おまけ おっちゃんぶつぶつ

サビも、猫は猫や

 本屋でやな、なんやいっぱい並んどるがな、雑誌やら写真集やらなんやらかんやら。猫のな。ちょっと気になったんや。ちょっと。せやから、一冊ちらっと見てみてん。ほんで、もう一冊見て、隣に置かれとるのも見て、後ろに隠れとるのも見て、あるだけ見てん。


 いっぱい載っとった。血統書付きのやつだけやなくて、その辺におりそうな日本猫も。三毛猫、白猫、黒猫、キジ、トラ、ぶち……




 おい。


 どないなっとんねん。


 何でや。


 何で、サビが一匹も出て来えへんねん!




 いや。

 そらな、わしかて知っとるで。わしが子どもん時、近所の家で子猫生まれても、黒と茶のまだらのやつは誰も貰いよらへんかった。けったいな柄やとか汚いとか、雑巾猫とか言うて。


 せやけどや。


 そら昔の話ちゃうんか。なんや今、犬飼うてるやつより猫飼うてる方が多なってんねやろ。そんなけ猫好きなやつが多いっちゅうことやろ。

 ほんならや。

 サビを気に入っとるやつかて、おるやんけ。


 写真、載せえよ。


 けったくそ悪いのう。


 大体な、雑巾て。今時分、黒と茶の雑巾なんかどこで見んねん。ええとこグレーやろが!




 あ。

 アカン。えらい時間食うてもうた。


 早よ帰ったらなな。

 腹、減らしとる。




「よっしゃ」




 ほな、帰ろか。


 二つ三つ、フイルム買うて。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

わしとふみ 鷹山雲路 @kumoji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ