樹治の御宇(みよ)の乱、未だ已まず。治めるのは誰(た)ぞ……

この星のような、それでいてちがうような世界。
そしてこの国のような、それでいてちがうような国。

その――樹治という時代において、かつて世は乱れた。
その乱世の「発端」となった、順門という府において、国盗りの争いが勃発する。

――盗られた側の公子・鐘山環の、さすらいそして戦いという一大冒険譚が始まります。
陰謀、策謀、身内に潜む裏切者、隣国の癖のある実力者たち……そして、やがて順門を取り戻す戦いへと向かって。

一見すると貴種流離譚のような観がありますが、これでもかというぐらい「濃い」面子がそろっていて、大河ドラマであり、かつ、人間ドラマが繰り広げられています。
まず、主人公・環の周辺の人たちからして、よく環から離れないなと思うくらい、曲者ぞろいです。
個人的には、「桃李府」という国の羽黒圭輔というキャラが推しです。
よくぞここまでアクのあるキャラクタを作れたものだと感心しきりです。

主人公・鐘山環と共に、この乱世を旅し、彼の夢を見て、聞いてみてはいかがでしょうか。