この手の話ではお決まりの導入、子供のころの不思議な話を語りだす、というテンプレをうまく使い、読者を奇妙な世界へ導いている。人魚というモチーフもよく、短い話でありながらも、味わい深い余韻が残るのは、作品全体のトーンが常に統一されていたからかな。上質で緻密。とてもよい作品だと思います。
人魚の姿に魅入られた姉。その狂った目にうつるものを周囲に、主人公に垣間見させて、ついに……。重く狂おしい夢を思わせる怪異譚。
どこかミステリアスであり、どこか神秘的……そんな雰囲気を感じさせながらも、人魚の世界を独特の言葉で伝えている作品です。最後に味わい深い謎が残ることも、逆に読者に問いかけるようなメッセージが伝わって…続きを読む
今より少し遡った、童話の「人魚姫」がまだ浸透していない時代。陳腐化した「すてきなおひめさま」の人魚ではなく、「異国の未知なる幻想」たる人魚の美しさ、恐ろしさがとっくりと味わえる一品。
それは本当にあった話なのか……。 昔語りの口調と少し古い感じの時代設定が、奇妙な話に更に独特な雰囲気を与えています。 余韻の残るラストもいい。
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