第9話 娘語る・2

 亡くなる少し前に会った時の母さんの様子は記憶によく残っているわ。いつものお義姉さんの悪口を言っている時には感じられない必死さが異常だったのよね。涙も流していたし。お義姉さんと兄さんがどう言おうと、私だけに見せてくれたあのSOSのサインを信じたいの。救ってあげられなかった後悔もあるしね。


 またその話し?わかってる、ちゃんと大輔のことも考えているわ。お義母さんが亡くなる前の夕夏さんの言動をよく調べてみるつもりよ。叩けばもっともっと埃が出てきそうだし。調べたことをまとめて兄さんに伝えて夕夏さんとの離婚を考えてもらうわ。兄さんは夕夏さんを軽く見ているから私の言葉が耳に入らないんだと思うけど、しっかり夕夏さんの言動と母さんの言葉を比べて考えてくれたら兄さんなりに答えが出るはずだわ。そこで少しでも夕夏さんを疑う気持ちが出てきたら兄さんを援護して一緒に夕夏さんを責めるわ。兄さんと夕夏さんが離婚すれば、兄さんは夕夏さんから慰謝料を取れるかもしれないし、ひとり身になった兄さんに頼めばお母さんの遺産を少しもらえるかもしれないものね。


 わかっているわ、二人の将来のためだもん。私頑張るよ。


 うん・・、でもどうしてそんなに急ぐの?離婚になるまでかなり時間がかかると思うし、上手く行くかどうかもわからないのに・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る