人魚の姿に魅入られた姉。その狂った目にうつるものを周囲に、主人公に垣間見させて、ついに……。重く狂おしい夢を思わせる怪異譚。
懐かしい世界観と優しい語り口で、物悲しさを引き出しています。 いたずらに恐怖心を煽るのではなく、人の情の部分にうったえる手法はこの著者の作品における最大の特長だと思います。 限りなく現実に近い設定のなかで、違和感どころかその垣根すらもどこにあるのか解らない。 本当に衝撃でした。 もっと沢山の方に知ってほしいですし、もっともっと評価されてもいいのではと思える作品です。
どこかミステリアスであり、どこか神秘的……そんな雰囲気を感じさせながらも、人魚の世界を独特の言葉で伝えている作品です。最後に味わい深い謎が残ることも、逆に読者に問いかけるようなメッセージが伝わってきますよ。 人魚の話はもちろんのこと、幻想的・神秘的・ミステリアスといった雰囲気が好きな方に、私はこの作品を読んでほしいです!
今より少し遡った、童話の「人魚姫」がまだ浸透していない時代。陳腐化した「すてきなおひめさま」の人魚ではなく、「異国の未知なる幻想」たる人魚の美しさ、恐ろしさがとっくりと味わえる一品。
それは本当にあった話なのか……。 昔語りの口調と少し古い感じの時代設定が、奇妙な話に更に独特な雰囲気を与えています。 余韻の残るラストもいい。
この手の話ではお決まりの導入、子供のころの不思議な話を語りだす、というテンプレをうまく使い、読者を奇妙な世界へ導いている。人魚というモチーフもよく、短い話でありながらも、味わい深い余韻が残るのは、作品全体のトーンが常に統一されていたからかな。上質で緻密。とてもよい作品だと思います。
戦前のような、かなり古い時代に設定されているのが雰囲気があって良かったです。果たして姉は人魚になったのか。その部分が定かでない点も余韻が残って良いと思います。素敵なお話でした。
少し前の時代の設定が、物語と合っていると思います。
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