随分前に一気に読み終えていたのに報告が遅れましたが、とても面白かったです……!
主人公であるあおいちゃんはもちろん、どの登場人物たちも立っていて、誰一人埋もれてしまうことはなく。それぞれの人たちの思い、考え、そういったものが生き生きと伝わってきました。
アヤカシたちも個性的で、それぞれに愛おしい点があり、時折切なさも感じるなどして……。
描写が巧みで、自分も皆と一緒に蒸気都市を歩き回っているかのような気分になりました。わくわくしながら、次はどうなるのだろう? と読み進めているうちに、あっという間に終わっていました……。素晴らしい、その一言に尽きると思います!
個人的にはシュテンちゃんと犬村さんの関係性がとっても好きです!!
このお話だけでも大満足でしたが、続編があるとのことでしたら、とても楽しみです。
最後になりますが、とても有意義な時間をくれる作品をありがとうございました!
身長が高くものぐさでも面倒見のよい記者、裏島正雄。
彼の事務所に入り浸る、よく言えば快活、悪く言えば計算高い押しかけ助手の女学生薮内あおい。作中の語り部として主だって彼女の視点で話は進みます。
二人のところに飛び込んでくる依頼はアヤカシ絡み。
来歴の旧い猫又や雷獣など、和モノになじみがない方も見覚えがあるはず。
舞台は電機ではなく蒸気機関が発達した大正二十五年の帝都。
レトロフューチャーの代名詞ともいえるスチームパンクとアヤカシの混交によって懐かしくも新しい独自世界を構築しています。
裏島と憲兵犬村。それに手伝いの酒口一助。妖しい美少女シュテンとの掛け合いも楽しいレトロモダンなミステリ作品。
本編を読み終えた方、一話二分ほどで読めるSS集もどうぞ。
時は蒸気文明の発展した大正。アヤカシ達が人間社会でひっそりと暮らしている。
文明の発展と共に人々はアヤカシの存在をゆっくりと現実から切り離して行く。
そんな中で、アヤカシ達との関係を密にする者達も存在する。
アヤカシ記者と名乗る新聞記者、彼の助手の書生、女学生。さらに憲兵の青年。
彼らの周りで起こるアヤカシがらみの騒動は、時にはほのぼのと、時には深刻に、物語に引き込んでくれます。ミステリーにカテゴライズされてもいいほどに、謎がちりばめられた事件に心踊らされます。
しっかりと練られた世界観と、作者の愛をたっぷりと注がれた登場人物(アヤカシ)達が、読みやすい文章でつづられていて、ついつい時を忘れて読みふけりました。
ぜひ、彼らの物語を読んでいただきたい。
存在を忘れられると消えてしまうアヤカシ達が、消えてしまわないように。