン! ドカーン! と爆発音が響き渡る。義久と義弘の宇宙鎧侍が爆発した。光秀だ。光秀が一瞬で2機の宇宙鎧侍を切り裂いたのだ。まさに光秀の独壇場で会った。
「弱い、弱すぎる。薩摩の猛将も大したことはないな。」
「ひいい!? 息子たちが!?」
島津貴久は、あっという間に4人の息子を失った。あまりの宇宙鎧侍の性能の差に、どうすることもできないのだ。
「悪かった! 謝るから許してくれ!」
「情けない、命乞いか?」
「私が悪かった許してくれ!」
「フ、殺す価値もない。」
光秀が剣を鞘に収めた。
「チャンス! 死ねえ!」
一転して、光秀の隙を見て、島津貴久が光秀に斬りかかる。
「ノーム。」
光秀の言葉で無数の岩が現れて、島津貴久の宇宙鎧侍にぶつかっていく。そして、そのまま、ガチーン! っと押しつぶしてしまう。
「光秀!?」
ドカーン! っと島津貴久の宇宙鎧侍が爆発した。これで島津家は滅びたのだ。明智光秀、たった一人に今まで築いてきた歴史が全て泡となり消えてしまったのだ。
ドカン! ドカン!
その時だった。上空から砲撃が光秀目掛けて飛んでくる。光秀は、砲撃を軽やかにかわす。
「あれは安土城!? 信長か!?」
信長の居城、宇宙お城戦艦、安土城である。信長が宇宙薩摩にやって来たのである。丹羽長秀と羽柴秀吉も一緒である。
「宇宙薩摩の城が破壊されている!?」
「何と酷い戦場だ!?」
「己! 光秀め!」
信長たちは、宇宙お城戦艦のブリッジから宇宙薩摩の現状を眺めている。余程、激しい戦いがあったのだろう。宇宙鎧侍の残骸、焼け野原となった戦場を、神妙な眼差しで見つめていた。
「信長、今はまだ戦う時ではない。今日の所は、おまえに九州もくれてやろう。しかし、決着をつける時が来たら、必ずや信長、おまえを殺してやる!」
そう言うと、明智光秀は、林の中に消えていった。島津に与えたウンディーネの隕石は、内城の中に置いたままだった。
「クソ! 光秀が逃げる!?」
「追っても無駄であろう。それよりも宇宙薩摩の人々を助け出すんだ!」
「御意!」
信長たちは、天下一の謀叛人、明智光秀を深追いすることよりも、戦いで被害に遭った宇宙薩摩の人々を救助することを選んだ。
「大丈夫ですか? ケガをしている人はいませんか?」
「そっちを持ち上げろ! みんな、手を貸してくれ!」
「炊き出しは、お城の前で配っていますよ!」
織田軍は、宇宙薩摩の人々の生活を守ろうと、救命作業を行った。人々の悲惨な光景を見ていると、信長は胸が痛む。
「信長さま!」
「どうした? サル?」
「お城の中で新しい幻獣隕石を見つけました!」
「でかしたぞ! サル!」
「お褒めの言葉、ありがとうございます!」
「サルの宇宙鎧侍には、毛利元就が使用していたシルフの幻獣隕石を実装したから、その青い幻獣隕石は、勝家か一益の宇宙鎧侍に取り付けよう。」
「御意! ということは次は、北陸か関東攻めですね?」
「そうだな。天下統一するためには、避けては通れないからな。」
こうして、信長は九州も平定することになった。ついに西日本を平定したのだ。あと残す敵は、越後の上杉謙信。甲斐の武田残党軍。関東の北条氏康。東北の伊達政宗の4強だけである。そして、明智光秀。この戦いは、光秀を倒さないことには、終わることは無いだろう。
「光秀! 必ず俺の手で倒して見せる!」
信長は、明智光秀に対して、許せないという思いがこみ上げてくる。そして、打倒! 光秀! の気持ちを再確認するのであった。
つづく。
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