第7話 息子語る・3
え?はぁ?夕夏が母さんを虐待していただと?お前何を言ってるんだ?
はぁ・・ふむ・・・うーん・・・。お前考えすぎじゃないの?
夕夏の性格を知っているだろ?あんなに気が弱くて自己主張もろくにできないような頼りない女に虐待なんてできると思うか?仮に虐待していたとしても、そういうのって身内とか医者にすぐ発見されるものらしいじゃないか。母さんは月に一度通院していたし、俺が見ていてもそんな形跡はなかった。もし何か発見されたら早い時点で虐待は発覚していただろう。
母さんが亡くなって悲しい気持ちはよくわかるけど、母さんは病気で亡くなったんだよ。それも病院でな。母さんの死が辛いからって変なこと言うなよ。さすがの夕夏もそれは怒るぞ。
ふう・・退院したらゴルフでも行きたいな。病院は退屈で退屈でさぁ。久々に体を動かしたいよ。そうそう、夕夏が勝手にジムの会員を解約しやがってさ。病気なのにジムで激しい運動するなんて危険だって言って今月で退会しちゃったんだ。でもまぁ、夕夏の言うことは正しいよな。暫くは家で大人しくしていようかと思うよ。それでたまーにゴルフにでも行って気晴らししようかな。病院の中にいると無性に日に当たりたくなるんだよ。普段はそんなこと思わないのにさ。病気で気持ちまで弱ってきたかな?やだね、ほんと爺臭くなってきちまった。さっさと退院して、旨いもんでも食べに行きたいよな。焼肉でも一緒にどうだ?夕夏にいい店を探させておくよ。
健康管理は自分でしろっていわれてもさ、それも嫁の役割だろ?俺が自分で料理から何からしろっていうのか?冗談キツイよ。
夕夏に頼るなって言われても・・。お前何カリカリしてるんだよ。まるで母さんみたいだぞ。あはは。
夕夏は頼りなくて使えない女だけど、自分のやるべきことはあいつなりに一生懸命やるやつだよ。だから俺は信用して母さんの世話を全部任せられたんだ。俺のことだっていつも気にかけてくれているから大丈夫だ。夕夏がお前に説明したことは全部本当だよ。お前があいつを疑っていても俺はあいつを信じるよ。だって夕夏は何も持っていないしどこにも行き場がない女なんだぜ?そんな奴が母さんや主人の俺を裏切って生きていけるはずがないだろ。お前が考えているような馬鹿なことをするわけがないさ。俺がいるからあいつは生きていられるんだ。これからもずっとな。
だいぶ日が暮れてきたな。今日はもう帰れよ。近々、集まって三人で食事をしよう。しっかり飲んで食べて嫌なことを忘れちまおうぜ。きっと楽しくなるよ。じゃあ気を付けてな。
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