みんな大好きなスーパーのお惣菜コーナーで繰り広げられる、イケメンつきほっこり一年人間ドラマ。
遅番制度や値引きなど、廃棄品を最小限にしつつ利益を確保するため、売り手側に与えられるプレッシャーの重いこと…!
正社員と変わらない判断力を求められるなか、主人公のパートタイマー瞳さんのさばさばな性格と責任感がとても頼もしかったです。
ちょっと行きすぎているような毒舌も、殺伐とした環境に身をおいているせいなのか…。イケメンこと稲葉さんの暗黒面では笑わせていただきました。
タイトルの意味がじんわり味わえる最後まで、ぜひともご賞味ください。
よっしゃあああ!!! 全話読了しました!
季節と共に移ろう二人の関係性。変わるものと変わらないもの。
非日常と日常の境界線なんてものは存在せず、どちらもごちゃ混ぜになっている感覚がとても新鮮でした。
それはひとえに、スーパーの惣菜コーナーという、普段自分たちが「外からは」良く見知った場所での出来事であることが良かったのかと思います。
そこがどんば場所でも、そこにいる人達には特別な場所で、そこには日々ドラマが生まれている。決して特殊な仕事ではないことが、より人間同士の関係性の変化を浮き上がらせる要素になっていたと思います。
スーパーの惣菜コーナー。買う側からすれば、作る手間ひまもいらずに手軽に揚げ物、サラダ、お寿司が(時間次第では値引きされて)安く手に入る、まさに庶民の味方。
でもその裏側、バックヤードの業務形態、人間関係は――――
なんとなく、でもはっきりと決められてしまう上下関係。
圧の強い人間に対して、気が弱い相手は内面では面白くなくても、場の趨勢に従ってしまう。
この作品のヒロインも、そんなごく普通のアラサーの女性店員。
できる限り波風を立てず、職務を全うして日々を送っていました。
そんな中、新しく入ってきた男性パート店員は――――
舞台がスーパーの中ということもあり、派手派手しいイベントではなく、時節に沿った総菜を作っては店内に並べ、閉店時間間際に値引きシールを貼って、完売、あるいはロスが出ないようにする。
そんな中で、ゆっくりと、でも確実に変化していく関係を追っていくのがよいです。
最終話、タイトルに対して一つの回答が示されます。
昔から一家団欒の象徴のような食べ物のコロッケ。日常のほっこりを味わいたい方、どうぞ。
個人的には、たっぷりのマヨネーズと和辛子で、ビールと……(-_-).。o○0〇
惣菜売り場で巻き起こる恋愛譚。アラサーヒロイン瞳さんとイケメン稲葉君の組み合わせや如何に。
「くうう……気付け! 気付けよ!」と思うほどのじれったい展開から砂糖爆弾が破裂します。この辺りの構成は作者様の非常に得意とするところ。
でも、決して甘いだけではなく。
そこには、アラサーになって色々諦めてしまっている女性の等身大が描かれています。
鈍感だから気付かないわけじゃない。自分のステータス・身の丈を知っているから、変に期待しない。
そんな彼女が、もう一度自分に正直になろうとする姿に、エールを送らざるを得ませんでした。
最後のシーンも秀逸です。なぜこんな不思議なタイトルなのか、どうぞ最後までお楽しみ下さい。
ありふれた感じの総菜屋を舞台にした恋愛劇。舞台設定も配役もよくありそうに見えるけれど、ふとした一言、ふとしたやりとりがリアルで面白かったです。
読む前は、このタイトルでチャレンジするなんて勇気あるなあ、と思っていました。なにしろポテトコロッケはよくある食べ物なので、その小道具に変化をつけるのは難しいんじゃないかと思っていたからです。ですが、この作品ではその舞台に加えて四季の移り変わりという組み合わせがあって、そこがすごくよく書けていました。こういう人たちはこういう四季を感じているんだなあ、と。季節が進むたびに少しずつイケメン君の正体が明らかになっていくのがいいです。あとフラグを叩き折る手が徐々に鈍っていく主人公もかわいい。
面白かっただけじゃなく、どこにでもある舞台を選んでいても、どこにもない物語は書けるんだぞ、という作者のメッセージを感じました。かわいくてかっこいい話だなーと思います。
冴えないアラサー女子の瞳の働くスーパーに、ある日イケメン花月が入ってきて......スーパーのお惣菜コーナーで繰り広げられる人間ドラマ。
そこには様々なお客様や同僚がいて、四季折々の売り場の風景なんかも面白い。派手な展開はないものの、日常劇で魅せることのできる作品。
細かく章分けされていてそれぞれで完結しているので非常に読みやすいです。毎日少しづつ読み進めてもいいかも。
お互いの過去を知ったりなんかして、段々と仲良くなっていく、二人の会話がとてもいいです。彼がいると、なんとなく楽しい、嬉しい、そんな些細な日常の幸せを、ひしひしと感じます。
そしてコロッケじいさん......読めばわかります。このタイトルのわけも。かなりジーンときてしまいました。肉が入ってなくてもいいじゃないか!それを必要とする人もいるんだよ!
スーパーのお惣菜部門で働くアラサー女子・黒崎瞳と、そこへ突然パートとして入ってきたイケメン男子・稲葉花月を中心とした、日常系コメディ物語。
口うるさいワガママなお局さん、無茶な注文を言ってくる客、そして頭を悩ます値引きのタイミング……そんなお惣菜店員のあるある話に、イケメン同僚が絡んで恋愛話を盛り込んでいるあたり、ただ仕事で苦労するだけの話で終わらせていません。
主人公の黒崎さんは自分に自信が持てない性格ですが、それゆえに稲葉君との絶妙な距離感が読んでいて楽しかったです。
とは言え、基本はお仕事モノ。今作を読み終えた後、きっと誰もが「お惣菜コーナーの店員さんに優しくしよう」と思うことでしょう。
少なくとも値引きシールが貼られなくて「なんでこれは安くならないんだよ!?」と文句をつけたり、「お寿司の卵ネタを鮪に変えろ!」とか無茶を言う人はいないはず。
こういう作品がどんどん増えて、お客も店員さんに優しく接するのが当たり前の時代が来たらいいなと、店頭で働くこともある身としては願わずにはいられません。