第5話 息子語る・1
おお久しぶりだな。遅いと思ってたら家に寄ってきたのか。夕夏もいろいろ心配していただろ?母さんのことでも世話になったんだからちゃんと礼を言わないといけないぞ。
それにしても参ったよ、こんなことになっちまうなんてな。俺まだ四十代だぜ?検査と生活習慣の改善指導のための入院なんてかっこ悪いよな。じじいみたいだぜ。そろそろ痩せなきゃ・・って思っていたらこんなことになるんだからツイてないよ。
お前はそう言うけどさ、ストレス溜まるんだよ、リーマンってのは。ストレス解消って大事なんだよ。スポーツとか旅行で発散するやつがいるだろ?俺の場合は酒とタバコと旨いものを食うことがストレス発散方法なんだ。止められるわけないだろ。無理言わないでくれよ。
夕夏か?特にうるさくは言ってこないな。言っても俺は聞かないって分かってきたのかもな。いや、母さんの世話に追われて俺は二の次になっていたからかな?馬鹿、寂しいなんて今更思うかよ。ただ、母さんと同居するようになってから俺の身の回りのことを手抜きするようになりやがったんだよ。同居する前は何でもあいつがやってたのに、しょっちゅう「自分でやって」なんて言うようになってな。従順だけが取り柄みたいな女だったのにどうしょうもないよ、俺が養ってやってるのにさ。
母さんの世話はしっかりやっていたんじゃないか?俺はたまに顔を見せるだけだったけど。ああ、母さんは夕夏の文句はしょっちゅう言ってたな。でもそれは今に始まったことじゃないし、大して気にはならなかったよ。お前だってそういう場面はよく見ていたからわかるだろ?
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