蝶は舞う――あるいは、とある幽霊に纏わる物語

祖父の葬儀で幼馴染から聞かされた話は、祖父に纏わる秘密だった。
かつて戦時下の中国で婚約までしていたという祖父。
更に、この家には幽霊がいるという。

紫陽花に彩られたしっとりした幽霊譚です。

当時の中国の様子や用語等が読者を追いていかない程度にちりばめられていて、
情景や当時の様子などを浮かび上がらせ、
小説としてのストーリーに現実感を与えてくれます。

しかし、前半部の辺りが少々冗長で、人によっては苦痛に感じてしまうかも。

そこさえ乗り越えれば話が一気に展開し面白くなるので、
途中で読み終えるのはもったいない一作です。