魔王といえば、強大な魔力で人々を苦しめ、世界を混乱させる存在。
その意味では、この作品に登場する魔王は比類なき恐ろしさを誇ります。
しかし、その魔力の使いどころが一味も二味も百味も違う!
何とこの魔王、通貨の価値を操作して経済から世界を混乱に導くのです!!
魔王を倒すため旅をする主人公の勇者・シーギスルンド率いるパーティも、この状況に翻弄され…………るのですが、愉快な仲間達のおかげでその道中は経済混乱で苦しむというより、ツッコミすぎて苦しいといった状態。
読んでいる私の方は、笑いすぎて腹筋が苦しかったです……。
このような恐ろしい方法で世界を乱す非道なる魔王を、シーギス達は倒すことができるのか!?
ラストには、笑いだけでなく心温まる『大切なもの』を得ることができますよ!
新感覚のエコノミックファンタジースラップスティック――長すぎるので略して『経済異世界喜劇』をどうぞご堪能あれ。
経済に興味がなくても、普段何気なく使っているお金の大切さを知ることができるだけでなく、笑いの効果によって腹筋強化も期待できますよ♡
ある程度、経済学の知識がある人は思うでしょう。
「これって、ファンタジーの意味ある?」
いやいや、現実から離れたファンタジーだからこそ、純粋に「お金」のことを捉え直すことができるんです。
ファンタジーという設定の、こんな活かし方があったとは。
皆が当たり前のように使っているお金のこと。
たとえばバブル崩壊なんて、今の人からみたら「なんてバカなんだ」って思います。
でも、当時のほとんどの人が熱狂しました。その理由が少しわかった気がします。
売って、買って、売って、もっと高いものを買って。怖いですね……。
小学生や中学生に読ませたい作品です。
……あっ、訂正です。
主人公がちょっとエロいので、小学生には読ませられない、かな。
ファンタジーにも色々ありますが、この作品に似たものはどこを探しても見つからないのではないでしょうか。
そんな唯一無二の楽しい経済ファンタジーです。
RPGなどでは、よくモンスターがゴールドを落とします。
そのモンスターの落とすゴールドが増えたら、減ったら……というようなお話。
さらに、ゴールドの増減がただのゲーム的な変化ではなく、勇者パーティや宿屋、武器屋などにも経済的な変化を及ぼします。
これがまた本格的にリアルなのです。
まるで経済の参考書です。
中高生に読んでほしい。
堅苦しくもなく、むしろコント的な流れで楽しく読めます。
パーティメンバーは、ものすごくバランスがとれているように感じました(お笑い的な面で)
ドラフシェさんの毒、大好きです。
負けるなシーくん!
あとカジノのシーンの某アイテムマスターには笑いました。
王道ファンタジーがインフレしているこのご時世、たまにはこういう肩の力を抜いて読める楽しいファンタジーもいいじゃないか!
そう声を大にして言いたい。
経済学関連の初歩を有名な某RPG風味にして噛み砕いたものになります。通信技術の発達していない中世ファンタジーであっても、遠距離の相手と連絡可能なマジックアイテムが存在するため、それほどのタイムラグが発生せずに貨幣価値が変動します。
はい、シノギの匂いがしてきましたね。
主人公たちは比較的魔王たちを倒すことを忘れていませんが、他のパーティーは貨幣価値の差額を利用して金を稼ぐことに心血を注ぐようになります。我々の暮らす社会そっくりです。というか我々の国がやった失敗をなぞっていくことになります。具体的にどんな失敗をするのかは物語をごらんあれ。
そういう生臭さがぷんぷん漂う世界観をコメディタッチで描くことで消臭することに成功しています。いや成功したのか? むしろ強化されたようなしないような?
えーと、とにかく、人間たちの良くも悪くも懸命に生きるがゆえに失敗することをコメディとして描いた物語なので、興味のあるかたはご一読ください。
モンスターを倒すとゴールドがもらえる。弱いのは少額、強かったりレアなのは高額で、金額はモンスターごとに一定。
ゴールドは王国が鋳造して配布するものではなく、モンスターを倒して得られるもの。
RPG,ファンタジーではそこは揺るがない不文律、世界のシステムです。
でももしそのルールが崩されて、その元凶が魔王だとしたら?
本作品はそんな経済の変動を、ファンタジー世界で分かりやすく教えてくれます。
市場に流通する貨幣が激減したら? 逆に有り余るほど流通したら。
本作の主人公たち、勇者一行は変わりゆく経済状況に一喜一憂しながら、身をもってお金の大事さを学んでいきます。
モンスターを倒してお金を稼いで、新しい装備品を買う。
なにげなく通過することでも、お金の価値が変わるだけで金策に奔走したり、逆に財テクに走ってみたり。
ストーリーの進行は、男子二人女子二人の四人パーティー。
特にラブコメ展開があるわけではないけど、まれに挟まれるフラグにおおっとなる場面も。
それから、天然かつ腹黒い女魔法使いアンナリーナ。
ルールがあるようで、アバウトな召喚術を使う女召喚士イルグレット。
一番非力でも博識で常識人。でも時折『ティッシュ大王』のような一面をのぞかせる、アイテムマスターレンリッキ。
一番割を食わされる、童貞の香り漂うツッコミ係、いやもとい勇者のシーギスルンド。
勇者の幼なじみで、連絡のたび勇者に罵らずにはおれない王国経済省勤務のエリート、ドラフシェ。
女子三人が結託して、勇者をこき下ろすさまが楽しい(ぇ
エコノミックファンタジー。
掛け合いがコントテイストで、面白く読み進められます。
まだ見ぬ魔王に翻弄される勇者一行に、勝ち目はあるのか。
中世欧州RPG風(というより丸々ドラクエ風)の冒険モノ。とはいえ緊迫したモンスターとの戦い――というのは、少なくとも最新話までないです。モンスターは、道端に落ちてる小銭提供マシン程度の存在感。
そんな感じで世界観はゆる~く構築されていて、キャラのかけあいも楽しい。
なんといっても本作が面白いのは、「マンガでわかる通貨入門」的に、通貨や経済にまつわるエピソード中核で構築されているところ。
デフレインフレ、バブルと崩壊から、通貨改鋳や貨幣並立に伴う混乱とか、「モンスターが落とすゴールド」をネタとして、うまく展開されています。まあ魔王は「中央銀行総裁」ですね、この世界では。戦時中のニセ札謀略みたいな気もするし。
やり手魔王の目的はやがて開示されるんでしょうが、別になくてもいいやw――という気にさせてくれるほど、貨幣ネタが面白い。気楽に読み進められる小説です。
ファンタジーっていうのは、現実世界の構造を子供にもわかりやすく模式化、記号化したもの、という側面を持っています。
そうした創作物から、世の中の仕組みを楽しく学んでいくんですね。
そういう意味において、この作品は極めて上質なファンタジーであるといえます。
やっていることはコメディですし、いかにもゲームファンタジーなご都合主義的な設定が、却って恐ろしく、効果的に機能しており、登場人物たちは極めて真剣。「シャレにならなさ」が滑稽さを生む、落語のような優れたエンタメ性と社会性のある作品になっています。
これ、書籍化して学校の図書館とかに入れたらいいんじゃないかな。
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最終話読了。
これはきっとあれですね、共通統一通貨を作って経済の安定をはかったりするんでしょうね。
金本位主義ならぬ、スライム本位主義とかでw
エキサイティングな話でした!
ひよっこ勇者たちが魔王を倒すために旅を続ける過程で、魔王がくりだす魔法という名の経済攻撃(?)にさらされ、いやおうなしに経済社会の荒波に翻弄されるパーティ。
って書くと難しそうですが。
基本は、ギャグです。
そして、とても読みやすくてわかりやすい。
でも、内容は深いです。インフレ、デフレ、通貨という存在……それらが、単なる定義だけではなく、実感をもって体感できます。
インフレのときの、浮ついた感じと。はじけたあとの、絶望感。
デフレのときの、陰鬱な空気。
それらを、なまなまと再現してみせる技は、さすがだと思いました。
このシリーズ、ぜひぜひ続けてください! お願いします!
めっちゃ楽しみです!!!
うちの子どもたちにも読ませたいです。読み聞かせしたいです。
正直、下手な経済入門本よりタメになります。