第8話 本能寺の変

ほぼ日本全国を天下統一した、信長。配下の精鋭の武将たちは、地方で残党狩りの真っ最中。本拠地の安土城の側には、明智光秀の兵士しかいなかった。


ここは宇宙近江。信長の安土城。


「光秀、サルが中国の毛利に手間取っているらしい。援軍に行くぞ!」

「御意!」


信長の側には、重臣と思われた明智光秀が当然のようにいた。


「光秀。おまえを近畿から中国に移すことにする。」

「ええ!? なぜですか!? 納得いきません!?」

「私の言うことに歯向かうのか!」

「いいえ・・・、御意。」


史実はいろいろな話があるが、とりあえず光秀の近畿没収論を採用した。このような酷い命令に従えるわけもなかった。光秀は、悔しかっただろう。



一人になった光秀。


「くそう! 中国などに左遷されてたまる者か! こうなったら、信長を殺してやる! 幸い強者は全て地方遠征中。畿内には、私しかいないのだ! 日本全国を、一気に私色に染めてやる!」


ここに光秀は、信長の殺害を考えたのだった。



しかし、光秀の誤算は、ここから始まる。やはり信長を殺そうと考えること自体が間違いであった。


まず、信長、自身。


信長は恐怖のカリスマで、朝廷からも天下人と認められている肩書と社会性。歯向かったものは、確実に滅ぼすという残虐性。尾張の小国から始まった歴史ヒストリーに、兵士も民も感動を実感している。


信長は、敵対する者を焼き討ちだろうが、暗殺だろうが全て消滅させるのだから、文句を言う人間はいなくて、当然である。



次に、信長専用の宇宙鎧侍。


信長は、宇宙美濃を攻略するぐらいまでは自分で戦っていたが、それ以降は当主として、内政中心であった。それ故に、戦場に宇宙戦用の人型ロボット、宇宙鎧侍に乗って戦場に出ることは少なくなった。


ただし、信長専用宇宙鎧侍は、常に最新バージョンである。


光秀は、信長のパイロットの腕が落ちていると考えたのかもしれない。しかし、慎重な光秀は、本能寺には、信長兵200に対し、光秀軍1万2000兵士数で攻め込んでいる。それでも苦戦し、信長の遺体、首は取れなかった。信長に逃げられたという説もある。


ここがミソであり、オチであり、信長が生きていて、いち早く駆け付けたサルの後見人になり、反対する家臣を抑え、豊臣の歴史を気づいた。なんていうのは腐るほどあると思うから、信長ゾンビとか、信長、異世界転生の方がおもしろい。いいネタだ。誰かパクれ。



おまけに、宇宙お城戦艦、安土城。


宇宙戦国時代、最強のお城戦艦。吹き抜けの天守閣は、対空砲というよりは、波動砲といったところか? まさに空飛ぶ要塞である。他のお城にはない、唯一無二の破壊兵器である。この頃に、核兵器、核爆弾は、まだ無かったとしておこう。


要するに、信長、信長専用宇宙鎧侍、安土城。この組み合わせは、最強最悪なのである。


「なんとか、信長がから、宇宙鎧侍と安土城を引き離さなければ!?」


明智光秀なら、そう考えたはずだ!


「そうだ! 本能寺に行ってみよう!」


光秀は、信長暗殺のために本能寺に下見に行くはずだ。そして、ここでなら信長を殺すことが出来ると考えたはずだ。本能寺は、何にもなく、お堂で信長が1泊するぐらいのものだった。


「ここなら信長を殺すことが出来る!」


光秀は決心した。戦国魔王を倒して、自分が天下人になるのだと。



ここで問題だが、史実通りに信長は本能寺で死ぬのか? 死んで異世界転生でファンタジー世界で「これはなんだ?」戦国時代とファンタジー世界のギャップを、お約束として書き続けるのか? 


「えい!」

「うおおお!? それはなんだ!? 手から火縄銃が出た!?」

「はあ? 魔法ですけど? なにか?」

「魔法!? この国では鉄砲のことを魔法というのか!?」


とか、


「うおおお!? 女子が破廉恥な姿で町中を堂々と歩いてる!?」

「はあ? 普通ですけど? なにか?」

「着物は着ないのか!?」

「着物? なんですそれ?」


的な。


信長、異世界ファンタジーでは生きていけないな。それとも鉄砲の腕はいいとしてガンナーか? スナイパーか? 頭が賢いので、軍師でいいか?


ていうか、異世界ファンタジー世界が、死んで転生することが前提なのか? 逆に信長が本能寺の変で、殺されずに明智光秀を返り討ちにし、何事もなく無事に生きていたら、戦国時代はどうなった? 宇宙戦国時代はどうなる?


ダメだ!? 一般人なので、哲学書になってきた!?


「天国でも地獄でも、俺が全て統一してやる!」


なんかカッコイイ決めゼリフ~♪ 30分アニメでも使えそうだ。


ただ残念なのは、書きながら思いつくので、書き始めから、信長が表舞台で生き残ることを前提で書いていないのが惜しまれる。「信長SF」としては、ブッコンで書いた部分から、ここからがおもしろくなる! ということである。



そして、いきなり本能寺の変が始まる。


「いいか! 本能寺にいるのは、信長さまを語った偽物だ!」


明智光秀は、小賢しかったのか、人望はなかったらしい。そのため、信長を討って謀叛を企てたのに、兵士には、信長ではない偽物と言って、本能寺に攻め込ませたらしい。そりゃ、信長を討ったとしても「騙された!?」と思った兵士は、光秀に付いてくるはずがなかった。


「敵は本能寺にあり! 全軍、突撃!」

「おお!」


明智軍1万2000が、本能寺にいる信長軍200に対して攻め込んだ。数の違いからも、光秀が信長を恐れていた、若しくは確実に信長を殺す意志が感じられる。


「騒がしい!? 何事だ!?」


信長が寝ていると、外が騒がしい。目が覚めた信長は家臣に尋ねる。


「謀叛です!」

「誰の謀叛だ!?」

「明智光秀です!」

「そうか。」


落ち着いていた。信長は落ち着いていた。まるで明智光秀が謀叛を起こすのを知っていたのか? というくらい、信長は落ち着いていた。


「あの者たちが言っていたのは本当だったのだな。」


あの者たちとは、「帰渋」の図書部長、谷子、栞、ドキ子のことである。ちょうど裏で同時進行で「谷子と信長SF、桶狭間の戦い編」を書いている。オリジナル創作で好き勝手に書いていると、想像が大きくなりシンクビックな空想世界が広がっていく。


「自由が楽しい~♪」


史実に呑み込まれた全話は、書くのも大変で、書いている作者も、正直、おもしろくなかった。「帰渋」を書くことによって、


「書くって、素晴らしい~♪」


という気持ちを蘇らせることに成功した。このスタイルなら、何時でも書けますからね。(⋈◍>◡<◍)。✧♡



「あれを出す時が来た。」


信長は、何かを隠しているようだ。


「出てこい! おまえは完全に包囲されている! 諦めて素直に出てこい!」


光秀のスピーカーによる降伏勧告が始まった。信長は寝所から光秀の前に現れる。本能寺は明智軍の宇宙鎧侍に囲まれていた。


「出たな! 魔王め!」

「(ΦωΦ)フフフ…」

「なぜ笑う? 死を悟って、気でも狂ったか?」

「光秀! おまえが本能寺で謀を行うことは知っていた! 知っていたのだよ! ワッハッハー!」

「なんだと!?」


そう、信長が光秀が本能寺で反旗を翻すことを知っていた。密告したのは、あいつらだ! そのため信長は準備は万端だった。


「おい、そろそろ出てきてくれないか?」


信長がつぶやくと、ドカーン! っと、お堂と地面が割れ、地下から光が溢れてくる。赤金の宇宙鎧侍が現れる。赤は織田家のカラー。金は派手好きの空け者の信長らしいカラー。


「赤金色の宇宙鎧侍!?」


光秀は驚いた!? まさか! 地下に宇宙鎧侍が隠してあったとは!? これが宇宙戦国時代、最強の宇宙鎧侍。織田信長専用宇宙鎧侍、本能寺の変バージョンである。


「敵は、たったの1機だ! 総攻撃開始!」

「おお!」


光秀軍の宇宙鎧侍が信長の宇宙鎧侍に襲い掛かる。信長は、宇宙鎧侍に乗り込む。


「邪魔する者は、俺が全て斬り捨てる!」


信長の宇宙鎧侍が鞘から刀を抜く。なんと二刀流だ! 日本の刀で飛び込んできた、光秀軍の宇宙鎧侍を2機同時に切り捨てる。ドカーン! 2機は爆発した。


「なに!?」


光秀は恐怖した。信長は、たった1機の宇宙鎧侍。それに対し、こっちは1万2000・・・負けるはずがない! 負けるはずがない! と心の中で葛藤していた。


「こんなもんじゃないぞ!」


信長は2本の刀の柄頭と柄頭を合わせた。日本刀が1本の長い槍のようになった。薙刀と言うべきだろうか。信長がブンブン振り回す薙刀は、炎のように燃え上がっていた。


「いくぞ! 光秀!」

「者ども! かかれ! かかれ!」

「おお!」

「どりゃあ!」


信長に対して、光秀軍の2、30機が一斉にかかってくる。信長は、薙刀を振り回し一瞬で敵を倒していく。


「な、なんという性能!? 信長は、こんな宇宙鎧侍を隠し持っていたというのか!? 信じられん!?」


光秀も後退りするほどの、信長の宇宙鎧侍の性能だった。信長は、南蛮人から手に入れた星形の懐中時計を手に持ち、夜空のお星さまに願い事をする。


「お星さま、お星さま、夜空のお星さまよ。信長が命じる、俺に仇名す謀叛人共にお星さまの天罰を与えたまえ!」


信長は、夜空のお星さまに願い事をした。夜空の星々がグラグラ揺れ出した。そして、地上目掛けて落下してくる。


「俺は信長だ! 俺が祈れば、星をも思いのままに操ることが出来るのだ!」


信長・・・完全に星魔王になっちゃった。ちなみに太陽や月の神はいるが、星、宇宙の神はいないらしい。


ドカン! ドカン! ドカン!


夜空を星が大気圏の摩擦で赤く燃えている。そして、そのまま地上の明智軍に降り注ぐ。星が地上に降り注ぐ衝撃は、震度7の地震が起こった時以上の衝撃である。


「ギャア!?」


明智軍は、どうすることもできずに、降ってくる星々に戸惑い逃げ惑う。四方八方に兵士は逃げ出し、もう明智軍は壊滅状態だ。


「クソッ!? 信長め!」

「光秀、甘かったな!」


ここに信長と光秀の最終決戦が始まろうとしていた。


明智光秀の宇宙鎧侍は、カラーは、黒緑色。肩には家紋の桔梗紋。性能は、高性能であろうが、せいぜい刀から黒光するオーラが出せるくらい。


「どちらが甘いか教えてやる!」

「勝負だ! 光秀!」


信長と光秀の宇宙鎧侍が突撃して、刀と刀を合わせ、カキン! カキン! と刀で打ち合う。


「光秀、なぜ俺を裏切った?」

「おまえは強くなり過ぎた。家臣はお前の存在に恐怖しているのだ!」

「恐怖だと!?」

「そうだ! 恐怖だ! いつ、おまえから国を取り上げられたり、家族全員皆殺しにされるかと恐怖している!」

「俺は、そんなことはしていないぞ!?」

「している、していないは関係ない!」

「なに!?」

「信長! おまえが、それをできる権力を持っていることが悪いのだ! 私だけじゃない! 家臣はみんな、おまえの一言一言に怯えているんだ! 信長! 権力を持っている、おまえには分かるまい!」

「そんなもの、ただのこじつけだ! みんな、天下統一のために頑張っているじゃないあか!?」

「誰が、おまえのための天下統一などに頑張りたいものか!?」

「だとしても、謀叛を起こしたことの正当事由にはならないぞ!」

「おまえを倒し、日本に平和を取り戻す!」

「ふざけるな!」


信長と光秀は、決裂した。権力を持つ者と権力に怯える者。両者が分かり合えることはないのだろう。立場が違えば、意見も違う。それが人間だからである。


「これで! 終わりだ!」


信長は、薙刀を振り上げ、光秀に振り下ろそうとする。


「フッ、甘いって言っただろ!」


光秀は、不敵に笑いながら、操縦席のボタンを押す。ガキン! っと、光秀の宇宙鎧侍の顔の部分がひっくり返る。謀叛人らしく、鎧も兜も全て裏返り、光秀の宇宙鎧侍は、裏切り者の本性をさらけ出す。


「なに!?」

「これが私の宇宙鎧侍の真の姿だ!」

「うわあ!?」


真の姿を現した光秀の宇宙鎧侍は、信長の宇宙鎧侍を吹き飛ばす。全身から、黒緑のオーラを醸し出す。普通の宇宙鎧侍とは、一味も二味も違う神秘的な感じである。


「信長、本能寺の変は失敗したが、これからも俺は、おまえを追い詰めていく。首を洗って待っていろ!。」

「なにを!?」


信長が死ぬのでもなく、光秀が死ぬのでもなく、両者を生き残してみた。これから、どうなっていくかは誰にも分からない。


「さらばだ!」


そう言うと、光秀の宇宙鎧侍は、闇に消えて行った。


「光秀、恐るべし。」


信長は、これからの天下統一に明智光秀が邪魔をしてくるだろうと、激しい戦いになるだろうと覚悟した。


こうして信長は、本能寺の変で殺されることなく、生き延びることが出来た。天下統一に邁進する。しかし、謀叛を起こした明智光秀の影が、信長の行く手を阻む。



ここは信長の安土城。


「俺が信長だ!」


信長は生きている。本能寺の変があった。家臣の明智光秀が謀叛を起こした。しかし、信長は地下に隠してあった、赤金色の宇宙鎧侍に乗って、夜空に輝く星々を落とし、明智軍を蹴散らしたのだ。


「殿、裏切り者の明智光秀の行方は分かりません。」

「そうか。」


信長は、明智光秀の行方を捜していた。周到に準備していたのだろう。失敗した時はどこに逃げるのかも考えていたのか? それとも何か特別な力を手に入れて、禍々しく黒緑色に光る宇宙鎧侍を手に入れたというのだろうか?


「殿、四国の長宗我部攻めをしている、丹羽長秀さまと蜂屋頼隆さまから、援軍要請です!」

「なに!? 丹羽と蜂屋が苦戦しているだと!? わかった、すぐに俺、自らが援軍に行くと伝えて、四国軍の士気を高めろ!」

「はは!」


信長軍は、天下統一に向けて、全国で戦を繰り広げている。その一つが四国の長宗我部家である。信長も丹羽と蜂屋を送り攻め込んでいるのだが、なかなか四国を平定することは出来なかった。


「宇宙お城戦艦、安土城、発進!」


信長の命令で、地面に埋まっている安土城がロケットエンジンに火を点火させ、宇宙近江から発信して、宇宙空間に飛んでいく。これから宇宙四国を目指して飛んでいくのだ。



ここは宇宙土佐。長宗我部元親の岡豊城。


「よかった。あなたが来てくれなければ、もう少しで信長に負ける所でしたよ。ありがとうございます。明智殿。」

「こちらこそ。今度こそ、信長を倒しましょう。」


なんと!? 本能寺で信長の暗殺に失敗した明智光秀は、宇宙土佐の長宗我部元親の所にいたのである。皮肉にも、それを知らない信長が、光秀の元に向かっているのである。


「信長の前に、目の前の丹羽と蜂屋を血祭に上げるとしますか?」

「その役目は長宗我部元親にお任せください。明智殿の提供して下さった、隕石の力を借りた新技術があれば、信長の家臣で威張っている雑魚など一瞬で倒して見せますぞ!」

「それは心強いお言葉で。私は、毛利や島津、武田、上杉、北条、伊達などにも、この新技術を伝道しに行かねばなりませんので、四国は長宗我部元親さまにお任せします。」

「分かりました。心得た。」


光秀は、ニヤっと笑いながら去って行った。隕石を使った新技術とは、いったい何なのだろうか? 光秀は、新技術を引っ提げて、打倒、信長を果たそうとしている。長宗我部元親は、光秀のゲームの駒にしか過ぎないのかもしれない。



ここは宇宙土佐。織田軍の本陣。


「なに!? 信長さまが来る!?」

「わしら殺されるぞ!?」

「ギャア!?」


丹羽長秀と蜂屋頼隆は、信長の出陣に恐怖した。四国を平定できていない自分たちは、信長の怒りを買い、殺されると思ったからである。ちなみに信長には、味方を処刑しようという気持ちはない。


「戦闘準備だ! 第1種戦闘配備だ!」

「信長さまが来るまでに、岡豊城を陥落させるぞ!」


織田軍の陣中は、パニックのように慌ただしく、兵士たちが動き回っている。武将も兵士も、信長が来ると聞いて、粛清の対象に自分たちがなるのではないかと怯えているのである。


ボボボボボ!


その時だった。戦闘準備をしている織田軍の陣中に炎が巻き上がる。あっという間に織田軍の陣は火の海に包まれる。


「ギャア!?」

「なんだ!? いったい何が起きた!?」


不意打ちを受けた丹羽も蜂屋も、自分の宇宙鎧侍に乗ることもできずに、火の渦に呑み込まれていく。そして2人は上空を見た。


「あれは長宗我部元親の宇宙鎧侍!?」

「なんだ!? あの赤黒いオーラは!?」


丹羽と蜂屋は目を疑った。今までの長宗我部の宇宙鎧侍と、明らかに何かが違う。全身からオーラが出るなど、今までの戦いではなかった。


「光秀殿から提供してもらった隕石はスゴイ! これなら一瞬で織田軍を焼き殺せるぞ! ワッハッハー!」


長宗我部元親は笑いが止まらなかった。光秀から新技術として、何か隕石をもらったようだ。そう宇宙鎧侍の動力源は隕石パワーであった。隕石を変えれば、宇宙鎧侍の性能も各段に上がると考えられる。


「報告します! 長宗我部と思われる宇宙鎧侍が炎を吐いて、我が軍の陣は完全に壊滅状態です。」

「なに!? 宇宙鎧侍が炎を吐いているだと!?」

「信じられん!?」

「クソ! このままやられてなるものか、いくぞ! 蜂屋!」

「おお! 殿が来るまで、命を変えてでも時間を稼ぐぞ!」


科学なら火炎放射器と言ったところか? 丹羽と蜂屋は、自分専用の宇宙鎧侍に乗り込む。宇宙鎧侍の性能的には、レベル1が旧式。レベル2が普通。レベル3が新型。レベル3くらいまでが量産タイプ。信長軍は、豊富な資金力で量産機は全て、レベル3である。武将クラスがレベル4と考えると、丹羽や蜂屋クラスの重臣の宇宙鎧侍のレベルは、レベル5クラスだと考えた方がいいだろう。


「出てきたか。丹羽と蜂屋め。今までは、宇宙鎧侍の性能で遅れを取っていたが、今はこちらの方がレベルが上なんだよ!」

「なんだと!?」

「吠えろ! サラマンダー!」

「ギャオ!」


長宗我部元親の宇宙鎧侍から炎がトカゲのような姿で出てくる。周囲に火の粉をまき散らしながらである。長宗我部元親の宇宙鎧侍のレベルは6以上と考えた方がいいだろう。


「なんだ!? 火の化け物!?」

「あれが火事の原因か!?」


丹羽長秀と蜂屋頼隆は、まるで生きている炎を見ているようで、たじろぐしかなかったのだ。


「これは明智光秀からもらった隕石のパワーだ!」

「明智光秀だと!?」

「信長さまの暗殺に失敗した光秀は、土佐にいたのか!?」

「その通りだ。私にかくまってもらうお礼に、サラマンダーが化石として眠っている火の隕石をくれたのだ。」


なんと長宗我部元親の宇宙鎧侍が赤黒いオーラを放っているのは、明智光秀からもらった隕石の力によるものだった。


「丹羽! 蜂屋! おまえたちは、ここで燃え尽きるのだ! いけ! サラマンダー!」


長宗我部元親の宇宙鎧侍から、火のトカゲの姿をした炎が、丹羽と蜂屋の宇宙鎧侍を目掛けて、突進してくる。その姿は、まるで火の竜のようだった。


「うわあ!?」

「熱い!?」


丹羽と蜂屋の宇宙鎧侍がサラマンダーの炎に包まれる。灼熱の炎が宇宙鎧侍の装甲を溶かしていく。


「ハハハハハ! 長宗我部の勝利だ!」


丹羽と蜂屋が燃えていくのを見て、高笑いが止まらない長宗我部元親。


ズドン!


その時、空から星が降ってきた。その衝撃で丹羽と蜂屋の宇宙鎧侍は吹きとばされる。風圧で炎が消えて、命拾いした。


「なんだ!? 星が降ってきただと!?」


驚く長宗我部元親。ふと地面に大きな影があることに気づく。上空を見上げると、大きな宇宙お城戦艦が飛んでいた。天守閣には、1機の宇宙鎧侍がいた。


「待たせたな。」


信長である。宇宙お城戦艦、安土城に乗って、長宗我部元親の土佐にやって来たのだ。信長の赤金色をした宇宙鎧侍が、きれいに星の光のように輝いている。


「殿だ! 安土城だ!」

「信長さまだ! 信長さまが助けに来てくれたんだ!」


丹羽と蜂屋は、信長が助けに来てくれたと、安堵する。


「信長か!?」

「長宗我部元親、おまえの相手は、俺がする!」


信長と長宗我部元親は睨み合い、そして信長から、宇宙お城戦艦から飛び降り、その勢いのままに長宗我部元親に突撃する。


「邪魔する者は、俺が全て斬り捨てる!」

「こい! 信長!」


カキン! と両者の刀と刀が激しい衝撃音を放ちながらぶつかる。その衝撃は風圧となり周りに激しい風を送る。


「やるな! 信長!」

「元親! おまえこそな!」


ほぼ力勝負は互角と言ってもいいかもしれない。宇宙鎧侍のレベルは、織田の重臣の丹羽と蜂屋の宇宙鎧侍がレベル5とした場合、明智光秀からもらった、サラマンダー隕石パワーのおかげで、長宗我部元親の宇宙鎧侍のレベルは6といったところか?


「信長! 貴様にもサラマンダーの炎で燃やし尽くしてやる!」

「なに!?」

「吠えろ! サラマンダー! 炎で全てを燃やすのだ!」

「ギャオ!」


長宗我部元親の宇宙鎧侍から炎のトカゲこと、サラマンダーが放たれる。信長の宇宙鎧侍は、あっという間に炎に呑み込まれた。


「殿!?」

「信長さま!?」


丹羽と蜂屋は、炎に包まれた信長を心配そうな顔で見つめる。


「口ほどにもない! 信長! 討ち取ったり! ワッハハハ!」


長宗我部元親は、信長が燃えている炎を見て、勝利の余韻に浸っていた。


「誰を討ち取っただと?」


どこからか、声が聞こえてくる。信長の声だ。


「この声は!? 信長だと!? サラマンダーの炎の中で生きているというのか!?」


驚いた。長宗我部元親は、驚き戸惑った。まさか!? サラマンダーの炎の中で宇宙鎧侍が溶けずに、信長が生きているなんて!? 信じられなかった。


「俺は何度でも蘇ってくるぞ! これぐらいの火など怖くもない!」

「なんだと!?」

「俺の宇宙鎧侍のエネルギーは、フェニックスの隕石だ!」

「フェニックス!?」


信長の宇宙鎧侍の動力源の隕石は、フェニックス隕石パワーだった。信長の宇宙鎧侍が赤金色なのは、赤は織田家の家紋の色でもあるが、破壊と再生を司る火の鳥、フェニックスの赤色と、南蛮人からもらったキラキラ光っている星々の懐中時計の金色を合わせた、赤金色なのである。


「飛べ! 空高く羽ばたけ! 火の鳥よ!」


信長が炎の中で放った1撃は、サラマンダーの炎を打ち破り、天に赤い炎の翼を広げて飛び立つ。


「なに!?」


驚く長宗我部元親。


「やった!」

「信長さまだ!」


歓喜する丹羽と蜂屋。


「邪魔する者は、俺が全て斬り捨てる!」


信長の感情が高まる。グイン! それに呼応するかのように、信長の宇宙鎧侍に搭載されている、空け者システムが起動する。全身から赤と金のオーラが渦を巻くように、温かい光のオーラを放っている。


「なんだ!? 信長の宇宙鎧侍は!? こんな宇宙鎧侍は見たことが無い!?」


長宗我部元親は、初めて見る信長の宇宙鎧侍の神秘の輝きに、見とれてしまい目を奪われる。


「勝負を着けてやる! くらえ! 長宗我部!」

「負けるものか! 負けてなるものか!」


信長と長宗我部元親の最後の戦いが始める。


「フェニックス・スター・信長斬る!」

「サラマンダー斬り!」


信長の放った赤金色の炎のフェニックスが、長宗我部元親の放った赤黒い火トカゲを食い破る。


「ぎゃあ!?」


長宗我部元親の宇宙鎧侍は、信長の放った斬撃のフェニックスに斬られる。バーン! と大爆発を起こす。コロコロ、燃え盛る宇宙鎧侍の残骸から、サラマンダー隕石が転がっている。


「長宗我部元親、敵ながら恐ろしい相手であった。」


信長の気持ちも治まり、宇宙鎧侍は通常の状態に戻り、オーラも消えていった。信長は、戦いを振り返り長宗我部元親は、なかなか強い相手だったと、改めて感じていた。


「殿! ご無事でございますか?」

「信長さま! 勝利をおめでとうございます!」

「丹羽、蜂屋、おまえたちも無事だったのか!」


ハッハハハハ! と信長たちは勝利を喜んだ。それにしても丹羽と蜂屋が驚いたのは、長宗我部元親の宇宙鎧侍が放ったサラマンダーもそうだが、信長が放った不死鳥フェニックスにもビックリであった。


「それにしても、殿も人が悪い。危うく死ぬところでした!」

「そうですよ! 新種の隕石だとか、宇宙鎧侍のエネルギーだとか、新しい開発技術を手に入れたのなら、教えてくださいよ!」

「すまん、すまん。」


丹羽と蜂屋が言うのも当然である。信長が間に合わなかったら丹羽と蜂屋は、サラマンダーの炎で焼き尽くされて、死んでしまっていたのだから。


「これも全て、光秀を油断させるためだ。」


本当は、本能寺の変で明智光秀が謀叛を働いた時に討ち取る予定だったのだが、まさか光秀も信長と同じく、強力な宇宙鎧侍を持っていたとは分からなかった。油断してしまい光秀を逃がしてしまったのだ。


「長宗我部元親は、サラマンダー隕石を光秀からもらったと言っていました。」

「恐らく、これからの敵は、強力な幻獣隕石を搭載してくるでしょう。」

「そうだな。光秀を討ち取るまでは、この戦いは終わることは無いだろう。」


信長は、光秀との戦いが、長くなることを覚悟し、決意を新たにするのだった。


「殿、何はともあれ、これで四国を平定ですよ!」

「信長さまの天下統一も、着々と進んでいますね!」

「そうだな。これからも共に頑張ろう! 俺の手で日本全国を統一するんだ!」

「勝どきをあげましょう!」

「エイエイオー! エイエイオー!」


信長、四国を平定する。


つづく。

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