帝都を舞台に繰り広げられる、格調高い諜報員の活躍がここに。

 戦前の日本。軍拡が叫ばれ、平和な喧騒が静まり返ってくる暗い時代。
 子供の頃読んだ、推理小説を彷彿とさせる重い時代背景。
 主人公は、同僚の一歩あとを進むことを甘んじて良しとしている諜報員。
 容姿、学業、運動神経、全てを兼ね備えながら女性が苦手。諜報員としては一流未満でも人間的には愛すべき存在。
 そんな彼に与えられる任務は、なぜか女性絡みが多いのも確か。
 彼と同じかそれ以上に、魅力的かつ個性的(奇矯?)な同僚たち。

 作者さんは、ある大学のミステリー研究会出身ということもあり、犯人当て、ハウダニット、カーアクションなど、ミステリ要素も多彩かつ完成度も高いこの一作。
 捜査の中にあって、恋愛要素も少なくありません。

 新しい形、上質な香りのミステリをどうぞ。

 (……くんくん、なにやら多彩なカップリングを想定した、BLの香りもするよ……(-_-).。o○0〇

 

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