世界はこんなにも、優しい

姫であった自分を死んだことにされ、男として王へとおしあげられたシャムシャ。
白い髪、白い肌、その容姿から自分を人ではない化け物だと思ってきた少年・セフィー。

国の頂点にいる少女と、その底辺にいる少年。
まったく違う境遇でありがなら、どちらも孤独だった。
本来ならば出会うこともなかった二人が出会って、頑なだった女王の心はほどけていく。生まれの違いゆえのすれ違い、本来王となるはずだった兄との確執、さまざまな困難を超えて迎えた結末には、本当に「ありがとう」と「おめでとう」で溢れていた。

――世界は二人に優しかったか?

それまでの世界は、決して二人にとって優しいものではなかったと思う。厳しく、つらく、静かに長くとどまる嵐のなかにひとり放り込まれていたようなもので。
けれどその嵐のなか、誰かが手を差し伸べたり、隣に誰かがいるのだと気づいたり、自分がひとりではないと気づいたときに世界は少しずつ変わっていく。

――世界はこれからの二人に優しいか?

きっと二人が、みんなが、笑いあえる日々が続くのなら。
世界はきっと優しく微笑み返すだろう。

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