えびは流暢に語る。

るび

「少し心が痛みます」えび氏インタビュー

 ――まずは自己紹介をお願いします。



 どうも、えびです。一皿二貫で百円です。最近、えびアボカドの存在に危機感を持ち始めています。



 ――えびアボカドにですか?



 はい。考えてみて下さい。あいつは私にアボカドをプラスした存在なわけですが、アボカドを取ってしまえば私と同じただのえびです。私の方が大きいならいいのですが、そんなことないじゃないですか。



 ――まあ、そうですね。



 すなわち、アボカドがある分、あいつの方がお得なんですよ。値段は同じ百円ですから。アボカドとえびを一緒に食べてもいいし、先にアボカドだけ食べてしまって、あとからただのえびとして楽しむ事も出来るんですよ。私の存在意義はどこにあるんだって感じです(笑)。



 ――確かに。でも、アボカドが苦手だって人もいますよね。



 それは分かってます。えびは好きだけどアボカドは嫌いって人にとって、私はなくてはならない存在でしょう。例えるなら、私はシンガーソングライターで、えびアボカドはアイドルグループってところですね。わかります?



 ――いえ、全く。



 ポテッ(横倒れになる音)。……ともかく、私は私で需要があると思うのですが、少し心が痛みますね。



 ――というと?



 えびは好きだけどアボカドが苦手な人にとっては、やっぱり損した気分になるじゃないですか。そこの所どうにかならないかな、と。



 ――えび氏もトッピングが欲しいということですか?



 いやいや、そしたら「えび」じゃなくなるじゃないですか(笑)。だから例えば、えびのサイズを大きくするとか、いっそのこともう一貫乗っけちゃうとか。



 ――それは客にとっては嬉しいですね。



 そうなったらいいと思いますけど、無理でしょうね(笑)。……おっと、もう廃棄の時間が来たようです。



 ――それでは最後に、一言お願いしてもよろしいでしょうか。



 えびアボカドになりたいです。



 ――本日はありがとうございました。

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