第7話 信長、飛躍する!
時代は戦国時代なのだが、技術力は現代よりも高く、宇宙にも行けるほどだった。
世界の核戦争に巻き込まれ、地球は放射能に包まれてしまった。
各国は、領土を地球から切り離し、ロケットエンジンで打ち上げた。
人類は、宇宙に出たのだ。
宇宙歴史0年。
人類は、宇宙に出ても戦いを続けた。
新型兵器、宇宙鎧侍を開発して、全宇宙の覇権を争うようになってしまった。
人は、滅びなければ、戦うことを止めないのだろうか?
ここは宇宙美濃。
「かかれ!」
信長は、宇宙美濃の斎藤義龍を攻めていた。
「そう簡単に落とせると思うなよ!」
斎藤義龍は、織田軍の攻撃を何度も何度も防いでいた。
「殿、これ以上は攻めることは、こちらにも甚大な被害が出てしまいます!?」
「義龍め! 呪い殺してやる! ククッ、撤退する!」
信長は、駿府の今川義元を破ることはできたが、宇宙美濃の山の入り組んだ地形に苦戦を強いられていた。
ここは宇宙三河。
「困った。困った。困った。」
徳川家康は、困り果てていた。
「信濃に攻め込めば、武田信玄に睨まれてしまうし、遠江に攻め込めば、今川に攻撃されるし、せっかく信長と同盟を結んだのに動くことが出来ない!?」
これが強国に隣接した、家康の悩みであった。独立したての家康は、まだまだ弱小大名でしかない。
「殿、それでも土地を耕し田畑を整理し、技術開発は最先端技術を研究して、次なる時がくるまで、やることはたくさんあります。」
「そうだな。あれだけ人質になって、耐えてきたんだ。これぐらい耐え抜いて見せる!」
徳川家康は、天下を取るまで、待てる人間であった。鳴かぬなら、鳴くまで待ったらしい。
ここは宇宙尾張。
「殿! 一大事でござる!」
家臣が汗をかきながら走ってきた。
「どうした? そんなに慌てて?」
信長は、不思議そうに家臣を見つめる。
「宇宙美濃の斎藤義龍が亡くなりました!」
「なに!?」
「死因は、病気だそうです!」
「よし! 宇宙美濃を再び攻めるぞ!」
信長は、再び宇宙美濃を攻撃する。
斎藤家。
斎藤道三が油を売りながら、大名にまで成り上がった、下剋上のサクセスストーリーである。斎藤道三だけでなく、息子の斎藤義龍も優秀だった。宇宙鎧侍のパイロットとしても優秀で、信長の攻撃を何度も防いでいたのだが、人間は病気には勝てなかった。
ここは宇宙美濃。斎藤義龍の死んだ後の斎藤家。
「兄上!? なぜ死んだのですか!?」
斎藤義龍の息子、斎藤義興が父の死を前にして、泣きじゃくっている。ちなみに、この時、斎藤義興は、まだ14才であった。
「殿、泣いている場合ではございませんぞ。」
「斎藤飛騨守!?」
斎藤飛騨守は、斎藤道三や斎藤義龍に冷遇されてきた。しかし、まだ14才の義興は、人を見た目で判断できなかった。
「龍興さま、この私がお支えします。」
「おお! 飛騨守は、なんていい人なんだ! 頼りにしています!」
お子様の龍興は、悪魔の手を握ってしまった。こうして宇宙美濃は、宇宙尾張の織田信長との戦闘を抱えながら、内乱の火種を抱えてしまったのだった。
「龍興さまが家督を継がれたぞ!」
「はは!」
家臣たちは、斎藤龍興の家督を継ぐことを祝ったが、飛騨守が龍興の周りをうろつき、他の家臣を遠ざけてしまった。
「龍興さま、私の言うことだけを聞いていればいいんです。」
「はい、わかりました。」
14才の龍興は、純粋だったのか、怖かったのかは分からないが、飛騨守の言いなりに動く操り人形のようであった。
「おもしろくない!」
龍興のリーダーシップの無さに、斎藤家を去る者も多かった。家臣の信頼を得ることが出来なかった。優秀な人材の流出は、お家の危機である。戦争相手であるが、今川義元を倒した、破竹の勢いの織田家に仕える者もいたらしい。
ここは宇宙尾張。信長の清州城。
「新しい宇宙お城戦艦を、宇宙美濃に作るぞ!」
「おお!」
信長の本格的な宇宙美濃攻めが始まった。
「丹羽! 小牧山に城を作れ!」
「かしこまりました!」
こうして、宇宙美濃にお城まで建設した信長の威光は、宇宙美濃に脅威を与える。また、お城ができるとなると、そろそろ斎藤家は陥落するのではないかと、兵士や民の間では噂が広まってきた。
ここは宇宙美濃。斎藤龍興の稲葉城。
「このままではいけない!」
「我々でなんとかしよう!」
斎藤家の家臣の竹中重治と西美濃三人衆の安藤守就が謀叛を企てた。
「死ね! 飛騨守!」
「ギャア!? 私の天下が!?」
安藤が飛騨守を殺した。これで斎藤家を我が物顔で威張っていた悪魔を倒すことが出来た。
「稲葉山城は、竹中、安藤が乗っ取ったぞ!」
「龍興さまに、斎藤家を再興して頂くのだ!」
安藤と竹中の狙いは、飛騨守を倒すことだった。
「竹中と安藤が謀叛!? 怖い! 逃げろ!」
斎藤龍興は、自分も殺されると思い、城を捨てて逃げ出した。
「殿! 龍興さま! お待ちください!」
「僕も殺す気か!? 追いかけて来るな!」
後に斎藤龍興は、安藤、竹中との誤解が解け、稲葉山城に戻った。しかし、世間では、幼い斎藤龍興では、もう斎藤家は終わったなと冷たい声が多かった。
ここは宇宙美濃。信長の小牧山城。
「ついにできたぞ! 小牧山城!」
信長の新しいお城ができた。これで美濃攻めの時に、尾張から遠征をしなくて良くなった。美濃勢にとっては、本格的な織田の美濃攻略の意志を感じ圧迫される。
「殿! 東美濃が降伏してきました!」
「おお! お城効果はスゴイな!」
さっそく、小牧山城に近い、東美濃の斎藤軍が投降してきた。幼い大名、身内同士の内乱、信長の勢い。どれをとっても、信長に分があった。
ここは宇宙近江。浅井長政の小谷城。
「長政さま、お市さま、結婚おめでとうございます。」
浅井の家臣たちが、2人の結婚を祝福した。
「ありがとう。」
「ありがとうございます。」
乱戦の戦国時代には似合わないぐらいの幸せな結婚であった。
「兄上から、政略結婚で浅井に嫁いでくれと言われて来ましたが、長政さまが素敵なお方で良かったです。」
「こちらこそ、織田家の娘と聞いて、同盟のためだけの人質と結婚しないといけないと思っていたのに、まさか信長どのの妹が、こんなに美人だったとは。」
長政は、お市を相手に照れながら話す。
「まあ!? 私のことを化け物か、怪物か何かと思っていたんですか?」
「いや!? そうとは言ってない・・・すまぬ。」
長政は、好青年で自分の過ちは、素直に謝ることができる男だった。
「戦争とは別に、私たちは私たちで幸せな家庭を築いていきましょう。」
「そうだな、お市。」
浅井長政とお市の結婚は、戦国時代では、当たり前の政略結婚だった。しかし、結婚して幸せに暮らすのも、嫌だと思いながら暮らすのも、本人次第である。前向きに物事に取り組むことが出来る人間は、どんな環境でも、幸せである。
こうして信長は、美濃の斎藤龍興に更なるプレッシャーをかけることに成功した。それだけではなく、順調にいけば信長は京へ上洛するための道も確保できたのであった。
ここは宇宙美濃。信長の小牧山城。
「殿! 中美濃の斎藤軍が降伏してきました!」
「おお! そうか! これで稲葉山城を攻めるだけだな!」
信長は、近江の浅井と同盟を結ぶことができ、東に徳川家康、西に浅井長政と同盟を結び、美濃の斎藤龍興に集中して戦うことが出来た。
「殿! 西美濃3人衆の安藤元就、稲葉一鉄、氏家直元、も寝返ってくれます!」
「おお! これで美濃も手に入れたようなものだ!」
絶好調の信長は、勢いを増しつつ、勢力を広げていく。駿府の今川義元を桶狭間で討ち取ったのが、信長の自信になり、兵や民からカリスマと思われるような、神格化された存在となった。
「サル! サルはおるか!」
「はい! 殿、サルでございます。」
サルとは、木下藤吉郎である。
「サル! これから稲葉山城を攻める。」
「いよいよ、宇宙美濃の平定ですね。」
「そこで、サルよ。城を墨俣に作れ!」
「はい、作ります・・・ええ!?」
信長の無茶ぶりに、サルのノリツッコミである。
「1日で作れ!」
「3日は下さい。」
「サル、生きたまま尾張湾に沈めようか?」
「1日で墨俣城を作らせてもらいます!」
こうして、サルは稲葉山城を攻略のために、稲葉山城の目の前の墨俣に、お城を築くことになったのだ。
「殿は、無茶苦茶だな。困った、どうしよう?」
サルは、サル顔をしたかどうかは分からないが悩んだ。
「そうだ! 組み立て方式で、作ったものを現地で組み立てよう!」
サルは、戦国時代に現代建築の方法を取り入れていたらしい。サルは、一気にお城を組み立てるように兵士に指示を出した。
「できた! これが1夜城だ!」
サルは、1晩で稲葉山城を攻めるためのお城、墨俣城を作ってしまったのである。
「よくやった! サル!」
「お褒め頂きありがとうございます。」
サルは、信長からお褒めの言葉を頂き、感無量だった。
「これで稲葉山城を落としたも同然だ! ハハハハハ!」
信長の宇宙美濃の最終決戦が始まろうとしていた。
ここは宇宙美濃。斎藤龍興の稲葉山城。
「突撃!」
信長の本格的な、稲葉城攻めが始まった。
「防げ!」
斎藤龍興は、必死に抵抗しようとは試みた。
「報告します! 安藤、氏家、稲葉が織田に寝返りました!」
「何!?」
白熱の決戦とはならなかった。信長は、奇襲も大好きだが、事前の調略が優秀だった。自分の家臣として相手側の勢力を取り込むことにより、自軍の被害を最小限に抑えることが出来るのだ。戦う前から勝敗は着いていた。
「斎藤龍興は、丸裸だ! 手柄を立てよ!」
「おお!」
信長軍は、一方的な勝ち戦に士気が上がる。勝つと分かれば人間、怖いものはないのだ。この戦いで、1夜城を建設したサルは、一躍、家臣の中でも目立つ存在になってきた。
「稲葉山城を落としたぞ!」
「織田軍の勝利だ!」
「勝どきを挙げよ!」
「エイエイオー! エイエイオー!」
信長は、宇宙美濃の稲葉山城を陥落させた。宇宙尾張・宇宙美濃の2国を領土とする大名となった。
「宇宙美濃を征服した記念に、宇宙岐阜と改名する!」
こうして、岐阜が誕生した。この時、信長は33才だった。
宇宙美濃のサル。
「困った。どうしようかな?」
サルこと、木下藤吉郎は、信長から無理難題を押し付けられていた。
「サル! 竹中重治を家臣にしたい! 連れてこい!」
「無理です!? 斎藤側の武将ですよ!?」
「サル! お墓の準備はできているか?」
「竹中を連れてきます!」
これが信長の無理難題である。竹中重治とは、竹中半兵衛のことである。信長が駿府の今川義元を倒してから、7年も時間を費やしてしまった。桶狭間の戦いから、すぐに斎藤義龍も亡くなり、早期に宇宙美濃を攻略できるかと思われた。しかし、それが叶わなかったのも、竹中半兵衛の活躍があったからである。しっかりと信長はチェックしていたのである。
「信長には、従わない!」
竹中半兵衛は、敗軍の将として、信長には従う気にはならなかった。
「困った!? このままでは、殿にサルの煮込み汁にされてしまう!?」
困ったサルは、毎日毎日、竹中半兵衛に会いに出向いた。
「しつこいな。そこまで言うなら条件をだそう。」
「なんだ?」
「信長には仕えないが、サル、おまえに仕えてやろう。」
「本当か!? それでもいい! ありがたい! これで殿に殺されなくて済む!」
これが日本版、三顧の礼らしい。サルは、竹中半兵衛を家臣にすることができた。これが後々の豊臣秀吉に繫がっている。優秀な人材は、1国を手に入れるよりも価値があるのだ。
宇宙京の情勢。
京・畿内で三好家が栄華を誇っていた。室町幕府13代目将軍、足利義輝を殺害。14代目将軍として、義輝の従弟を飾り、自分たちの思い通りに操る人形にしていた。
三好家は、足利義輝の弟、足利義昭も暗殺しようとした。幕臣の一色と和田に助けられ、近江の和田のお城に難を逃れた。
そして周辺国に助けを求めても、三好家を倒してくれないので、宇宙岐阜の織田信長を足利義昭の使者として、明智光秀がやって来る。
「信長どの、どうか足利義昭さまを助けてください。」
「いいです! 上洛しましょう!」
「おお! ありがとうございます!」
この頃、信長は「天下布武」という朱印を使い始めたらしい。宇宙尾張の田舎者が、将軍にまで頼りにされるようになっていた。信長は、天下統一を意識していたと思われる。
また信長は、明智光秀と出会っている。この後に事件が起こるなど、まだ誰も知らない。
「これより上洛するぞ!」
「おお!」
信長は、足利義昭に頼られ、大義名分を得た。ついに信長が天下取りに動き出す。
ここは宇宙近江。六角義治の観音寺城。
「殿、一大事です! 宇宙尾張の織田信長が攻めてきました!」
「宇宙尾張の信長だと!? そんな田舎者など、蹴散らしてくれる!」
「殿、将軍家、足利義昭さまもご一緒です!」
「なに!? 信長に手を出したら、我々は反逆者になってしまうのか!?」
これが将軍と共に上洛するということである。信長の敵国は、信長に手出しすることが出来ないのだ。
信長の快進撃が始まった。
観音寺で、六角を倒し、山城で三好を倒し、連戦連勝。三好家から軍師の松永久秀や三好義継などが、信長に降伏した。
その後も摂津、高槻、但馬、播磨、伊勢に侵攻している。将軍、足利義昭に対して、殿中御掟なるものを認めさせる。
ここは宇宙山城。足利義昭の二条城。
「最近、信長の私に対する態度が偉そうではないか!」
将軍、足利義昭は怒っていた。信長は、上洛を共にし、自分を将軍として擁立してくれた恩人ではある。しかし、現状は兄、足利義輝が三好家から受けた待遇と何ら変わらないのだ。
「周辺諸国に書状を送れ! 信長を討つべし!」
「はは!」
こうして足利義昭は、越前の朝倉家、近江の浅井家、摂津の三好家、伊勢の石山本願寺に信長を討つように命令した。
ここは宇宙美濃。信長の岐阜城。
「殿! 一大事です!」
「どうした?」
「周辺諸国が、一致団結して、一斉に攻めてきました!」
「なんだと!?」
さすがの信長も驚いた。戦国の乱世に、周辺諸国が連携して、1度に攻めてくるなどあり得ないからだ。
「きっと誰かが、裏で糸を引いているに違いない!?」
信長は、直感で悟っただろう。まさか、それが自分に恩を感じなければいけない足利義昭だとは思っていなかっただろう。
「無念だ!」
さすがの信長も、周辺諸国の一斉攻撃には参った。邪険に扱ってきた、将軍、足利義昭に和睦のお力添えをしてもらうことになった。
ここは宇宙山城。足利義昭の二条城。
「おお! 信長が私の力に屈したか! 愉快だ!」
足利義昭は、調子に乗っている信長が、自分に頭を下げたことに機嫌を良くし、周辺諸国との和議が成立した。
ここは宇宙美濃。信長の岐阜城。
「こうなったら、1つ1つ片づけてやる。」
信長は、まず手始めに浅井家・朝倉家を支援した、比叡山延暦寺を焼き討ちにした。当時の宗教寺というのは、純粋に神の教えを広げるものではなく、武装集団といった方が正しいだろう。
「燃やせ! 燃やせ!」
お城であれば、確認もでき容易であるが、宗教集団や一揆というのは、神出鬼没でどこから現れるかが分からない。それならば信長は、本拠地である比叡山を山焼きにするというのだ。
ここは宇宙山城。足利義昭の二条城。
「なに!? 信長が息を吹き返した!?」
足利義昭は、驚いた。自分に助けを求めにきた信長が、延暦寺に山焼きを行ったというのだ。これにより周辺諸国の大名を陰から助けていた勢力を一掃した。
「信長は、神をも恐れぬというのか!?」
宗教は、神。一揆は、民。兵士たちは、攻撃するのを躊躇する。しかし、その躊躇を打ち破るだけの恐怖が信長にはあった。兵士は、神よりも、信長を畏れ従った。
「こうなったら、宇宙甲斐の武田信玄に上洛してもらい、信長を討たすのだ!」
将軍、足利義昭の奥の手は、甲斐の虎といわれる武田信玄を信長にぶつけることだった。将軍家の御威光とは、恐ろしいものであった。
ここは宇宙甲斐。武田信玄の躑躅ガ崎城。
「京の将軍さまが、信長を討てと言っている。」
「殿、岐阜は信長がいて、守備が硬いので遠江から三河周りで尾張を攻略し、上洛されてはいかがでしょうか?」
「さすが勘助! それで行こう!」
ついに甲斐の眠れる虎、武田信玄が動き出した。軍師は、山本勘助。こうして武田信玄の上洛作戦が始まった。
ここは宇宙三河。徳川家康の岡崎城。
「なに!? 武田信玄が攻めてきただと!?」
「はい! 遠江を攻略して、こちらに向かってきます!」
「どうします? 殿?」
この頃、徳川家康は、信長の援軍ばかりしていて、今川、武田と隣接しているために領土を増やすことが出来なかった。
「信長に援軍を頼もう。」
こうして徳川家康の方から、織田信長に援軍を要請した。
ここは宇宙美濃。織田信長の岐阜城。
「なに!? 武田信玄が動いたと!? 家康に伝えよ! すぐに援軍を送ると!」
意外と信長は律儀だった。
ここは宇宙三河。三方ヶ原。
「いくぞ! 家康!」
「共に戦おう! 信長!」
ここに織田と徳川の連合軍。
「織田? 徳川? 勘助、敵の姿が見えないぞ。」
「殿、この戦も勝ちでございます。」
武田側が三方ヶ原で向かい合った。
パ、ホホホ!
ホラ貝が吹かれ、戦いの合図が送られる。
「突撃!」
「おお!」
両軍が入り乱れた戦いとなった。
「どりゃ!」
「そりゃ!」
「こりゃ!」
武田軍の宇宙鎧侍は、下半身が馬だった。例えると、ケンタウロス状態である。織田・徳川に比べ、走力が2倍も3倍もあり、明らかに武田が有利に戦いを進めていた。
「これはダメだ!? 逃げるぞ!」
「籠城するぞ! 野戦は、武田の騎馬隊には勝てん!?」
織田と徳川は、これから武田信玄に追われると思うと、ゾッとした。
ここは宇宙山城。足利義昭の二条城。
「ハハハハハ! 織田が負けたか! 愉快! 愉快じゃ!」
足利義昭は、満面の微笑みを浮かべる。
「武田が上洛するなら、信長に用はない! 挙兵して、信長を討つぞ!」
足利義昭は、武田信玄を頼りにして、織田家と戦うことにした。
ここは宇宙三河。徳川家康の岡崎城。
「おかしいな? 武田が攻めてこない?」
一向に武田軍は攻めてこなかった。
「殿! 武田信玄が病気で亡くなりました!」
「なに!? 本当か!?」
甲斐の武田信玄は病気にかかり、急死してしまった。そのため武田軍は甲斐に退却してしまったのだ。
「助かった・・・。」
それでも徳川家康は生きた心地はしなかった。
ここは宇宙美濃。信長の岐阜城。
「そうか! 信玄が死んだか!」
信長も信玄が死んだことを知った。
「これより京に行き、反旗を翻した足利義昭を討つ!」
「おお!」
ついに信長は、目障りな将軍を討つことを決心した。
ここは宇宙山城。足利義昭の二条城。
「なぜだ!? 武田は来ない!?」
将軍、足利義昭は挙兵までしてしまったことを後悔した。軍事力で信長に勝てる訳もなく、武田信玄が死んだことも知らず、家臣は、ほとんどが信長側に寝返ってしまった。
「京から、追放・・・。」
信長の怒りに触れた、足利義昭は京から追い出されることになった。ここに室町幕府は終焉を迎えた。これで信長の邪魔をできる人間がいなくなった。
信長は、戦争ばかりであった。しかし、領土は一度に増えるものではなく、信長であっても、1つ1つしか領土は増えない。
まず畿内の三好家を攻撃。次に越前の朝倉家。そして妹のお市が嫁いでいる近江の浅井家を滅ぼした。それから伊勢長島の一向衆を焼き払い、一掃した。河内の三好義継を滅ぼす。大和の松永久秀は降伏した。
もう畿内には、信長に反旗を翻すなどと夢物語を考える者はいなかった。
ここは宇宙三河。徳川家康の岡崎城。
「なに!? 武田が攻めてきた!? 信長にすぐに援軍要請だ!」
家康は、信長に援軍を要請する。
ここは宇宙三河の長篠。
「家康。やっと、武田に勝つ時が来たな。」
「信長。私は三方ヶ原での屈辱は、忘れてないぞ!」
信長と家康は、再び武田軍と戦うことになる。今回は準備も万端だ。
「突撃!」
武田軍の宇宙鎧侍の大群が攻め込んでくる。勇猛果敢に信長・家康の陣に突撃してくる。
「放て!」
信長の命令で、火縄銃が一斉に火を噴く。
バキューン! バキューン! バキューン!
普通は、これで次弾装填のために、チャージタイムがあるのだが、信長の鉄砲隊の砲撃は止むことが無かった。
バキューン! バキューン! バキューン!
信長は、鉄砲を約1000丁も準備していた。だから鉄砲を連射しているように、休むことなく撃ち続けることができるのだ。
バキューン! バキューン! バキューン!
武田の無敵を誇った騎馬隊も、鉄砲の連射の前では敵ではなかった。信長と家康の作戦勝ちだった。武田軍は、多くの犠牲を出し撤退するしかなかった。
「勝ったぞ! 武田に勝ったぞ!」
「これで遠江に攻め込めるぞ!」
信長は、強国の武田にも勝ったということを世間に知らしめた。家康は、強国に囲まれて、領土を増やすことが出来なかったが、今川の時と同じである。強国ほど負ければ、崩壊するのも早いのである。
ここは宇宙三河。徳川家康の元を誰かが訪れる。
「そなたは!?」
家康は驚いた。昔、今川の人質だったころに、共に尾張を攻めた井伊家の娘が現れた。
「井伊の当主、井伊直虎と申します。家康さま、ご無沙汰しております。」
名前は、なお。尾張を攻めた時に、父と婚約者を殺されている。なおも大怪我を負い生死の境を彷徨った。
「元気そうで何よりだ。」
「家康さまもお元気そうで。」
なおは、家康の脅威のテクノロジーで、半分アンドロイドとして、生き続けることが出来た。
「家康さま。お願いがあって、やって参りました。」
「なにかな?」
直虎の横には、15才くらいの男の子がいる。
「この者は、亡き直親の息子で、幼名は虎松。家康さまの家臣の松下どのの養子となっております。どうか家康さまに仕えさしてください。」
「わかった。虎松、一生懸命に働けよ。」
「ありがとうございます。がんばります。」
こうして、直虎は虎松を家康に仕えさすことができた。
「これで井伊の家は安泰ですね・・・。」
安心した直虎は、そのまま永眠したという。
人の一生というのは、一瞬である。今、楽しかったり、苦しかったりするのは意味がなく。人の性格というのは、そう簡単には変わらない。
死ぬ時に、自分の人生を笑って死ねるのか、自分の人生を悔いるのか、それは死ぬ時にしか分からない。人生とは、残酷なものである。
ここは宇宙近江。信長の安土城。
「新しい城を作るぞ。」
信長は、上機嫌だった。朝廷より権大納言に任命され、右近衛大将を兼任した。これは征夷大将軍と同格であり、事実上の天下人に認められたということだった。
「ナウで、ヤングな城を築くぞ!」
安土城は、5層7重の豪華なお城であった。店主内部は吹き抜けだったらしい。信長は、お城を民に見せ見学料をもらうという観光地システムをいち早くに導入する。
この頃、信長は日本全国に兵士を派遣する権力と財力を兼ね備えていた。北陸は柴田勝家が、上杉謙信と加賀や越中で対峙した。対武田には、滝川一益があたった。近畿地方は、明智光秀が、四国は、丹羽長秀が、中国地方には、サルこと羽柴秀吉が担当することになった。
ここまで信長の勢力が大きくなってしまうと、戦国時代といっても、面白みは無かった。数で押し切ることが出来る信長軍。武田家を滅亡に追い込むと、東北の蘆名家や伊達家は、あっさりと信長に従うと降伏。毛利や、その他残党兵も相手にはならない。天下統一は、時間の問題であった。
あとは本能寺の変を残すのみである。
つづく。
ここまで信長史を書いてきて思う。書いてきたから思うのかもしれない。
「信長? 桶狭間の戦いと本能寺の変だけでしょう?」
気軽に書き始めた。歴史にSFをミックスしようと書き始めた。結局、織田信長というビックネームが一般大衆の人気、検索用、アクセス数用ということで採用。
初期は、手探りながらも、SFを軽く織り交ぜながら書けていた。しかし、信長の史実を読んでいくうえで、信長の人生のスケールの大きさを知った。
「これ10万字で終わるのか!?」
ほぼ戦いだらけの信長の戦い。1つ1つの戦いを真面目に書いていては、絶対に終わらない。ということが分かった。ということで逆に、割愛で処理をしまくった。
あと基本、細かいことが気になる性格なので、調べまくっていると、文字数が全く進まない。これをスランプというのだろうか? 1日1万字位は、普通に入力していたのに信長SFは、本当に1日1000字でも、この7話は辛い。
次回、本能寺の変。
これで史実を終わらせる。今回、学んだことは、先の分からない話を書くときは、先が見えないので地獄であるということである。2度と歴史ものには手を出さないだろう。大変なので。
それでも、あと3話3万字が残ってしまうので、そこは自由に書こう。終わらないというプレッシャーから解放されて、気楽に書こう。自分で世界を描ける小説の本質は、そっちでしょう~♪
つづく。
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